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コラム column

一発試験で教員免許が取得できる!? 小学校教員資格認定試験の合格体験談

※本記事は、教員資格認定試験の実施事務を行っている独立行政法人教職員支援機構とは関係ありません。教員資格認定試験は毎年内容が変わる可能性があるため、試験に関する情報は必ずNITS公式の案内や最新情報を確認ください。https://www.nits.go.jp/shiken/

教員資格認定試験(以下、認定試験)は、多様なバックグラウンドを持つ人材の学校現場への登用を促進するために、文部科学省が開催している年に1度の試験です。
Teach For Japanのフェローシップ・プログラムで教員になった方の中にも、教員資格認定試験を受験され、教員免許を取得する方が多くいます。「一体どんな試験内容なの?」「どう対策したらいいの?」そのような方に向けて、実際の経験談を聞いてみました!

大和一輝さん(9期フェロー/2021年赴任)

・受験を決めたきっかけを教えてください。

Teach For Japanのフェローとして赴任が近づいてきた頃、同期のメンバーで資格認定試験を受験する人が結構いたんです。僕も、社会人になって学び続ける大人でありたいなと考えていましたし、勉強習慣をつけたり、TFJコミュニティの中で学び続けたりしたいと思っていました。そんなきっかけもあり、なんとなく受かればいいなぐらいの気持ちで受験を決めました。 
そんな気持ちで3ヶ月ほど、勉強をしていました。ですが、教員1年目で初めて担任を持ち、子ども達と向き合って働いていく中で、日々余裕がない状況でした。体力もメンタルも安定しない中で受験しても無理だろうなと思い、2021年度は受験を諦めてしまいました。
Teach For Japanのフェローシップ・プログラムは2年間なので、教員2年目になり、来年からのキャリアを考えたときに、まだまだ小学校教員を続けていきたいと思うようになりました。他にも、JICA海外協力隊として海外の小学校で活動してみたい、という気持ちも出てきたり、日本人学校で教師として働いてみたい、という考えもあったりしました。
この3つの選択肢いずれにしても、「小学校の教員免許があればなれる!」「免許があればどの道にも進める!」と気づいて、やっぱりもう一度、手っ取り早く免許を取ることができる資格認定試験を受験することにしました。

・受験までどのように勉強をされましたか?

受験を決断したのは、願書締切のGWの頃でした。一次試験の約2ヶ月前ですね。
もう一度受験を決断したのですが、5月〜6月頃って学校行事などもあり、やっぱり忙しさに追われてガッツリと勉強ができませんでした。本当に合間を縫って勉強を積み重ねる状況でしたが、その中で自分が取り組んだことが2つあります。1つ目が過去問を解くことです。昨年度の過去問がホームページに載っていたので一通りまずバーッと解いてみる。それから、その前年度さらにその前年度という形で解きました。どんな傾向なんだろうかっていうのを把握したり、ここは勉強しないとさすがにまずいって部分をおさえたりしました。2つ目は、間違えたところを中心に参考書で調べる学習を繰り返したことです。忙しさに追われて受験勉強の優先順位が下がってしまったので、とにかくこの2つだけに集中して取り組みました。

塚田菜那さん(9期フェロー/2021年赴任)

・受験を決めたきっかけを教えてください。

大学時代、学校教育学とか教育心理学を専攻して、内発的動機付けから起こる学習意欲というものを研究していました。大学時代に私が進んだ学部は中高や小学校の免許が取れなかったのですが、児童英語教育に興味があったので小学校英語指導者資格を取得して小学校で外国語指導のボランティアを2、3年していました。そういった大学時代の経験を得て、いつか学校を作りたいなって思うようになったんですよね。縁あって、福岡で小学校の先生をしているうちに、臨時免許で働きながら小学校で働くことの楽しさというのを実感して、免許取得して損はないと確信しました。そして、フェロー期間中に免許が欲しい、どうしてもこの1年で取りたい、っていう思いが強くなり、受験を決意しました。幸い、私は専科教員として赴任しており学級を持っていない分、時間が比較的自由に使えたことも、認定試験を受ける決意の後押しになりました。

・受験までどのように勉強をされましたか?

2022年の2月にまず受験を決意して、全科問題集を購入しました。3月ぐらいから受験科目を考えるようになって、4月5月は学習頻度指導要領を読み込んだり暗記したりして問題集を何周もして丸暗記するぐらい頑張りましたね。そして、6月7月は問題集の中身でわからないことはないぐらいに繰り返し解きました。7月30日に試験があって、1次試験が終わって合否が出るまでの8-10月はそれまで頑張った自分へのご褒美として、ほとんど何もしていませんでした。 受かるかどうかも分からなかったので、学校現場の本職に力を入れていたのが8-10月です。10月21日に1次試験の合格が発表されたので、そこから二次試験に向けての対策を1ヶ月ぐらいしていたという感じです。なので、だいたい1年かけてのプランで私は試験に臨んだという状況になっています。

内藤優香さん(10期フェロー/2022年赴任)

・受験を決めたきっかけを教えてください。

幼い頃から小学校教員への憧れはありましたが、高校生の頃は日本と海外とのつながりに関心があり、大学では国際関係学や外国語を専攻していました。そこからしばらく教育とは無縁の世界にいましたが、転職を考えるタイミングでかねてより憧れのあった教育に携わりたいと思い、TFJのフェローシップ・プログラムに参加することを決意しました。フェローとして念願の小学校に赴任して子どもたちと関わるようになって、毎日子どもたちからいろいろな成長や感動を分けてもらえる教員という仕事にどんどん魅了され、この先も子どもと関わり続けていたいという思いが強くなりました。そこで、この先も子どもと関わる仕事を続けるためにはやはり教員免許がほしい、最短で免許を取得できるのは認定試験だと思い、受験を決めました。

・受験までどのように勉強をされましたか?

認定試験は試験に関する情報が少ないことが最初の難しさでした。そこで、TFJのコミュニティを活用して過去の受験者や合格者の方に話を聞いて情報を集め、最適な対策を考えるところから始めました。1次試験は、教員採用試験の「教職教養」や「小学校全科」の問題集やYoutubeで配信されている教員採用試験対策のコンテンツを活用しました。論述形式の試験は、教育時事に関する科目と教科に関する科目があります。教育時事については、YoutubeでNITSが配信している動画をチェックして知識をつけました。学校で疲れていて問題集に手がつかない時は、Youtubeをラジオのように聞き流すことだけはしようと決めていました。教科に関する論述は、学習指導要領解説の要点を的確につかんだ上で、より具体的に授業のイメージを膨らませておくことが大切かなと思います。
勉強は5月くらいに着手し始めました。マーク形式の試験対策を固めて教職に関する基礎知識をつけた上で、最後の1ヶ月くらいで論述対策をしていました。教員1年目に受験したので、平日は勉強時間を捻出することが難しく、平日の早朝に30分〜1時間ずつと、土日にまとめて時間を取っていました。 

水野光さん(9期フェロー/2021年赴任)

・受験を決めたきっかけを教えてください。

大学時代に明星大学の通信課程で小学校免許取得を目指しました。ただ、レポートや課題になかなか手がつかず、1年で辞めてしまいました。もうこの先小学校と関わることがないだろうと思っていましたが、TFJとご縁があり、臨時免許状で小学校教員として働くことができました。働き始めて1か月が経ち、小学校生活に楽しさと難しさを感じ、臨時免許で働くことができる3年間では物足りず、もっと働きたいと感じました。
ちょうどそのころ、同期のフェローが認定試験のことを話していて、1回の試験で小学校二種免許を取得できることを知りました。そこから締め切りが近かったので、即募集要項を請求して受験に至りました。申し込んだ時は、認定試験の概要を知らずにただ受験料と1回で免許が取得できる可能性があるという情報だけで申し込みました。
また、私は大学時代に中・高(保健体育)の免許と特別支援(知・肢・病)の免許を取得していました。今後のキャリアを考えたときに、小学校から高校と特別支援の知識がある証明になると思いました。

・受験までどのように勉強をされましたか?

時間をかけて行ったのは過去問の分析です。そこで私が絞った一次試験の各教科に関する問題は、学習指導要領から出るものと一般教養に分かれていました。今後受験される方は、出題形式が変わっているかもしれないので、必ずご自身でご確認ください。「小学校 認定試験」と調べると一次試験の過去問と回答が出てきます。
実際の受験勉強は、問題集や参考書を一切買わずに行っていました。小学校の先生として、学習指導要領をいつもより熟読した上で、授業を作りながら勉強していました。
私はこの認定試験を通して確信したのは、この勉強全てが小学校の現場で生きるということです。ぜひ試験のための勉強と考えるのではなく、将来小学校の先生として働く自分を想像して勉強してみてください。

Tips

\受験科目の決め方/

僕は、社会・外国語・家庭科・図工・体育・生活を選びました。6教科を選んだというよりかは、苦手かつ学習指導要領のページ数も多い4教科(国語・算数・理科・音楽)を外しました。

私が受験科目を選んだポイントは、過去問点数が取れる、問題演習を解いていて理解しやすい、教材や暗記量が少ない、単純に好きである、という4つです。その結果、芸術教科6種を選択して、国語・算数・理科・社会を選択しませんでした。こういう人は珍しいみたいなんですけれど、人それぞれの得意不得意、好き嫌いがありますので、皆さんが一番受験しやすい、勉強が長続きしやすい科目を選択されるのがいいかなと思っています。

必要な暗記量と自分が好きかどうかで決めました。学習指導要領の内容も問われていたので、学習指導要領解説の内容(厚さ)も決め手になりました。学習指導要領で6学年ごとに目標等が異なっているものは、単純に覚えなければならないことが増えると思ったので、2学年ごと(低・中・高学年)で大きく分かれているものであったり、生活や家庭科のように対象学年が少ないものを中心に選びました。

中高保健体育の免許を持っていたので、体育を選びました。後は過去問を一度解いてみて、自分の得意不得意を分析しました。私の肌感覚ですが、指導要領解説の生活科は他のと比べて読みやすく、ページ数が少なかったのですぐに点数が取れました。最終的に選んだのは、体育・生活・理科・国語・家庭・図画工作です。

\一次試験対策/

一次試験はマークシートと論述で分かれていますが、論述は後回しにしていました。なぜかというと、マークシートの問題で6割を取れないと、自動的に不合格になってしまうからです。いくら論述が素晴らしくても、最初のマークシートが6割取れなかったら落ちてしまうんです。なので、僕はマークシートの問題に絞って勉強を積み重ねました。逆に言えば、ほぼ論述の勉強はしていないです。「なんとかなる!」って思い続けてました(笑)

要点理解として、ノートにまとめました。これにすごく時間かかったんですが、必ず一発で受かりたい私にとっては、ここは省いてはいけないなと思って頑張りました。ノートを科目別に全部分けて、要点だけ洗い出して、そこを自分の頭で再構想化して1日30分とか1時間とか、自分でマイルールを決めてやりました。

マーク形式については教員採用試験の「教職教養」や「小学校全科」の問題集を間違いがなくなるまで何度も解くことで対策しました。一般的な教員採用試験よりも細かい内容まで問われることが多く、難易度が高い印象です。教科に関する論述は、教科選びが重要かなと思います。教科によって出題傾向や求められる内容が異なるので、過去問を見て自分に合うものを選ぶといいと思います。

マークシートは過去問を集めて集約して、どこが重点的に出されるか分析しました。論述の各教科は、学習指導要領 解説をいかに理解して実践と結び付けているかが大切です。私は教科を体育にして要点をさらに絞りました。各学年の目標と授業数、内容項目、体育であれば指導上の留意事項を最低限押さえておくことをおすすめします。教育時事は、昨今の教育時事を網羅している『最新教育動向2023』という本を一通り読んでおくと良いと思います。小学校の先生になっても必ず生きてきます。

\二次試験対策/

個人的な感想ですが、二次試験はかなり丁寧に受験者に接してくれてるなと思いました。二次試験は受験者も少なかったです。初日に講義があるのですが、その段階で、もう何としても受かってねみたいな雰囲気をすごく感じました。なので、なぜ免許を取ろうとしているのか、どんな教師像や教育が理想なのかと、自分の想いを見つめ直すことが大切だと思います。

一次試験の勉強をしっかりやっていれば、それほど対策は必要ないと思うのですが、私は不安だったので、文科省のホームページの中の資料を読み直したり、ニュースに取り上げられている話題性のあるテーマについて自分の見解を用意したりしました。

一次試験の合格通知の際に、出題内容(道徳)が通知されたので、学習指導要領や道徳に関する文科省の資料やニュースを見直して臨みました。指導案作成や模擬授業に向けて、インターネットで指導案や題材を検索して道徳の授業の仕方について自分の引き出しを増やすようにしました。

二次試験ではより現場を知ることが求められます。二次試験会場が、実際の小学校教員1日目と考えるとよりイメージが湧くかもしれません。そこで、小学校教員としてその1日をどう過ごすのか、どう子どもと関わるのか、授業をするのか、保護者と接するのか、学級経営は?など具体的なイメージをもっておく必要があります。

まとめ

臨時免許状を取得して教員になった皆さんですが、実際に学校現場で子どもたちと接する中で、「もっと教員を続けたい!」という思いを持たれたというお話が印象的でした。
一発試験とはいえ、働きながらの受験勉強をするのは簡単なことではないですが、情報を集めて効率的に対策をする重要性を感じました。

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