【イベントレポート】YOUTURN × Teach For Japan「教師」というキャリアで培われるスキルとは?~教師の市場価値をアップデート!~
- 活動レポート
「教師」という職業に市場価値をつけるとしたら? みなさんならどのように言葉にされるでしょうか。今回のイベントでは、民間企業と教師の両方を経験したことがあるTeach For Japanフェローのキャリアにスポットを当て、キャリアアドバイザーの方にキャリアを紐解いていただきました。キャリアを考えるうえでのヒントが詰まった内容です。
イベントの開催の経緯
「教師」という職業に市場価値をつけるとしたら?
このシンプルな問いに対する答えを探ってみようとスタートしたのが今回の企画。
これまで、『教師』という職業は永久就職として位置付けられてきました。
そのため、『教師』から他の職業に転職する際に、教師経験の何が評価されるのか見出しづらい部分がありました。
しかし、『教師』という職業は、実にクリエイティブかつ様々なスキル・能力をフル活用していると捉えることもできます。
例えば、1人で30人前後の子どもたちに寄り添いながら、学級経営や学習を行うチームマネジメントスキル。
朝早くから子どもたちの下校する夕方までは息つく間もなく過ごし、終業時刻までに翌日以降の授業設計を行うタイムマネジメントスキル。
不確実な事態(子どものケンカ、授業中での予測しない発言や対応、保護者からの急な連絡等)への柔軟な対応力・傾聴力。
さまざまなステークホルダー(子ども、保護者、同僚、地域住民)を巻き込み、教育を行う対人コミュニケーションスキルなど、マルチタスクという言葉でひとくくりにしてしまうには惜しいスキル・能力が凝縮されています。
そこで、民間企業と教師の両方を経験したことがあるTeach For Japanのフェローにスポットを当て、キャリアアドバイザーの方にキャリアを紐解いていただき、『教師』の市場価値の言語化にチャレンジしてみました!
イベントのタイムライン
教員経験者金澤のキャリア共有
2008年
専修大学卒業後、株式会社エイチ・アイ・エス入社
本社での法人営業を経て、上海支店赴任
2013年
世界史教員を目指して退職
中高社会科の免許を取得のため通信制大学に入学
2014年
ホーチミンで旅行会社立ち上げのサポートとして3か月間居候生活
2015年
Teach For Japan3期生として福岡県の小学校に赴任
3年間高学年を担任
2018年
オランダの教育や社会に興味を持ち移住
フリーライターとして活動
2020年
帰国し、Teach For Japanの広報・マーケティングマネージャーとして活動
キャリアアドバイザー高尾さんの視点
キャリアを深める問い
“学生時代の就活では、どんなことを考えていましたか?”
“踏み込んで仕事に取り組まれていますか?”
“ビジネスから教育へ転職するときに不安はなかったですか?”
登壇者への示唆
“キャリアを形成していくものの1つに、幼少期にどのような大人と接したかは結構影響があります。金澤さんは、いろんな大人に触れていろんな可能性を感じていたのかもしれないですね。”
“戦略を考えて、行動を精査して実行する人だったら、いまのキャリアになっていないでしょうね。だから、良い悪いではないと思います。”
“価値観が変わると、選ぶ環境も変わるし、取り組む対象も変わるし、人間関係まで変わる。”
“いままでのキャリアを「後悔してない」と堂々と答えられるのは、ご自身で選んだから。”
“計画された偶発性(planed happen stance)
「ここに行くぞ!」と決めて最短距離を進むのではなく、出会いによって右にも左にも行きながら進む。ただ、すごく遠くにイメージしているものはある。そして、そのプロセスに関しては出会いによって、偶然によって創られていく。言い換えると、「上質な寄り道ができる人」。これは、誰でもできるキャリア形成ではなく、「感受性が強いこと」と「行動力があること」が共通点。”
キャリアカウンセリングのまとめ・質疑応答
キャリアカウンセリングのまとめ
今後、金澤さんはキャリアに迷うことはあまりないと思います。というのも、ご自身の向き合うテーマがかなり形成されてきているからです。もしかしたら、生活のためにお金を稼がないといけない状況が生まれてもテーマに沿ってキャリア選択をする可能性すらあります。ご自身が向き合うテーマが形成されていることが、これからのキャリアの中でも強みになっていくと思います。
質疑応答
Q:転職市場における教員の価値は?
A:いままでは教員とビジネスの世界はつながりにくかった。ただ、その境界線が溶け始めるかなと考えています。背景としては、企業内のマネジメントがトップダウン型から、社員それぞれの特性に合わせたマネジメントへ変化していること。それと同時に、1つの会社で一生勤務することが当たり前じゃなくなってきたり、副業・転職が当たり前になってきたりします。その結果、どうやって社員ひとり一人のモチベーションを育てるかが重要になります。そうなったときに、子どもや保護者など、いろんな感情や思いが集まる場所を日々マネジメントしている教員に目を付けてくる企業が出てくるのではないかと思っています。つまり、教室で行われているマネジメントを、ビジネスの現場で融合させる取り組みが起きてくるのではないかと。
Q:自分と向き合うテーマに自分で気づくことはありますか?
A:それを見つける方法を考えることは僕のテーマでもあります。(笑)これまでいろんな方のキャリアカウンセリングをさせてもらう中で、仕事なり事象なり問題なりを、深堀り続ける期間が一定必要だということです。深堀りし続けていかないと見えないものがいっぱいあります。ポイントは、「ついつい考えちゃうこと」や「考えていて全然苦にならないこと」「嫌じゃないこと」。これは何かというと、「長く掘り続けられること」です。好きだから取り組むという興味の持ち方もありますが、苦じゃないことが意外と掘り筋だったりします。
Q:教員のマルチスキルが活かせる職種には、どのようなものがありますか?どのような入り口から職を探せばいいのかわからず悩んでいます。
A:(教員から民間への転職を前提に回答)民間の中途採用は、企業が得をしたくて取り組んでいることです。20代であれば今後のポテンシャルも含めて採用されます。では、35歳以上の方はもうキャリアチェンジできないのかというとそうでもないと思っています。というのも、自分の能力をお金にする方法はすごく増えているからです。従来の転職活 動しか方法がないのではなくて、自分が持っている課題意識やコンテンツを発信する場 を活用して、そこからキャリアへとフックがかかる可能性があります。
Q:キャリアを形成するうえで、教員にしても企業人にしても共通するキーワードはありますか?
A:本当にその方その方で違うので一概にくくるのは難しいです。ただ、1つだけ言えるのは、目の前のことにどれだけ集中して深堀りできているかというのがシンプルに言うととても大事です。ご存じの方も多いと思いますが、キャリアの語源は馬車の車輪です。馬車の車輪が進むことによってできる轍。その轍がキャリアです。ということは、キャリアは自分の前に広がっているものではなくて、自分の後ろにできているもの。後ろを振り返ったときにどれだけ深い轍ができているかが充実したキャリアかどうかと言えるのではないでしょうか。荷物がなんにもない馬車だったら、轍って浅いです。でも、思いっきり荷重のかかった馬車だったら、轍は深くなります。
参加者の声
30名以上の方にご参加いただき、大盛況のイベントとなりました。一部参加してくださった方の感想を共有させていただきます。
フェロー経験者の方の実体験を元にお話をして頂きとても参考になりました。また、教師という1つの観点だけでなく『キャリア』という大学生が1番悩むことについてのお話を聞くことができたことも大変貴重な経験となりました。
教師という「職業」から、教師という「人生」、という言葉が非常に頭に残りました。新しい気づきを得ることができました。
高尾さんが魔術師に見えてきましたが、「相手の本質をつかむ」ということを自分も努力したいです。
教師というキャリアを考える上で非常に参考になりました!トークの形式も面白かったです。一般的なオンラインイベントではスピーカーの方がプレゼンのような形でお話しされることが多いと思いますが、今回はキャリアアドバイザーとのセッションのような形式だったため飽きずに聞くことができました。
先日は貴重な機会をありがとうございました。自分が「職業としての教師」か「人生として教師」のどちらを目指すのかを迷っていた中で、それを言語化してどちらともを肯定的に考える機会が得られたので、自分のキャリアをもう一度よく考えるいい機会のなりました。ありがとうございました。
参考
東京のエースが活躍できる現場が福岡にある|YOUTURN
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