【小学校外国語】学習指導要領をまるごと解説!①2011年導入に至るまで
- コラム
いよいよ2020年4月より小学校で教科としての外国語の導入が始まりました。しかし、そもそもいつから小学校の外国語教育は始まっていたのか? なぜ外国語教育の実施方法が変わっているのか? さまざまな疑問がわくと思います。そこで今回は、小学校外国語教育が導入された経緯と2011年の学習指導要領実施について、まとめて解説していきたいと思います。
2011年実施 小学校外国語活動の導入
小学校の外国語教育が必修化したのは、2011年の学習指導要領の実施によってです。この改訂によって外国語活動として初めて公式に導入されました。小学校外国語活動はどのように導入されたのか、詳しくみていきましょう。
外国語活動導入の経緯
小学校における外国語教育については、30年以上前から審議会等で長く検討されてきました。
・1986年 臨時教育審議会「教育改革に関する第二次答申」
外国語教育の見直しが話し合われ、英語教育の開始時期について、一定期間集中的な学習を課すなど教育方法の改善について検討が始まる。
・1992年
小学校英語教育が、国際理解教育の一環として、指定された研究開発学校にて試験導入される。
・1996年 第15期中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」
小学校の外国語教育を一律の教科ではなく、『総合的な学習の時間』や『特別活動の時間』において、外国語や外国の生活・文化などに慣れ親しむ機会として設けることが適当とされる。また外国語のネイティブスピーカーや地域の海外生活経験者などが活動に関わることが望ましいとされる。
・1998年 学習指導要領の改訂
このとき新設された『総合的な学習の時間』で取扱う項目の一つとして、国際理解教育の一環で外国語会話などを行う際に、外国語に触れたり、外国の生活・文化に慣れ親しむ体験的学習を実施するように規定。全国の小学校で英語活動が活発に行われるようになる。
・2006年 中央教育審議会外国語専門部会「小学校における英語教育について(外国語専門部会における審議の状況)」
小学校高学年において、中学校との接続のために英語教育を充実させることの高い必要性について言及。英語活動の実施時間数が6年生で平均13.7単位時間であったことを踏まえ、年間35単位時間(平均週1回)程度の共通した教育内容の設定が検討されるべきだとされる。
・2008年1月 中央教育審議会「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)」
学校ごとに外国語活動の取り組みにばらつきがあり、教育機会の均等を確保、中学校との接続を円滑にするなどの理由で、各学校が共通して指導できる内容を示す必要があるとされる。総合的な学習の時間は目標や内容を各学校が定めるため、それとは別に、高学年において一定の授業時数(年間35単位時間、週1コマ相当)の確保が適当とされる。
そして2008年3月に学習指導要領が改訂され、小学校5、6年生に小学校外国語活動が設けられることになりました。
外国語活動の目標
2011年からの学習指導要領の実施において、外国語活動の目標は以下のように定められています。
外国語を通じて,言語や文化について体験的に理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら,コミュニケーション能力の素地を養う。
(引用元:第4章 外国語活動|文部科学省)
この目標により、中学校英語との連携を図ることや、コミュニケーションを図ろうとする態度の育成に重点を置いていることがわかります。そして、より弾力的な指導ができるように、目標は学年ごとではなく、2年間を通した目標になっています。
また、外国語を通じて活動をすることが重要とされ、異なる言語や文化を学ぶことで日本語や日本文化を含めた言語や文化への理解を体験的に深めること、国際感覚の基盤を培うことも目標として求められています。
外国語活動の内容
外国語活動については、英語が世界で使われているコミュニケーションの手段となっていることや、中学校の外国語科においても原則英語を履修することなどを踏まえ、原則英語を取り扱います。
2011年実施の学習指導要領では、小学校の外国語活動の内容について以下のように記載されています。
1.外国語を用いて積極的にコミュニケーションを図ることができるよう,次の事項について指導する。
(引用元:第4章 外国語活動|文部科学省、太字は筆者による)
(1) 外国語を用いてコミュニケーションを図る楽しさを体験すること。
(2) 積極的に外国語を聞いたり,話したりすること。
(3) 言語を用いてコミュニケーションを図ることの大切さを知ること。
2.日本と外国の言語や文化について,体験的に理解を深めることができるよう,次の事項について指導する。
(1) 外国語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに,日本語との違いを知り,言葉の面白さや豊かさに気付くこと。
(2) 日本と外国との生活,習慣,行事などの違いを知り,多様なものの見方や考え方があることに気付くこと。
(3) 異なる文化をもつ人々との交流等を体験し,文化等に対する理解を深めること。
内容は1の「主としてコミュニケーションに関する事項」、2の「主として言語と文化に関する事項」の2つにわかれています。学習指導要領解説では、さらに以下のようなポイントなどが述べられています。
・ただ子どもたちが喜び、楽しめる活動ではなく、外国語を使って相手と思いを伝え合おうとすることに楽しさを感じる活動をすること
・外国語を初めて学ぶ段階なので、聞くことと話すことに集中すること
・慣れない外国語を使ったコミュニケーションの難しさを体験すること
・多くの表現や細かい文構造を理解することが目的ではない
・子どもたちにとって身近なトピックを取り扱うこと
またこれらの目標・内容は2学年を通したもので、子どもや地域の実態に応じて各学校が学年ごとの目標を定め、目標が実現できるように内容を実施することが求められています。
まとめ
今回は、小学校の外国語教育について導入された経緯と2011年実施の学習指導要領のポイントまで網羅的に見ていきました。変化する小学校の外国語教育を見ることで、未来を生きる子どもたちのために、大人たちが時代の変化に応じたよりよい外国語教育を目指していることが感じられます。これからの変化にも注目です。パート②をお楽しみに!
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