教師のやりがいと課題は?現役教師と教師経験者が考えること!
- コラム
今回の記事では、Teach For Japan(以下、TFJ)を通して教師になった方、あるいは現役教師として学校現場にいらっしゃる方に、教師のやりがいと課題をインタビューしました。民間企業やNPO法人で働いた方々が「教師」にどんなやりがいを感じ、どんな課題意識を持っているのか一緒に考えてみませんか?
小学校教師が感じるやりがいと課題
青年海外協力隊から公立小学校教師となった佐藤瞬さん。現在は、 教育系企業に勤務。
やりがい: 子どもたちのストーリーに没入・介入 できる
毎日30名ほどの子どもたちのストーリーに没入・介入できることが最大の魅力。それぞれがこれまでにやってきたこと、これからやりたいことがあるなかで集っているクラス。それぞれのストーリーが重なりあうことによって、思いもよらなかった動きや変化をしていく1日1日を共に過ごせることが何よりも幸せな時間だったなと思います。それは人が変わることを目の当たりにすることでもあり、自分自身を常に問い返し続ける経験でもあります。こうした中に身を置くことで、人間のもっている可能性に目を向けられるようになり、自分自身がさらなる成長をしたいと思い続けるようになれることが財産です。
課題:時間のなさ
時間のなさがもったいないなと思っています。教育は時間があればどこまでも探求し続けられるものなので、いくらあっても足りませんが、学びに焦点化した時間をどれだけもてるかは、子どもにとっても大人にとっても大切なものだと思っています。そのため、それ以外の事務的な時間だったり、学びからは遠いものについての精査をしていく必要は大いにあるなと思っています。
一般財団法人JSAFを経て、公立小学校教師となった山本茜さん。フェローシッププログラム後も教師を継続。
やりがい:子どもたちの生活に関われる
挙げるときりがないですが、一番は子どもたちと共に過ごす時間が長く、色々な面から子どもたちの生活に関われることです。
子どもたちは平日、朝8時〜4時ごろまで、1日の約3分の1を学校で過ごします。その中で、友達と協力したりケンカしたり、できなかったことができるようになったり、新しい提案をしたり…とたくさんのことを経験していきます。教科や時間を限定されすぎずに子どもたちと過ごせるので、「あ、今日は自分から遊ぼうって言えたな」とか、「あ、数週間前に算数で学んだことを国語で応用しているな」とか、成長の瞬間をたくさん見ることができます。
課題: 勤務時間
勤務時間です。例えば、先生の勤務時間は学級の朝の会の5分前から始まります。しかし、実際には朝休みなどがあるため、子どもたちはもっと早く登校しています。先生たちが5分前に出勤することは、現実的に無理です。その他にも、翌日以降の準備をする時間などもほとんど確保されていませんが、残業代は出ません。先生たちが納得のいく勤務システムになってほしいです。
銀行員を経て、公立小学校教師となった 篠田啓介さん 。現在は、大学院・塾など教育に関するセクターで活動。
やりがい:できるようになっていく姿を見れる
純粋に嬉しいです。子どもができなかったことをできるようになっていく姿を見るのは。民間で働いているときに感動して泣いたことはありませんでしたが、学校では感動で涙したことがあります。お金とかじゃなくて、目の前の子どもの幸せ、その子のためにということを、素直に出していい仕事だと思います。また、教員は、子どもたちの人生の一部分に関わることができるとても尊い仕事だと思います。だからこそ、自分がどうあるべきかも求められます。
課題:やることが多すぎる
忙しすぎる。やることが多すぎるというのがあります。学校側は取捨選択をする必要があると思います。先生たちは、子どものことが大好きなので、子どもと向き合う時間を作ること。それ以外のことをできるだけ学校現場から出していくことが課題だと思います。
中学校教師が感じるやりがいと課題
NTTコミュニケーションズを経て、公立中学校教師となった 風間亮さん 。現在は、学習塾の経営とTFJでの業務に従事。
やりがい:人の成長に関わることができる
日々はとても地道ですが、その先に子どもたちとの信頼関係があり、信頼関係があるからこそ、伝えられること、子どもたちのためにできることがたくさんあります。人の成長に関わることができる、と心の底から感じられることがやりがいです。また、究極的には、教育は「人」だと思っているので、教育に従事する「人」として、日々自分自身が学び成長しなければなりません。そして、自分の立ち振る舞い、信念、生き方がダイレクトに「教室」の姿へと反映されます。自己成長が問われるこの仕事には苦しさもありますが、それに勝るおもしろさ、生きがいを感じていました。
課題:形骸化したルールやビジョンなきhow to
学校現場では、手段と目的の混同が多く見られました。形骸化したルールやビジョンなきhow to は、いまいちど、その目的を問いただすべきだと思います。学校をどうしたいのか、子どもたちにどうなってほしいのか、教師一人ひとりが意志を持ち、先生たち同士が協働し、より有意義な活動が増えて欲しいと願っています。
マーケティング企業を経て、公立中学校教師となった遠藤忍さん。
やりがい:成長していく姿を目の当たりにできる
「わかった」や「おもしろい」を通じて、人が頑張り成長していく姿を目の当たりにできる。それぞれの生徒に、さまざまな背景があり、それぞれの困難があり、いろいろな成長があり、そのすべてがまるでドラマのよう。そのドラマを、ただ見ているだけではなく、自分がそこにかかわっている。そうしたドラマを、ある種意図的に引き起こすために、教員は様々な手立てを企て、学習場面や生活場面で実行する。そうすると、意図通りもあればうまくいかないこともあり、そして意図を超えることもある。その反応がダイレクトに見れるところがおもしろい。その意味で、教員はディレクターであり、クリエイターでもある。
課題:余白・余裕が持ちにくい
クリエイティブな仕事に必要な余白・余裕が持ちにくい。教材研究や授業準備が後回しになりやすく、とはいえどの仕事も「無駄」とはいいにくい。はっきりいえば、必要なのは「仲間を増やす」ことだと思う。
(編集後記)
やりがいや課題は、その人の考えや置かれている環境によってさまざまです。ただ、子どもの成長に関われることや、深い関係性を築けることは、多くの教師が「やりがい」と感じていることなのかもしれません。
Teach For Japanは、学校の教室から世界を変えていきたいと考えています。
多様な教育課題があるからこそ、学校へ情熱ある多様な人材を「教師」として送り出しています。教室で生まれたインパクトを、学校・地域・社会へと広げ、教育改革の一翼を担います。
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