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コラム column

中学校教員の年収はいくら?給与の仕組み・年代別モデル・キャリアの考え方

中学校教員の年収は、実際のところどれくらいなのでしょうか。

教員という仕事に興味はあるものの、「生活は成り立つのか」「将来、年収はどのくらい伸びるのか」といった不安を感じている方も多いかもしれません。学生の方であれば進路選択の判断材料として、社会人の方であればキャリアチェンジを考えるうえで、「年収」は無視できないポイントです。一方で、ネット上には情報が多く、数字や前提条件がわかりにくいと感じることもあるでしょう。

本記事では、文部科学省や総務省が公表している 最新の公的データ(一次情報) をもとに、中学校教員の給与の仕組み、年代別の年収モデル、公立と私立の違いについて、できるだけわかりやすく整理します。

中学校教員の年収はいくら?公立と私立の違い・年代別モデル・給与内訳

中学校教員の年収は、進路選択やキャリア設計を考えるうえで多くの人が気にするテーマです。「安定している仕事」というイメージがある一方で、実際にどの程度の収入が得られるのか、公立と私立でどのような違いがあるのかは、分かりにくいと感じる人も少なくありません。

そこで本記事では、公的機関が公開している一次情報(政府統計・省庁資料)のみを用いて、中学校教員の年収の全体像を整理します。まずは、最も基礎となる「給与水準の実態」から確認していきましょう。

公的統計で見る中学校教員の給与水準

注記:本記事では、総務省統計における区分名を統一し「教育職(小・中学校教員を含む)」として扱います。

公立中学校教員は地方公務員として給与が定められているため、年収の実態を把握する際には、総務省が実施している地方公務員給与の統計が一次情報として最も信頼できます。

総務省が公表している「令和5年 地方公務員給与の実態」では、職種別に平均給与月額が示されています。そのうち 教育職(小・中学校教員を含む) の平均給与月額(給料+諸手当)は 409,840円(約41万)とされています。

参考:
総務省「令和5年 地方公務員給与の実態(令和5年4月1日地方公務員給与実態調査結果)」【第1表の1 (1)全地方公共団体(男女計) 平均基本給月額】

中学校教員の年収はどのように考えればよいか

地方公務員給与の公的統計では、「年収」という形での総額表示はされていません。そのため、年収を考える際は次の構造で整理する必要があります。

  • 月例給(給料+諸手当) × 12か月
  • + 期末・勤勉手当(いわゆるボーナス)

公立教員の期末・勤勉手当は、人事院勧告等を踏まえ各自治体の条例に基づいて支給されます(支給月数や運用は年度・自治体等により異なります)。したがって、公立中学校教員の年収は「給与月額に、期末・勤勉手当等が加わる水準」として理解するのが適切です。
※具体的な金額は、勤続年数・役職・地域手当の有無などによって大きく異なります。

教員給与は制度で決まる「積み上げ型」

中学校教員の給与は、民間企業のように成果給や交渉によって大きく変動するものではありません。給与は、教育職給料表(号給)を基に、経験年数や職責に応じて段階的に上がる仕組みになっています。この点については、文部科学省の資料でも整理されています。

従来、公立学校教員には、時間外勤務手当(残業代)が支給されない代わりに、月給の4%相当額が「教職調整額」として一律に支給されていました。この制度は、1972年の「公立学校教員の給与等に関する特別措置法(給特法)」の制定以来の基礎として機能してきました。

しかし2025年6月11日、給特法等の一部を改正する法律が参議院本会議で可決・成立しました。この改正では、教師の職務の特殊性や長時間勤務への対応を踏まえ、教職調整額を2026年1月から段階的に引き上げ、最終的に2031年までに給与月額の10%へとすることが盛り込まれています。【実施時期によっては各年度・教育委員会ごとに調整される可能性があります】

この改正は、教師の処遇改善と学校現場の働き方改革を一体的に進める観点から行われるものであり、給与の構造を説明するうえで重要な最新の政策動向となっています。

この制度により、公立中学校教員の給与は、年齢・勤続年数に応じて緩やかに上昇し、大きな下振れが起きにくいという特徴を持っています。さらに今後は教職調整額の引き上げを通じて、長時間労働に一定の緩和と待遇改善が図られる方向です。

ここまで、公的な一次情報をもとに「給与水準の全体像」を整理しました。
次のセクションでは、より具体的に:

  • 公立と私立で給与体系はどう違うのか
  • 年代別に見る年収モデル
  • 給料の内訳(基本給・手当・賞与)

について、公的資料をベースに詳しく解説していきます。

参考:「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案」が参議院本会議において可決され、成立

中学校教師の平均年収【最新データ】

中学校教員の年収を理解するには、まず公的な統計データをもとに「給料の構造」を確認する必要があります。公立中学校教員は地方公務員であり、その給与制度は法律・条例に基づく仕組みです。なお、年収総額そのものは公表統計として直接表示されないため、本記事では一次情報(給与月額)から「年収を理解するための見取図」を提示します。

 ① 教育職(小・中学校教員を含む)の平均給与月額(一次情報)

総務省の「令和5年 地方公務員給与の実態」によれば、

教育職(小・中学校教員を含む)の平均給与月額は  409,840円(約41万)です(給料+諸手当)。

参考:
総務省「令和5年 地方公務員給与の実態(令和5年4月1日地方公務員給与実態調査結果)」【第1表の1 (1)全地方公共団体(男女計) 平均基本給月額】

② 年収の捉え方

年収は「月例給 × 12か月」に「期末・勤勉手当等(ボーナス)」が加わる構造です。
まず、月例給を年換算すると次の通りです。

  •  409,840円(約41万) × 12か月 =4,918,080(約491万円)

ここに、期末・勤勉手当等が加算されるため、実際の年収はこの年換算額に上乗せされます(支給月数や支給額は年度・自治体・職位・評価等により異なります)。

参考:文部科学省 教職員給与に関する諸制度等について(教職調整額・期末勤勉手当等の位置づけ)
 

③ なぜ「年収そのもののデータ」が公表されないのか?

政府統計には次のような背景があります:

  • 地方公務員給与統計は、基本給・手当・諸手当を合算した「給与月額」で統計が取られているため
  • 「年収(総支給額)」は各自治体ごとに賞与の支給月数が異なる場合が多く、全国統一の数値としてまとめにくい

そのため、平均給与月額を基に推計する方法が公的統計では一般的です。

公立と私立でこんなに違う?給与体系と初任給の比較

中学校教員の年収を考えるうえで、大きな分かれ目となるのが「公立か、私立か」です。同じ「中学校教員」であっても、給与が決まる仕組みや初任給、将来的な収入の伸び方には制度上の違いがあります。

公立中学校教員(地方公務員):給与体系の特徴

公立中学校教員は地方公務員として採用され、給与は各自治体が条例で定める教育職給料表に基づいて決定されます。基本給は号給で管理され、勤続年数に応じて定期的に昇給していく仕組みです。

給与の構成要素は、次の通り整理されています。

  • 給料(教育職給料表)
  • 教職調整額
  • 各種手当(地域手当・扶養手当・住居手当など)
  • 期末・勤勉手当(いわゆるボーナス)

参考:文部科学省「資料4-2 教職調整額の経緯等について(教職調整額4%・手当算定の基礎等)」

従来、公立学校教員には時間外勤務手当(残業代)は支給されず、その代替措置として給料月額等の4%相当が教職調整額として一律支給されてきました。

しかし、2025年6月に成立した「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律」により、教職調整額は2026年1月から段階的に引き上げられ、2031年までに最大10%へと拡大されることが決定しています。

参考:文部科学省「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律の成立について」

この改正は、教員の長時間勤務の実態や処遇改善の必要性を踏まえたものであり、公立教員の給与構造における重要な最新動向です。

このように、公立中学校教員の給与は、

  • 給料表による安定的な昇給
  • 教職調整額(今後段階的に引き上げ予定)
  • 条例に基づく各種手当
  • 期末・勤勉手当

という制度に基づく「積み上げ型」の構造を持っています。

私立中学校教員(学校法人):給与体系の特徴

私立中学校教員は学校法人に雇用され、給与体系は法人の給与規程に基づきます。公立の制度を参考にする法人もありますが、全国一律の枠組みではなく、学校の規程・経営状況・地域性等によって幅があります。

参考:文部科学省「私立学校制度の概要」

私立の初任給について

私立の初任給は「公立より高い/低い」と一概に言い切れる公的な全国一律統計がありません。したがって、本記事では “学校法人ごとの差が大きい” という制度的特徴に留め、個別校の募集要項や給与規程の確認が必要であることを前提に整理します。

年代・経験年数でどう変わる?中学校教員の年収モデル

中学校教員の年収は、民間企業のように成果や交渉によって大きく変動するものではありません。
公立中学校教員の場合、給与は経験年数と職責に応じて段階的に積み上がる制度になっています。

ここでは、公的統計と制度資料をもとに、年代・経験年数ごとの年収の考え方を整理します。

年代別に見る給与の考え方(公立中学校教員)

公立中学校教員は地方公務員であり、給与は「教育職給料表」に基づいて決定されます。
この給料表は、採用後の年数(経験年数)に応じて号給が上がる仕組みです。

文部科学省は、公立学校教員の給与制度について次のように説明しています。

  • 給与は「給料表」に基づき決定される
  • 勤続年数に応じて毎年昇給する
  • 昇給幅は一定で、急激な増減は生じにくい

参考:文部科学省「公立学校教員の給与制度について」 

この制度を前提に、年代ごとの年収のイメージを整理していきます。

20代(採用〜経験5年程度)

20代の中学校教員は、主に初任給から数年分の昇給が積み上がった段階に当たります。
総務省の公的統計によると、地方公務員(教育職を含む)の若年層は、給与月額が比較的低い水準からスタートします。

参考:
令和5年 地方公務員給与の実態(令和5年4月1日地方公務員給与実態調査結果)

この時期の特徴は以下の通りです。

  • 給与は給料表の下位号給に位置
  • 年収は「給与月額 × 12か月 + 賞与」で構成
  • 昇給は毎年行われるが、金額は緩やか

そのため、20代の年収は制度的に大きな差が生まれにくい時期といえます。

30代(経験10年前後)

30代になると、給料表上の号給が進み、給与月額が安定して上昇していきます。
また、学年主任や校務分掌の中心的役割を担うことも増え、教職経験の蓄積が給与に反映される段階です。
総務省の統計では、地方公務員全体としても30代以降に給与水準が上がる傾向が確認できます。

参考:総務省「地方公務員給与の実態(年齢階層別給与)」

この年代の特徴は次の通りです。

  • 昇給が積み重なり、給与月額が明確に上昇
  • 家族手当や住居手当など、諸手当が加わるケースが増える
  • 年収は20代よりも制度的に高くなる

40代(中堅〜ベテラン層)

40代は、給与水準が給料表の中〜上位に位置する層になります。
また、教務主任や教頭補佐的な役割を担う場合もあり、職責の重さが増す時期です。
文部科学省の資料では、教員の多くがこの年代で教育現場の中核を担っていることが示されています。

参考:文部科学省「学校教員統計調査」

この時期の特徴は以下の通りです。

  • 給与月額は高い水準で安定
  • 昇給幅は徐々に緩やかになる
  • 年収は制度上のピークに近づく

50代以降(管理職・ベテラン層)

教頭・校長などの管理職に就くと、適用される給料表や手当が変わり、給与水準は一般教員より高くなります。
管理職は一般に経験年数を重ねた教員が就くことが多いものの、自治体や人事制度によっては30代・40代で昇任するケースもあります。

そのため、年収の差が生じるタイミングは必ずしも「50代以降」とは限りません。
管理職に就いた場合は管理職手当が支給され、給与区分も変わるため、制度上は一段階高い水準となります。
一方、管理職に就かない場合でも、勤続年数に応じて給料表の上位号給へ進むため、給与は安定的に上昇していきます。この制度の枠組みについては、総務省の資料でも整理されています。

参考:総務省「地方公務員制度等」

年代別年収モデルの整理(制度的な考え方)

公的制度を踏まえると、中学校教員の年収モデルは次のように整理できます。

年代年収の特徴(制度的傾向)
20代初任給+昇給初期段階、緩やかな上昇
30代昇給が積み重なり、安定して上昇
40代高水準で安定、ピークに近づく
50代以降給料表上位号給に到達し、管理職か否かで年収水準が分かれる

※管理職への昇任時期は自治体や個人のキャリアによって異なります。
※上記は給料表と昇給制度に基づくモデルであり、地域手当・職責・扶養状況等により個人差があります。

制度で見ることの重要性

中学校教員の年収は、「どれだけ成果を出したか」よりも「どれだけ経験を積み、どの役割を担っているか」によって決まる制度です。

この制度的特徴を理解することで、

  • 長期的な収入の見通し
  • ライフプランとの整合性

を考えやすくなります。
次章では、こうした年収モデルを踏まえ、給与の内訳(基本給・手当・賞与)をさらに詳しく解説します。

教員の給料の内訳:基本給・手当・ボーナスを分解!

中学校教員の年収は、「月給はいくらか」という単純な数字だけでは把握できません。
実際には、法律・条例に基づく複数の要素が組み合わさって構成されています。

ここでは、公立中学校教員を対象に、給料の内訳を制度ベースで分解して解説します。

基本給:給与の土台となる「給料表」

公立中学校教員の基本給は、地方公務員として
「教育職給料表」 に基づいて決定されます。
この給料表は、各自治体が条例で定めるものですが、制度の考え方は全国共通です。

基本給を決める主な要素は次のとおりです。

  • 学歴(大学卒・大学院修了など)
  • 採用前の職歴(社会人経験の年数)
  • 採用後の勤続年数(号給の昇給)

毎年の定期昇給によって、号給が一段階ずつ上がり、
基本給は緩やかに、かつ安定的に上昇していきます。

参考:文部科学省「公立学校教員の給与制度について」 

教職調整額:時間外勤務手当の代替として支給

公立学校教員には、一般の地方公務員と異なり、原則として時間外勤務手当(残業代)は支給されません。その代替措置として設けられているのが教職調整額です。

これまで教職調整額は、給料月額およびこれに連動する手当の合計額の4%相当が一律で支給されてきました。これは「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」に基づく制度です。

しかし、2025年に給特法等の一部改正法が成立し、2026年1月から教職調整額は段階的に引き上げられることが決定しました。最終的には2031年までに10%へと拡大される予定です。

参考:文部科学省「教師の処遇改善について(教職調整額の引上げ等)」

この改正は、教員の長時間勤務の実態を踏まえた処遇改善策の一環として位置づけられています。

重要なポイントは次の通りです。

  • 勤務時間の長短に関わらず一律支給(実労働時間に比例する残業代ではない)
  • 部活動指導や校務による超過勤務があっても時間単位で増額される仕組みではない
  • 2026年以降は段階的に引き上げられ、将来的に給与月額の10%相当へ拡大予定
  • 教員の働き方改革および処遇改善と密接に関連する制度

したがって、現在の給与制度を説明する際には「4%」という従来の水準だけでなく、2026年以降の段階的引き上げという最新動向もあわせて理解することが重要です。

各種手当:生活状況・勤務地・役割に応じて支給

基本給と教職調整額に加えて、教員には複数の 諸手当 が支給されます。
これらは、個人の生活状況や勤務条件に応じて支給されるものです。

代表的な手当は次のとおりです。

  • 地域手当:物価水準の高い地域で勤務する場合に支給
  • 扶養手当:配偶者・子どもなどの扶養家族がいる場合
  • 住居手当:賃貸住宅に居住している場合
  • 通勤手当:通勤に要する交通費相当額
  • 管理職手当:教頭・校長など管理職に就いた場合

これらの手当の支給基準は、地方公務員法および各自治体の条例に基づいて定められています。

参考:総務省「地方公務員制度等」

ボーナス(期末・勤勉手当):年収を大きく左右する要素

教員の年収において、大きな割合を占めるのが
期末手当・勤勉手当(いわゆるボーナス) です。
公立中学校教員のボーナスは、人事院勧告を踏まえ、各自治体の条例によって支給月数が決定されます。

制度上の特徴は以下のとおりです。

  • 年に複数回支給される
  • 支給額は給与月額を基準に算定される
  • 年度ごとに支給月数が見直される場合がある

参考:総務省「期末・勤勉手当の取扱い」

給料の内訳を整理すると

公立中学校教員の給料は、次の要素で構成されています。

区分内容
基本給教育職給料表に基づく月給
教職調整額給与月額の4%相当(※2026年1月から段階的に引き上げ、最終的に2031年までに10%へ拡大予定)
各種手当地域・扶養・住居・通勤・管理職など
ボーナス期末手当・勤勉手当

このように、教員の給料は制度に基づいて積み上がる構造になっていることが分かります。

内訳を理解することの意味

教員の収入は、「残業代が出ない」「月給が低く見える」といった印象を持たれがちです。

しかし実際には、

  • 定期昇給による安定的な増加
  • 諸手当による補完
  • ボーナスによる年収の底上げ

といった制度によって、長期的な収入の見通しが立てやすい職業でもあります。

次章では、これらの内訳を踏まえたうえで、「中学校教員は年収を上げることができるのか」という視点から、制度上の選択肢やキャリアの考え方を解説していきます。

中学校教師の年収を上げる方法は?キャリアアップと選択肢

中学校教師の年収は、成果給や交渉によって大きく変わるものではありません。
一方で、制度に基づいたキャリアアップの選択によって、年収水準を高めていくことは可能です。

ここでは、公的制度に基づいて認められている中学校教員の主なキャリアアップのルートを整理します。

方法① 管理職(教頭・校長)になる

最も明確に年収が上がるのが、管理職への昇任です。
教頭・校長になると、適用される給料表や手当が変わり、給与水準が一段階上がります。

文部科学省は、公立学校教員の人事制度について次のように示しています。

  • 校長・教頭は教育職ではなく、管理職としての給与区分が適用される
  • 管理職手当が支給される
  • 職責の増加に伴い、給与水準も高くなる

参考:文部科学省「公立学校教員の人事制度について」

管理職になるためには、各自治体が実施する管理職選考(昇任選考)を経る必要があります。
年収面では、制度上もっとも影響が大きいキャリアアップの選択肢です。

方法② 給料表上の昇給を積み重ねる(勤続年数)

管理職に就かなくても、
勤続年数に応じた昇給によって年収は着実に上がります。

これは、教育職給料表に基づく制度的な昇給です。

  • 毎年の定期昇給により号給が上がる
  • 一定年数までは比較的安定して昇給が続く
  • 中長期的に見ると、年収水準は大きく変わる

参考:文部科学省「公立学校教員の給与制度について」 

この方法は即効性はありませんが、
最も確実で再現性の高い年収アップの方法といえます。

方法③ 専修免許状を取得する

教員免許の中で、最上位に位置づけられているのが 専修免許状 です。
大学院修了など一定の条件を満たすことで取得できます。

文部科学省は、免許状の区分について次のように定めています。

  • 一種免許状
  • 二種免許状
  • 専修免許状

参考:文部科学省「教育職員免許法の概要」

専修免許状を取得すると、自治体によっては

  • 給料表上の格付けが上位になる
  • 初号給や昇給幅に影響する

といった扱いがなされる場合があります(※運用は自治体条例による)。

方法④ 役職に就く(主任・主幹教諭など)

管理職ではなくても、校内の役職(主任・主幹教諭など)に就くことで、手当が支給される場合があります。
文部科学省は、主幹教諭等の役割について次のように整理しています。

  • 教育活動の中核を担う教員
  • 校務運営における責任が増す
  • 一定の役職手当が支給される場合がある

参考:文部科学省「主幹教諭・指導教諭について」

このルートは、

  • 管理職ほどの負担を負わず
  • 一定の処遇改善が見込める

という点で、現場志向の教員にとって現実的な選択肢となります。

方法⑤ 勤務地域を変える(地域手当の差)

公立教員の給与は全国一律ではありません。
地域手当の有無・割合によって、同じ給料表でも実際の給与は異なります。

地域手当については、総務省が次のように定めています。

  • 地域ごとの物価水準等を考慮して支給
  • 支給割合は自治体・地域ごとに異なる

参考:総務省「地域手当について」

都市部など地域手当が高い地域で勤務する場合、
同じ経験年数でも年収が高くなる可能性があります。

「年収アップ」は制度選択の積み重ね

中学校教師の年収は、

  • 成果報酬
  • 個人交渉

によって上下するものではありません。

その代わり、

  • 管理職への昇任
  • 給料表に基づく昇給
  • 免許状・役職・地域の選択

といった制度上認められた選択肢の積み重ねによって形成されます。

次章では、これまでの内容を踏まえ、よくある疑問(Q&A)として「年収1,000万円は可能か」「私立のほうが稼げるのか」といった質問に、公的制度の範囲で答えていきます。

中学校教師の年収に関するよくある質問(Q&A)

ここでは、「中学校 教員 年収」というキーワードで特に検索されやすい疑問について、
制度・統計に基づいて一つずつ整理します。

Q1:中学校教師で年収1,000万円は可能ですか?

結論から言うと、制度上は可能ですが、限られたケースです。

公立中学校教員の場合、一般教員の給料表では年収1,000万円に到達することは想定されていません。
一方で、校長などの管理職に就いた場合は、給与区分や手当が変わるため、年収1,000万円前後に達する可能性があります。

この点について、文部科学省は次のように整理しています。

  • 校長・教頭は管理職としての給与区分が適用される
  • 管理職手当が支給される
  • 給与水準は一般教員より高くなる

参考:文部科学省「公立学校教員の人事制度について」

ただし、管理職になるには自治体ごとの昇任選考を経る必要があり、
すべての教員が到達できるわけではない点には注意が必要です。

Q2:私立中学校教師のほうが公立より年収は高いですか?

一概にどちらが高いとは言えません。

公立中学校教員は、地方公務員として給与水準・昇給が制度的に保障されています。
一方、私立中学校教員は学校法人ごとに給与規程が異なり、年収には大きな幅があります。

文部科学省は、私立学校教員の処遇について次のように示しています。

  • 給与は学校法人ごとに定められる
  • 公立教員の給与表を参考にしている場合もあるが、同一ではない
  • 昇給・賞与は法人の判断に委ねられる

参考:文部科学省「私立学校制度の概要」

そのため、

  • 初任給や一時的な年収は私立の方が高い場合もある
  • 長期的な安定性では公立が高い

という傾向が見られます。

Q3:部活動の顧問になると給料は増えますか?

原則として、給料は大きく増えません。

公立中学校教員には、時間外勤務手当(残業代)は支給されず、代わりに 教職調整額(給与月額の4%相当(※2026年1月から段階的に引き上げ、最終的に2031年までに10%へ拡大予定)(給与月額の4%) が一律で支給されています。

参考:文部科学省「教職調整額について」

部活動指導については、

  • 特殊勤務手当等が支給される場合がある
  • ただし、金額は限定的で、時間に比例して増える仕組みではない

とされています。

そのため、部活動の顧問になることで年収が大きく上がることはありません。

Q4:女性の中学校教師は男性より年収が低いのですか?

給与制度上、性別による差はありません。

公立中学校教員の給与は、

  • 給料表
  • 勤続年数
  • 役職

によって決まるため、性別による賃金差は制度上存在しません。

ただし、文部科学省の統計では、

  • 管理職(校長・教頭)に占める女性の割合は依然として低い

ことが示されています。

参考:
文部科学省「学校教員統計調査」

このため、管理職登用の割合の違いが、結果的に平均年収の差として現れる可能性はあります。

Q5:社会人経験があると初任給や年収は上がりますか?

制度上、上がる場合があります。
公立教員の初任給は、採用前の職歴を一定程度換算して決定されます。
これは、各自治体が定める給与条例・運用基準に基づくものです。
総務省は、地方公務員の給与制度について次のように説明しています。

  • 採用前の職歴は、一定の基準で号給に換算される
  • 民間企業での経験が評価される場合がある

参考:総務省「地方公務員制度等」

そのため、社会人経験を経て中学校教員になった場合、
新卒採用よりも高い初任給になるケースがあります。

Q6:教員の年収は今後も上がっていきますか?

制度上は、勤続年数に応じた昇給が続く仕組みです。

公立教員の給与は、

  • 教育職給料表
  • 定期昇給制度

に基づいており、一定年数までは昇給が続きます。

参考:文部科学省「公立学校教員の給与制度について」 

ただし、

  • 昇給幅は徐々に小さくなる
  • 管理職に就かない場合、一定水準で頭打ちになる

といった特徴もあります。

Q&Aのまとめ

  • 中学校教師で年収1,000万円に達するのは管理職など限られたケース
  • 私立の方が高収入とは限らず、安定性は公立が高い
  • 部活動で年収が大きく増えることはない
  • 性別による賃金差は制度上存在しない
  • 社会人経験は初任給に反映される場合がある

これらはすべて、公的制度・統計に基づいた事実です。

まとめ:中学校教員の年収を「制度」と「現場」から捉える

本記事では、文部科学省・総務省が公表している公的な一次情報をもとに、給与水準の捉え方、公立と私立の違い、年代別のモデル、給料の内訳を整理してきました。中学校教員の年収は成果や交渉で上下するものではなく、制度に基づいて積み上がる収入であること、そして長期的な見通しを立てやすい一方で、地域や役職等によって差が出ることがポイントです。

一方で、年収という数字だけでは語りきれないのが教員という仕事の本質です。Teach For Japan(TFJ)では、フェローとして実際に中学校の教壇に立つ人たちがいます。フェローが口をそろえて語るのは、子ども一人ひとりの変化を間近で感じられること、学校という場が人生に長く影響を与える現場であること、決して楽ではないが社会的意義を実感できる仕事であること、といった点です。

Teach For Japanが大切にしているのは、「教員になること」をゴールではなく、キャリアの一つの選択肢として捉える視点です。年収や制度を正しく理解したうえで、「自分はどんな価値を社会に提供したいのか」「どんな環境で力を発揮したいのか」を考えることが、後悔のない選択につながります。Teach For Japanでは、教育に関心を持つ人が「納得して一歩を踏み出せる」情報発信を続けています。

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