どうして現役教師がTFJフェローに?~「学び続ける教師」で在るために、多様なバックグラウンドの仲間と学び合える環境を探し求めてTFJに参画した話。~
- フェローインタビュー
今回は、現役の教師でありながらTeach For Japan(以下、TFJ)のフェローシップ・プログラムに参加され、第13期生として活動中の須原理加さん、坂本秀男さんに登壇いただき、今なぜTFJに参画しようと思ったのか、プログラム参加からの変化や得たものなどについて語っていただきました。ぜひ最後までご覧下さい。

須原理加さん (Teach For Japanフェロー第13期生 / 高等学校教諭)
石川県金沢市出身。金沢市内の私立・公立の中学・高校で20年間、多くの生徒と関わる。担任、進路指導部、国語科主任を担当する中で、「学校での学びから社会・世界を考える」教育を目指し、自身も学び続ける存在でありたいと、Teach For Japanに応募。TFJの研修を通して、生徒の主体性を引き出す授業実践に取り組んでいる。また教職員の健康や充実感が、良い教育につながるとの思いから、現在、「教員のワーク・イン・ライフ」について勉強中。

坂本秀男さん (Teach For Japanフェロー第13期生 / 小学校教諭)
1996年生まれ。大学の教育学部を卒業後、「経験を積んでから教員になりたい」と考え、教育業界の民間企業で営業職に従事。その後、東京都の私立小学校に転職し、今年度で教員歴3年目を迎える。大学で学習科学を学んだことがきっかけで、「人はいかにして賢くなるのか」というテーマに関心を持ち、その知見を生かした環境や授業づくりに興味を抱くようになる。現在は、関わる子どもたちに「学びを信じる力」を育むことを目指し、児童が主体となって学びを創出し、深めていく授業のあり方を日々模索している。
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-簡単に自己紹介をお願いします。
須原さん:須原と申します。石川県金沢市で20年間教員を続けています。中学校を3年間経験しましたが、ほとんどは高校で国語の教員をしています。この1年を通して様々な学びを得ています。本日はよろしくお願いします。
坂本さん:坂本と申します。私は元々学校の先生になりたいと思っていたのですが、教育学部を卒業した後、塾の運営側の社員として民間企業に営業職で従事しました。その後、現在務めている東京都の私立小学校に転職し、来年度からは5年生の担任をする予定です。本日はよろしくお願いします。
ー教師になった理由を教えてください。
須原さん:私は物心ついた時から漠然と教師になりたいと思っていました。何の先生になろうか、いろいろ考えましたが、結果的には一番自分が好きな教科だった国語の先生になりました。他の職業を考えることはなかったですね。
坂本さん:高校の時の恩師の影響が大きいです。中高一貫で6年間ずっと担任をしてくれていた先生が、大学受験で1年浪人をした2回目のセンター試験の時に、わざわざ応援に来てくれたんです。その時に、こんなふうに生徒の人生に寄り添える先生になれたらいいなと思ったのがきっかけです。大学では小中高全ての教員免許をとりました。
日々の業務に忙殺される中、教師として新たな学びを得たい
ー学びなおしたいと思った経緯を教えてください。

須原さん:20年間教師をやってきましたが、生徒に「勉強させる」やり方でいいのか、ずっともやもやしていました。大学入試も多様化し、世の中や社会が変わっているのに、一方的に教える教育の仕方でいいのか、狭い視野で教育をしているのではないかという危機感も感じ、生徒が自分からもっと「学びたい」と思える授業ができるよう、自分も学びなおしたいと思いました。
坂本さん:日々の業務に忙殺され、自分で考えて授業をつくれておらず、自分を追い込むためにも長期で取り組める研修で学びなおそうと思ったのがきっかけです。
ーTFJに決めた理由を教えてください。
須原さん:「教室から世界を変える」という言葉に惹かれました。子どもたちが学んだことを、もっと社会や世界に直結させられるような教育をしたいという想いで応募しました。大学院に行くことも考えたのですが、色々なバックグラウンドを持っていらっしゃる方と一緒に教育を考えることができるということで、TFJを選びました。
坂本さん:一つ目は、色々なバックグラウンドの方が集まっている環境だということです。教育の世界は良くも悪くも教員だけが集まっている世界なので、自分の視野を広げるためにも色んな方との関わりを持ちたいと思いました。二つ目は、研修内容が学習科学をベースにしている点です。私は大学で学習科学を学びましたが、それが実際の教育現場とうまくリンクしていないと感じており、うまくリンクさせられれば子どもたちに還元できるのではないかと考えました。
学んだことをすぐ現場に生かす
ープログラムの赴任前研修の中で印象に残っていることを教えてください。お仕事もある中でお忙しい数ヶ月だったと思います。
(赴任前研修では、主に集合研修、オンライン研修、学校ボランティア、グループ対話といった方法を通して、理論と実践を往還しながら学びを深め、教師として学校現場に赴任するための準備をします。須原さん、坂本さんのお二人は、教員をされながら研修にご参加いただきました。)
須原さん:一つ目は、事前準備・事後の振り返りが徹底されており、それにより自分の中で学びとして深まった実感が得られたことです。二つ目は、対話の多さです。最初は苦手意識がありましたが、自信をもって話せるようになり、楽しく学べました。
坂本さん:研修のコンテンツも興味深かったですが、その学びの方法が対話中心だった点が印象に残っています。
ー実践への影響はありましたか?
須原さん:生徒に何かを指示するときに、曖昧にならないよう意識するようになりました。目的や流れを事前に明確に伝え、終わった後に振り返る時間をとるようになりました。まさに、TFJで体験した学びの方法です。

坂本さん:日常生活と学びを結びつけることを意識するようになりました。教科書の中に出てくるテーマを教科書の中で終わらせるのではなく、ヒントをちりばめるような話をすることで、子どもたちが自分の意見を言いながら対話を通じて学べる授業ができました。
研修への参加が自分を見つめなおすいい機会に
ー研修のコンテンツとして、おもしろかったものはありますか?
坂本さん:自分のビジョンやなりたい姿について考える「在り方セッション」はとても楽しかったです。今の仕事では子どもたちについて考えることには慣れていますが、自分自身について考えることがなかなかありません。皆さんとも仲良くなれるきっかけになりました。
須原さん:私も同じです。自己価値観についてしっかりと考えることができたと思います。目標に対して、何をしなければならないのかが一つ一つ明確になりました。また一つ一つの業務の目的について考えるようになり、仕事に対するモチベーションが変わってきたと感じています。
ーTFJのプログラムに参加することで、教師としてどのような影響をうけましたか?
須原さん:高校の評論文で扱う格差社会やAI問題などに、実際に関わってこられた方のお話を聞けたのはとても貴重でした。それを授業を通して生徒に伝えることができました。

坂本さん:皆さんの挑戦を見ているうちに、自分の挑戦のハードルが下がり、他の学校の研修会にも積極的に参加するようになりました。色々やってみようと思えるようになったのは、アクティブに動いている方々から刺激を受けたからだと思います。
ー赴任前研修を経た上での、現在のビジョンを教えてください。
須原さん:生徒に「自分で考える力を身につけてほしい」と考えています。教わるだけでなく、自分の頭を使い対話を通じて考え、解決策を探せるようになってほしい。そのために教師はどういうきっかけを与えればいいのか、どういう授業をすればいいのか。答えはないと思うので、考え続けていきたいです。

坂本さん:ビジョンは研修前後で変わらず、「学びを信じる力を引き出せる教師になりたい」ということです。子どもたちが壁にぶつかった時に、学べば何とかなるんだと思えれば、どんな壁でも乗り越えられると思います。そのような力を身につけさせられる教師になりたいです。
ーTFJでの学びを経て、実際の教育現場で具体的な取り組みを行っていますか?
須原さん:国語の学びには、時代もテーマも様々なものがあります。その一つ一つを自分に関係あることとして捉えられるように、教科書には書かれていない、一歩進んだ問いを授業デザインの中に組み込んでいます。
坂本さん:子どもには学ぶ力があるという前提に立って、問いや準備する資料を考えたり、どうすれば学びが深まるかを考えながら授業の準備をすることを心がけています。
大変ながらも新たな出会いや視点が得られた赴任前研修
ー現役の教師として、TFJに参加することにどのような価値があるとお考えですか?
須原さん:日々の業務をしながら研修を受けるのは大変ですが、確実にそれで自分がアップデートされるのは間違いありません。研修を受ける前は仕事が惰性になり、これでいいかという気持ちになったり、もっと教師として向上したいけれど、どうすればいいかわからなかったりすることがありました。TFJの研修に参加することで、たくさんの方から影響を受け、新しい視点で教育を考えられるようになりました。
坂本さん:新しいコミュニティが作れるのが一番の価値だと思います。様々なバックグラウンドの方がいらっしゃるので、今までの自分や教育現場にいるだけでは見えなかった視点に触れ、視野が広げられたと思います。授業で生徒たちに話せるネタもたくさんできましたね。
-これからフェローとしての取り組みたいこと、今後の展望をお聞かせください。
須原さん:授業デザインを工夫し、授業の質を向上させることはもちろん、教員のライフワークバランスの向上にも取り組みたいです。
坂本さん:色々なことに挑戦したいです。授業準備などの日々の業務はもちろん、自分の教師としてのキャリア選択もしていきたいです。
頑張った分得られるものも多いTFJ、ぜひチャレンジを!
-応募検討中の方へメッセージをお願いします。
須原さん:仕事をしながら研修を受けるのは大変な面もありますが、仲間がたくさんいて、めげそうになっても頑張れる環境があります。頑張った分得られるものも多いと思いますので、ぜひチャレンジしていただきたいです。
坂本さん:この1年間、研修を受けて変わったと思います。今の現状を変えたいなという方がいらっしゃれば、大変だとは思いますがやってみる価値はあると思いますので、挑戦してみてください。
Q&A
Q:教師として、具体的にどのようにお忙しいのでしょうか?
坂本さん:授業の準備など自分のやりたい仕事に時間が割けません。理由は、宿題の添削、公務、保護者の対応など諸々の雑務もあり時間がとれないからです。
須原さん:授業準備だけでなく、校務分掌や、部活動もあります。定時後や休日に仕事をしなければならないこともあります。もちろん仕事は好きですが、体調管理も大切ですし、家庭のことや研修も入ってくると本当に多忙です。
Q:タイムマネジメントの工夫を教えてください。
須原さん:やらなければならないことに優先順位をつけています。1日、1週間、1ヶ月といった単位で優先順位をつけて、スケジュールをざっくり立てながら行動することで何とかこなせています。
坂本さん:優先順位を意識することに加え、その場で終わらせられることはその場で終わらせる、隙間時間を活用するといった工夫をしています。TFJの課題は通勤時間で完了させるなど、うまく時間を決めて動いています。
Q:キャリア教育に関して、取り組まれていることを教えてください。
須原さん:自分の学びたいことがどういう職業につながるのか、生徒と一緒に調べる時間を取っています。
Q:学校現場で感じている課題について教えてください。
須原さん:教員や学校だけで解決できない問題が多い中で、地域や保護者からの要望と、教育現場のギャップが年々大きくなっていると感じています。
坂本さん:教師が足りないということです。実際に少ないということに加え、先生は大変だというイメージが先行してなりたい人が減っているのは問題だと思います。
まとめ
TFJのフェローシップ・プログラムに参加して、教師としての成長を目指されている須原さん、坂本さんにお話を伺いました。現役教師をされているからこそ感じるTFJの魅力が伝わってきました。そして、TFJの研修で学んだことをすぐに現場で生徒たちに還元しているところが、とても素敵だなと感じました。これからのご活躍も期待しています。
須原さん、坂本さん、ありがとうございました。
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