「主体的な進路選択」をサポートしたい。エンパワーリングし続けることで変わる。
- 修了生インタビュー
~アラムナイインパクト vol.1_風間亮(30)_学習塾 塾長~
Teach For Japanのフェローシップ・プログラム修了後、”「なりたい自分」に出会える塾C.school” を立ち上げ、塾長となった風間さん。開校から1年で関係メディアにも取り上げられ、60名以上の生徒が通う大人気の学習塾へと成長。そんな風間さんが大切にする「主体的な進路選択」とは? そして、その熱い想いの源泉とフェロー(教員)時代の学びを伺いました!
出身大学 | 慶應義塾大学理工学部管理工学科 |
職歴 | NTTコミュニケーションズ(株) → Teach For Japan 4期フェロー(中学校英語) → 民間の経営大学院(修了生マーケティング部門) →学習塾C.school / Teach For Japan 非常勤職員 |
C.schoolコンセプト | Create your future自分の未来は自分で創る |
主体的な進路選択の先に見えた「塾」という現在地。
C.Schoolをやろうと思ったきっかけは?
もともと中学生や高校生の「主体的な進路選択をサポートしたい」っていう想いがありました。というのも、大学に入学するまで僕自身が「主体的な進路選択」をしてきていなかった経験があります。
高校生の頃を振り返ると、担任の先生に「この大学行った方がいいよ」「理系に行けばつぶしが利くよ」と言われたので、特に何も考えずに大学に進学しました。でも、大学に入学したときに「なぜ自分がここにいるのかわからない」という状態になって……。しかも、大学の理工の勉強ってすごく難しいし、単位を落とせないから、結構勉強したんですけどきつかったんですよね。それで、「何でいまこの状態なんだろう?」って悩みました。
そんな大学生活を過ごす中で、すごく主体的に行動している先輩と出会いました。自分なりの理由を持って留学したり、理由を持って就職したり。その先輩は、僕にいろいろ話をしてくれて、自分の世界がどんどん広がっていったんです。しかも、僕のことをすごく応援してくれて、それで僕は自分なりに選択して行動を起こせるようになりました。そのとき初めて、「主体的に行動できるようになったな」と実感したんです。
もし、その主体的に選択する体験が中学生、高校生の時にあったら。その体験が早ければ早いほど、より良い選択ができるんじゃないかって思って「主体的な進路選択をサポートしたい」という想いを持つようになりました。
そのための1つの挑戦として、Teach For Japan(以下、TFJ)を通じて学校教員になり、いまは学習塾を立ち上げて塾長として子どもたちに関わっているという感じです。
教員になった後、経営大学院大学で働いてから学習塾を開校していますが、そのキャリアを選んだ理由は?
2つあって、1つは率直に言うとまだ迷いがあったというのが大きいです。2年間フェロー(教員)をやった上で、たくさんの学びがあったし、いろんな経験をさせてもらったんですけど、2年間終わった時点では租借しきれていないことがありました。
その悩みの中で漠然と、学校なのか塾なのか、そういう直接的な場を自分でつくりたいっていうのがありました。民間でうまくいっている学校法人の運営側で仕事をしてみたいと思って就職しました。
「直接的な場」をつくりたいという想いはいつからあった?
「場の価値」をより感じたのは、やっぱり教員を経験してからですね。教員を通じて、直接人と関わって、信頼関係を築いて、何かが変わっていく瞬間にすごく価値があるなと思いました。
例えば、C.schoolでは “すらら” というIT教材を使っています。でも、勉強できる環境を用意すれば自分から勉強するかといえば、やらないですよね。
そもそものモチベーションや、なぜ(この勉強を)やるのか? といった理由がなければやらないです。子どもたちだけじゃなくて大人も。僕らもいまハーバード大学の授業を無料で受講できますけど、別に受講しようと思わないじゃないですか?(思うべきなのかもしれないですけど。笑)そこに学ぶ意味みたいなものが必要だなって思っています。
学ぶ意味を一人一人と共有するために大事にしていることは?
これは教員時代のことが背景にあるんですけど、とにかく生徒とのコミュニケーションを大事にしていますね。
大きく3つのやり方をとっています。1つは、日常のコミュニケーションです。毎回絶対一人一人と会話するようにして、コミュニケーションをとっています。2つ目は、学習ノートです。会話するコミュニケーションだけじゃなくて、その子の振り返りや、いま感じていることを学習ノートに毎日書いてもらって、それに対してコメントしています。3つ目は、個人面談です。定期的に一対一で面談の時間を確保して、対話するって感じですね。
コミュニケーションが大事だと感じた印象的なエピソードは?
すごい大きいところで言うと、うちの塾は辞める子がほぼいなくて、たぶんそれはコミュニケーションが前提にあると思います。生徒に対しても、保護者に対しても、寄り添う気持ちを大切にして、コミュニケーションを大事にしていることは大きいかなと思います。
それと、生徒の主体性が出てきたことに、大きな変化が起き始めていると実感しています。塾って、保護者が入れたいと思って入ってきていることが結構あります。だから、最初は生徒自身にあまり意思がなくて、勉強の計画を一緒に立てても、「そんな感じでいいです」って、とりあえずやっている様子でした。でも、最近は自分から質問してくれたり、勉強計画を自分で考えたり、意思を持って行動することが増えています。これって日々のコミュニケーションの積み重ねかなと!
「信頼されること」が大前提。だからこそ知ろうとする姿勢・取り組みが大事
教員時代で一番つらかったことは?
無力さですよね……自分の。1年目の2学期は、逃げ出したくて仕方なかったですね。何がつらかったかっていうと、子どもたちと本当の意味で関係を築けていないのが明らかに分かっていたことです。
最初は「東京から来た若い先生」みたいなことで、いくらでも乗り越えられたんです。でも、夏休みを越えて付き合いが長くなってくると、そういうものはどうでもよくなって、信頼できる人かどうかしかなくなりました。そのときに、心から尊敬している2人の先生方と自分の圧倒的な差が苦しかったですね。
その苦しい状況からどう抜け出してきましたか?
授業のやり方などのスキル面は本を読めば身に付けることができました。でも、本質的な部分って何やったらいいのかイマイチ分からなかったので、僕が尊敬している2人の先生方がしていることを見よう見まねで全部やりました。
例えば、学年の生徒78名全員と毎日会話するように心掛けていまいしたし、授業で使った英語ノートを毎回提出してもらって、コメントしていました。
他にも、生徒が日々やっている掃除を、生徒と同じ目線で一緒にやるようにしていました。ただ掃除を一緒にするのではなくて、僕たち(教員)が膝をついて雑巾がけをやる。そうすると、生徒と同じ目線で掃除について会話できるようになります。些細なことかもしれませんが、こんな風に生徒と同じ目線で会話ができるように、先生として言ったことは自分もやるようにしました。
つまり、それは相手を知ろうとする姿勢でしょうか?
確かに、先生たちの仕事ってやらせなきゃいけないっていうか、なにか行動を促さないといけない。それは子どもたちの成長のためにですけど。その表面だけ見たら、本当に嫌なことってたくさんあるじゃないですか。「なんで靴下白じゃないといけないのか」とか。
そういう疑問に対して一緒に考えるっていうことを結構してましたね。いまでも覚えているのは、まさに「なんで靴下白?」の話で、「なんでなんですか?」って生徒に質問されて、「なんでなんだろう」っていうのを一緒に考えて、それ変えるためにはどうしたらいいのかみたいな話までしていきました。振り返ると、そこで会話して出た結論よりも、その会話を繰り返すことにすごく意味があったと思います。
自分事として考え、全力でエンパワーリングする。
風間さんのこれからのビジョンは?
教育現場でコミュニケーションを大切にすることが、もっと起きやすくなる状態をつくりたいです。僕らがC.schoolでIT教材を使っている理由は、IT教材だから分かりやすいからではないんです。IT教材で勉強するのと僕が授業するのはそんなに変わらない。変わらないなら、IT教材を活用して、人間が価値を出せる時間を作って、もっと本質的なコミュニケーションに時間を使いたいと思うからです。
それで、ITをうまく使うとかして、志ある先生たちが、もっとコミュニケーションを取るために時間を使ったり、信頼関係を築くためにできることを考えたり、やり方はたくさんあるんじゃないかなって。想いのある人たちが、想いを子どもたちに届けられるような仕組みなのか、取り組みなのか、漠然とですがそういうことをやりたいですね。
人間が価値を出せることってどういうこと?
やっぱり対話ですかね。僕は、大学2年生の時に先輩に出会って、その先輩が主体的に行動していたからだけではなくて、僕に関わって応援してくれたことがすごく大きいです。圧倒的にすごいと思える人が、自分をエンパワーリングしてくれている経験が僕の人生を変えてくれたなって思うんです。そこってすごく人間らしさがある。
人に憧れるっていうか……「こんな風にできたらいいのにな」「未来を切り拓けたらいいな」っていう意思の芽生えですかね。それって、「これやったらこうなる!」みたいな機械的なことではなくて、日々伴走する、日々寄り添っていくっていうのが前提にあると思うんです。
最後に、仕事をするうえでの信念は?
自分事で考える。
これも教員の経験が大きいですが、「勉強しなさい」って僕が誰かに言ったとき、「勉強しなさいって言われたらどうだったんだっけ?」とか、「こういう授業やればみんな楽しいでしょ?」ってなったとき、「自分が中学生だった時にどうだったんだっけ?」とか。
「自分がこの人だったらどうだったんだろう?」って考えるように心掛けています。無責任にならないように。
教員時代に最も突き付けられたことって、自分はこうしたらいいって思ったことを全部やったんだけど、子どもたちから見たら「それって別に要らないんだけど、、、」っていう、結局自分は押し付けていたということだと思います。それを乗り越えてきたから、いまの信念がありますね。
生徒さんのコメント
F・Hさん(中学3年生)
-どんな先生ですか?
必ず挨拶をしてくれる先生です。塾から帰るときも「お疲れ様!」って言ってくれて、「今日もがんばったな」って感じになります。勉強や塾に関係ない話しでも、一緒に楽しく話してくれます。
-入塾して変化はありましたか?
勉強する姿勢が変わりました。
最初は、「勉強するぞ」っていう気持ちの切り替えができなかったけど、やっていくうちにだんだん切り替えができるようになってきて、「勉強やるぞ!」って思ったらすぐできるようになってきました。数学の点数が上がって、いまは学年1位を取っています。
A・Mさん(中学3年生)
-どんな先生ですか?
塾の先生って勉強のことだけしか話せないって思ってたんですけど、風間先生は趣味のことに興味を持ってくれたり、話したことをその場で調べてくれたりします。あと、塾に来たときも帰るときも、「さよなら」って言ったら、誰としゃべってても必ず「さよなら」って言ってくれる。
-C.schoolの第一印象は?
勉強する場所だから固っ苦しいのかなとか、緊張した空気が出ているのかなと思ってたんですけど、めちゃくちゃ優しい空気で、ここだったら空気に押しつぶされないで勉強できるなって思いました。友達から聞く塾って、先生がずっと監視してるみたいな、、すごく固っ苦しい感じだったんで怖いのかな~って。でも、ここはそんなのはないです!家にいるみたいに、いつも通りの自分でいられます。
-入塾して変化はありましたか?
すごいありますね。いままでは得意教科だけ勉強して、苦手教科はどうせできないから「やらなくていいや」って思っていました。でも、塾に入って苦手教科の克服の仕方や勉強の仕方を変えていくうちに、どんどん点数が上がりました。
いままでは勉強するのが嫌いで、「誰がやるかよ」みたいな感じでした。でも、風間先生に言われて勉強するのは嫌じゃないです。
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▼C.schoolのメディア掲載
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