コーチから小学校教員への転身!仲間がいると遠くに行ける。
- フェローインタビュー
コーチからTeach For Japan(以下、TFJ)のフェロー(小学校教員)へ転身した関口さんは、2人の娘を持つ母もあります。今回は、小学校の先生になるまでの経緯と現場で感じたことを中心にインタビューさせて頂きました。意外なものを使って新たな教育を生み出そうとする今の活動も見どころです!
関口寿子
※表は横にスライドできます。
赴任期間 | 2015~2017(第3期フェロー) |
赴任先 | 神奈川県 |
校種 | 小学校赴任(2年生、2年生担任) |
出身大学 | 上智大学・教育学科 |
教員免許 | 小学校/中学校・高校教員免許あり(英語科) |
経歴 | ぴあ株式会社→コーチ→Teach For Japanフェロー→小学校教員 |
趣味 | キャンプ、カフェ巡り |
好きな言葉 | This world is better place because of you. |
一言メモ | コーチ、親、小学校教員として。人の可能性を引き出すために前進を続ける。 |
※コーチ・・・個人や組織の目標達成を支援する存在
「育てる」ことの延長線上にあった「小学校の先生」
TFJに至るまでのキャリアを教えていただけますでしょうか?
ファーストキャリアは、ぴあ株式会社のコールセンター担当でした。アルバイトの採用や研修、クレーム対応を任される中で、「スタッフのやる気を高めるためにはどうしたらいいのか?」という課題を感じていました。また、子育てにも難しさを感じていたんです。「育てる」ことの難しさに直面していた時期でした。どうにかしたいと思って、その人の良さを引き出せるような、自走していけるような関わり方ができないかと模索していました。
そんなときにコーチングに出会い「あぁ~これか!」と感じたんです。それから、コーチをされている方のブログを毎日読むようになったり、実際にコーチングを受けたりしました。
また、コーチングを受けるようになってから、「自分らしく会社に貢献するってどういうこと?」と自問するようになりました。その答えが、職場でマナー研修や顧客満足を高める研修をすることだったんです。研修は、嬉しいことに「もう一回やって」「うちの部署でもやって」「大阪でも」「名古屋でも」と、どんどん社内に広がっていきました。そんな活動が周囲に評価されて、社長賞を頂いたり、昇格につながったりしました。身をもってコーチングの可能性を実感しました。
それから、コーチになるためにコーチングのスクールに通うようになりました。また、スクールで仲間と一緒に、中学校や高校のいくつかの部活動でコーチングをさせてもらいました。信念は「チーム内のコミュニケーションの質を高めれば、チームメイトへの相互理解がより深まり、それが試合の結果にもつながっていく。」でした。
コーチングを通して、チームや個人が成長していくことに関わるのはとても楽しい時間でした。ありがたいことに口コミが広がり、ロンドンオリンピックやソチパラリンピックを目指すアスリートの方のコーチングもするようになりました。何よりも、コーチングで関わったチームから「県大会にいけました」や「関東大会にいけました」と結果につながった報告を聞いたときは本当に嬉しかったです。
ファーストキャリアから人の成長に関わられていたんですね。
コーチから小学校教員になろうと思ったきっかけは何だったのですか?
コーチングをしていく中で、中学生や高校生の子どもたちと関わり、「学校」というキーワードが気になるようになっていました。
そんな折に、小学校6年生だった娘の教室にチームビルディングのコーチングを通して関わらせてもらったんです。娘の通っていたクラスでコーチングをして「小学生って、なんてかわいいんだろう!」と思ったんです。打ったら響く、すぐ反応が返ってくる素直さを感じました。それから、小学校の先生になると決めて、通信教育大学に通い始めました。
小学校の先生になろうと思って大学に通っているときに、たまたまTFJの記事をSNSで知りました。そこには、小学校の教員免許が無くても、来年度から小学校の先生になれる可能性があるというような内容が書いてありました。また、小学校教員資格認定試験(試験によって教員免許を認定する制度)があることもTFJを通して知りました。
それから、TFJのことを色々調べていくうちに「絶対に熱い人が集まってくる」と感じるようになりました。「1人だと速くいけるけど、仲間がいると遠くにいける」ということをコーチとして身をもって知っていたので、教師として遠くに行くなら仲間がほしいと思っていました。なので、熱い仲間が集まってくるであろうTFJに参加することを決めました。
仲間に支えられて成長した日々。自分らしくいることで毎日が楽しくて仕方なかった。
実際に小学校の先生になって、どんなことを感じましたか?
当初は、ずっと緊迫している感覚があり、朝家を出てから夜家に帰ってくるまでお腹が空かないという状態でした。自分はコーチだという気負いや学校に対する固定観念などが邪魔をして、ありのままの自分が出せていなかったんだと思います。
そんな状態が続く中で、担任したクラスが良くない方向に進んでいると感じました。「このままだとまずいな」と思って、同僚の先生方やTFJのスタッフ、自分のコーチにサポートを求めました。同僚の先生に子どものトラブルの対処法や子どもへの声掛けの仕方など実践的なアドバイスを頂きましたし、TFJのスタッフにも学級経営のアドバイスをもらいました。周りの仲間に支えられ、自分のやり方や考え方を変容させていきました。それから、少しずつクラスが良い方向に進んでいくようになりました。
小学校の先生になってしばらくの間は、精神的にかなりつらかったので、サポートしてくれる仲間がいたことに本当に救われました。いま振り返ると、1年目は小学校の担任の「責任の重さ」と「子ども集団を動かすことの難しさ」を痛感した時期だったと思います。
仲間のサポートがあり立ち直ることができたんですね。
その後、どのような変化がありましたか?
2年目は、1年目の経験が活きて見通しを持つことができたので、心にゆとりがありました。なので、カリキュラム通りに進めるだけではなく、子どもたちが自由に活動できる時間を取るように心掛けました。
例えば「作家の時間」を国語の時間にとって、自由に書く活動に取り組みました。決まっているのは「書く」ことだけ。詩を書いてもいいし、絵本を書いてもいいし、作文を書いてもいいし、友達や家族にお手紙を書いてもいいし、という感じで、子どもたちも大好きな時間でした。
他にも、絵本の読み聞かせをたくさんしました。月に2、3冊は絵本を買って、週に3~4回ほどの頻度で、子どもたちに読み聞かせしたんです。絵本を通して、子どもたちとの距離感も近くなりましたし、いい信頼関係を築くことができました。
2年間実践したことが、子どものどんな力になっているかはわからないですが、楽しかった思い出や居心地のよかった感覚が糧になっていたらいいなと思っています。すぐには芽が出なくても、大人になってからでもいいし、子どもができてからでも、思い出してくれたらいいなと思います。
畑を中心にした子どもの居場所を創りたい!
フェロー期間が終わった後は、どんなことをされていますか?
フェローの2年間の後、さらに2年間小学校で4年生と1年生の担任をさせてもらいました。自治体や学校が変わったことで、学校内での仕事の進め方やICT設備の違いがあると実感しましたし、地域によって、そこに住む子どもたちの課題も異なることがよくわかりました。
いまは、週に2回、書写や図画工作の授業に携わらせてもらっています。担任ではない立場で、関わる子どもたちの良いところを見つけて、どんどん褒めるようにしています。
それと、学校とは全く別の話ですが、畑を借りて耕しています。(笑) 実は、畑を耕しているのには目的があって、畑を中心に、困っている子どもの居場所ができればいいなと思っているんです。
まだどういう形で実現するかは畑仲間と相談しているところですが、アイディアとして、畑で採れた材料で子ども食堂を開いたり、泥の中で生き物の多様性を感じる交流の場をつくったり、泥団子を作ったり。畑を中心に子どもたちが交流できる場所を創れるように汗を流しています!
(編集後記)
「仲間がいると遠くにいける」という言葉の通り、仲間やチームのつながりを大切にしている関口さん。これまでのキャリアを伺う中で、自分の感情に正直に行動する力と決断の早さに驚きを隠せませんでした。これからの関口さんのチャレンジに注目です!
Teach For Japanは、学校の教室から世界を変えていきたいと考えています。多様な教育課題があるからこそ、学校へ情熱ある多様な人材を「教師」として送り出しています。教室で生まれたインパクトを、学校・地域・社会へと広げ、教育改革の一翼を担います。
参照リンク
教員資格認定試験|文部科学省
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