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フェローインタビュー fellowinterview

アメリカ留学で感じた教育の重要性社会人経験を経て小学校教員へ

環境問題をテーマに持ち、交換留学をきっかけに海外の大学に編入。留学中に「社会問題の解決は仕組みだけではできず、教育の根本に関わることが重要なのではないか」と考えるようになり、教育の道を志すようになった山本フェロー。なぜ教員なのか?そしてフェローシッププログラム終了後もなぜ教員を続けているのか?教員という仕事の可能性を伺ってきました。

Teach For Japan 先生 フェロー

山本茜

※表は横にスライドできます。

赴任期間2016~2018(第4期フェロー)
赴任先福岡県
校種小学校(4年生・2年生担任)
教員免許小学校・幼稚園教員免許
出身大学青山学院大学(国際政治経済学部)→ The University of Vermont(Enviromental Studies, Political sciences
経歴一般財団法人日本スタディ・アブロード・ファンデーション→Teach For Japan(小学校教員)→公立小学校教員
趣味旅行、美味しいものを食べること
座右の名Be the Change You Want to See in the World
一言メモ常に新しい学びを探す、好奇心旺盛な山本先生。理論を現場へ。いつも新しい学びを提供してくれます!

環境問題というテーマに向き合った先に見えた教育の重要性

教育に関心を持ったきっかけを教えてください。

小さい頃から、環境問題に携わりたいと思っていました。もともとは、小学生の時に、イルカの飼育員になりたくて、水族館へ連れて行ってもらったり、図書館で動物に関わる本を読んだりしていたんです。しかしある日、地球温暖化によって氷が解けていくのに苦しむアザラシの写真を目にして、わたしたち人間の生活が動物たちの安全な生活に悪い影響を与えているということに衝撃をうけ… それからずっと、自分にできることは何だろうかと考えていました。

大学は、日本とアメリカにちょうど半分ずつくらい通いました。日本の大学では、環境問題や環境教育について学ぼうと考えました。また、課外活動では、海外ボランティアのサークルに入ったり、友達と環境教育のプログラムを行ったりしていました。

環境問題は、国境を越えたグローバルな問題であるため、英語を話せるようになることが必要だと考えていました。なので、大学時代に留学することを目標にして、大学3年の秋からアメリカのバーモント州の大学に留学しました。

環境教育が盛んなアメリカでは、たくさんの刺激的なアイディアや実践に触れることができました。また、アジア系の学生が少ない地域だったこともあり、マイノリティとして生きることから多くのことを学びました。

しかし、ずっと学びたかった環境教育について学んでいくうちに、新たな疑問も湧いてきました。例えば、私が留学した大学は、リサイクルやコンポストなどの取り組みに非常に力を入れていたのですが、それでも学生の中にはリサイクル、ごみの減量などに積極的に取り組まない人もたくさんいました。環境保護に対してアクションを起こすためのシステムは整っていても、実際に行動している人は限定されていたのです。

目の前の問題をいかに「自分の事として捉えられるか」は、みんなでよりよい社会を作るために大切だと思うんです。特に、環境問題など社会で起きている問題は、原因と結果が複雑に絡み合っていたり、瞬時に結果が見えないことが多い。広い視野をもって考えて動くことが大切です。

だとしたら、当事者意識をもって、自分から行動する人を増やすにはどうしたらいいんだろう?と考え始めたんです。そこから、この問題を解決するためには、仕組みを作るだけではなく、教育の根本から関わっていくべきなんじゃないかと考えるようになったんです。

社会問題に対する当事者意識が強いですね。

自分自身は「社会問題に対する当事者意識が強い」と考えたことがなくて、それが当たり前だと思っていたのですが、大人になって「何で自分からその問題に取り組もうと思ったの?」とか聞かれることが多くなりました。いま振り返ると、幼稚園や小中学校での経験が自分の根っこにあるんじゃないかと感じます。小さい時から、「自分で考えて行動すること」や「当事者意識を持つこと」の大切さをたくさん教えてもらいました。東南アジアの子どもたちに寄付をするために郵便局まで歩いてお金を持って行ったり、社会の問題を自分たちの問題と捉えて行動したりする機会が多くありました。

初めから小学校の先生になろうと思っていたのですか?

アメリカに留学した当初は、学校の先生はまったく視野にありませんでした。それよりも、自然学校や環境系のNPOなどへの就職を目指していました。

でも、アメリカの現地の学校の先生との出会いをきっかけに、少しずつ想いが変わってきました。最後の学期に、卒業論文で日本の唱歌や童謡をいかした幼稚園向けの環境教育カリキュラムを作ったんです。そして、実際に現地の小学校の幼稚園クラスで授業をさせてもらいました。その時に担任の先生が、私の作ったプログラムを見て、「今年の学級のテーマは、”connection(つながり)”なの。いかにつながりを見いだすかに力を入れているんだけれど、このプログラムは理科にも繋がるし、日本のことも学べるから社会科にも繋げられるね。」とおっしゃったんです。そのときに、そうか、学校は「教科を教える」だけでなく「教科を超えて教える」ことができるんだな、と公教育の新たな魅力に気付かされました。特に、日本の小学校では、担任の先生がほとんどの科目を学級の子どもたちと学び、毎日何時間も一緒に生活するので、その可能性を強く感じるようになりました。

それでもまだ他の教育への関わり方にも強く関心をもっていたので、帰国後は留学で視野を広げる人がひとりでも増えるようにと、留学アドバイザーとして国際教育に関わりました。でも、まだ公教育に対しても諦めきれず、仕事をしながら通信制の大学で教員免許を取得しました。

教員になるかはとても悩みましたが、そんなときにTeach For Japan(以下、TFJ)を知り、「教室から世界を変える」というビジョンを見て、「わたしと同じことをやろうとしている団体がある!」って思ったんです。そして、TFJのフェローとして学校教員にチャレンジすることを決めました。TFJは、周りのメンバーが大きな志を持っていることも魅力でした。

当事者意識を持つ子どもたちを育てたい

実際に教員をやってみてどうでしたか?

先生の働き方や、ひとつ一つの学習・指導に込められた工夫など、学校現場の外からわからなかったことをたくさん発見することができました。

私自身は、「子どもたちが自分で考えて行動できるように」、そして「視野を広くもてるように」という思いを持って日々仕事に取り組んでいます。

難しいこともたくさんあります。普段から「正解は一つではない」と伝えた結果として、子どもたちが自分の意見をもてるようになってきましたが、一方で、意見が対立したときに集団としてどのようにプラスの方向に持っていくのか。これは、個の力だけではなかなか上手くいきません。そのため、フェロー2年目は集団作りに力を入れました。

2年目は、2年生を担任させてもらいました。このクラスでは、朝の会をほぼ毎日クラス会議の形で行いました。私のクラスでは毎朝、子ども全員が円になって、一人の子どもが相談事を持ちかけ、それに対して子どもたちが順番に意見を言っていきます。意見がなければパスしても大丈夫。全員の意見を聞いたあと、最後に相談者が、誰かの意見を採用して実際にやってみる、というものです。相談事の中身は色々あって、「本の片付けがうまくできません」といった日々の課題から、「つい怒ってしまうんだけど、どうしたらいいですか」といった自分自身の課題まで千差万別。それに対してみんなが当事者意識を持って解決策を考えるんです。これが、「自分たちで考えて行動する」という集団作りにつながったと思います。私が声帯を痛めて声が出なくなってしまった時には、子どもたちが2日間、自分たちが先生になって授業を進めてくれました。

学校での集団生活が持つ可能性。

フェロー期間終了後も、教員を続ける道を選んだんですね。

はい。2年間を通して、子どもたちにとって学校という場で「集団で過ごすこと」は、ものすごく貴重な経験なんだなと感じました。

インターネットやSNSがここまで発展した現代、毎日何十人もの友達と顔を合わせて一緒に生活する経験はなかなかありませんよね。でも、クラスにたくさん人がいるということは、それだけ多様性があると考えることができます。子どもたちは、学校で生身の人間との触れ合いを通して、価値観の違いやそれを超える方法、意見がぶつかった時に折り合いをつける方法、リーダーシップの取り方など、たくさんの社会的なスキルを学ぶことができる。そう考えると、学校での集団生活は、ネガティブな面が強調されることもあるけれど、もっとポジティブに捉えることができるのではないかと感じるようになりました。学校という社会で視野をたくさん広げて、将来様々なバックグラウンドを持つ人たちと、楽しく共生できる大人になってほしいと思います。

また、教員という仕事のクリエイティブなところにも魅力を感じました。45分間という限られた時間をどう使うか、どんな問いかけをするか、何に焦点を当てるのか、どうしたら子どもたちがより深く理解できるのか、それをどうやってアセスメントするのかなど、どう子どもたちと過ごすか、毎日が答えのない世界です。どんなに評価の高い授業方法でも、完全にコピーしただけではよい学びは生まれないし、その日の子どもたちの状況一つひとつによっても変わってきます。私にとって、とても緊張感があり、もっともっとチャレンジしたいと思える仕事です。夢は大きいですが、まだまだ力不足で、周りの先生たちからたくさん学ばせて頂いています。

素敵ですね!今後、実現していきたいことは何ですか?

クラス経営にあたって、集団の力を最大限にいかせる場所作りをしていきたいです。子どもたちと一緒に、日々いろいろとアイディアを考えています。

また、子どもたちが「自分でできた!」「わかった!」と感じられる機会を増やすためにも、発達段階に沿った学習方法や、五感にアプローチする学び方を実現していきたいです。

TFJのフェロー時代の研修等を通して、目で見て学ぶのが得意な人、耳で聞いて覚えるのが得意な人など人によって最適な学び方が違うことを学びました。これを踏まえて、一つの授業内容でも、いかに全ての子どもたちが納得のいく学び方が提案できるか日々考えています。

さらに、2020年の教育改革に向けて、学校の授業のやり方も変わりつつあります。現状に甘んじることなく、海外や日本の学校外の学びの場などからヒントを持ち込み、日本の学校教育の中で子どもたちが学べる場を進化させていくことが私の目標です。

(編集後記)
山本フェローのお話を聞き終わったあと、自分の中に「自分は社会に対して当事者意識を持てているのだろうか」という問いが残りました。社会や目の前の課題に愚直に向き合う山本フェローの姿勢そのものが、子どもたちに学びになっているに違いありません。今後のますますの活躍に期待です!

Teach For Japanは、学校の教室から世界を変えていきたいと考えています。多様な教育課題があるからこそ、学校へ情熱ある多様な人材を「教師」として送り出しています。教室で生まれたインパクトを、学校・地域・社会へと広げ、教育改革の一翼を担います。

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