夢を追って、大手企業から小学校教員へ。子どもたちのwell-beingを追求していたら、自分のwell-beingも実現した話。
- 修了生インタビュー
今回は、Teach For Japan(以下、TFJ)のフェローシップ・プログラムの第10期生として教員になり、現在は福岡県の小学校で教師としてご活躍の内藤優香さんに登壇いただきます。大手企業から小学校教員に転職された理由やフェローシップ・プログラムを通して先生になってよかったことなどを語っていただきました。ぜひ最後までご覧下さい。
(※本記事は、2025年1月に行われたイベントのレポートです。)

内藤優香さん(フェロー第10期生/小学校赴任)
幼い頃から小学校教員に憧れを抱いていたが、大学進学時は世界にも目を向けて視野を広げたいという思いが強く、東京外国語大学に進学。中国語を専攻し、スピーチコンテストに出場するなど語学習得に邁進した。また、海外旅行を重ねて異文化に触れる面白さを実感する。新卒では通信会社に就職し、海外法人向けの営業を担当。幼い頃から憧れていた小学校教員になる夢を捨てきれず、教員への転職を決意した。Teach For Japanのフェローシップ・プログラムを通じ、福岡県の小学校へ赴任。子どもたちの様々な成長に間近で立ち会うことのできる教員の仕事に魅了され、小学校教員認定試験で免許を取得。現在は小学2年生の担任として、教壇に立っている。
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大手通信会社への就職と、入社3年目の迷い
ーフェローになる前のキャリアについて教えてください。
私は大学卒業後、新卒で日本の大手通信会社に入社し、海外法人向けにインターネット回線などを販売する仕事を3年弱担当していました。明確な志望動機はありませんでしたが、ITに強く新しい技術を学べることや、アグレッシブな社風などに魅力を感じたことが入社の決め手です。
高校生までは、教育の道に関心がありましたが、進路を教育学部に絞ることに不安を感じ、外国語にも興味があったので、国際系の学部に進学しました。入社後は外国語を使って仕事を楽しんでいましたが、2〜3年働いた後にキャリアの方向性に悩み、転職も考えましたが自分にはしっくりきませんでした。そこで自分と向き合い、「先生になりたい」という夢を思い出し、このままやりたいことが見つからないなら、教師の道を目指そう、と考えたのです。
Teach For Japanとの出会いと、民間企業から転職しようと決断した経緯
ー新卒で働いてからTeach For Japanに応募しようと思った理由を教えてください。
小学校の教員免許取得に悩んでいたところ出会ったのが、「免許なしでも教師になれる」と掲げるTFJのサイトです。最初は疑いながらも情報収集し、オンラインイベントにも参加を重ねるうちに、「自分に合うかもしれない」「自分と同じような思いを持っている人が多い」と感じ、自然と決意が固まりました。
また、TFJを見つけたのは、フェロー第10期生の第1クール募集締め切り2日前でした。そのため、タイミング的に「応募した方がいいのでは」と思い、勢いで応募しました。
その後、エントリーシート作成や選考の過程で自己理解が深まり、情報収集やイベント参加を重ねる中で「これだ」と思える方向へ気持ちが向かったと思います。
ー幼い頃から抱いていた「先生」への憧れを教えてください
幼い頃から、優しく気にかけてくれる先生に憧れていました。集団の中で緊張しやすく、自分を前に出せないタイプだったので、さりげなく気にかけてくれる先生は、憧れの存在だったのだと思います。
また、私は勉強好きだったのですが、年齢が上がると勉強を嫌いになる人が増えていくことをもったいなく感じていました。
「学べば学ぶほど世界が広がるから、その面白さを楽しく伝えられたら素敵だな」
そんな思いから、自分の“勉強好き”が教師という仕事で活かせるのではないかと思いました。
「学校現場で何を大切にしたいのか」という軸が少しずつ明確に
ー赴任前研修で印象的だったことを教えてください

教職課程を受けなかったため、赴任前研修は重要な準備期間でした。特に印象的だったことは、以下の2点です。
一つ目は、研修が対話ベースだったこと。教育経験の有無に関わらず、参加者が同じ目線で授業や子どもとの関わりについて意見を交わしました。その中で考えが整理され、他の人の意見を聞いて視野が広がり、アウトプットを重ねることで、「学校現場で何を大切にしたいのか」という軸が少しずつ明確になりました。この軸は、今も自分の支えになっています。
二つ目は、模擬授業の経験です。何度も模擬授業を行って仲間からフィードバックをもらい、子ども役を前に話す経験を積めました。そのおかげで、実際の教室でも過度に緊張せず授業に臨むことができました。また、「自分が話しすぎず、子どもに話させることの大切さ」を事前に理解した上で教壇に立てたことは、とてもよかったです。
教師としてのビジョン「すべての人が主体的に人生を形作ることのできる世界」
ー赴任時点で持っていたビジョンを教えてください
私は、フェローシップ・プログラムへの参加を決めてから、ビジョンを固めました。
企業では、期待に胸いっぱいで入社したのに、周りの大人からは疲労感が感じられて、気持ちのギャップに驚いた経験があります。「やりたくて選んだ仕事のはずなのに、“やらされている感覚”が強い」それは、自分の夢や目標を途中で手放してしまったからではないか、と考えるようになりました。だからこそ、子どもたちには「自分はこうしたいから頑張る」という思いを常に持ち続けられる存在であってほしいし、子どもたちの気持ちを大事にできる関係でありたいと思っています。
学校現場での実践「安心・安全なクラス」をつくること
ー学校現場での実践について教えてください

私は今までに、3、4年生を担当し、今は2年生の担任をしています。担任として最も意識しているのは、「安心・安全なクラス」をつくることです。自分の考えを持ち、表現することは勇気が必要です。そのため、まずは日常の中で「いいところ探し」など小さなことを積み重ね、子どもたちが安心して過ごせる雰囲気づくりを大切にしました。
また、「これしていいですか?」という子どもたちからの質問が多いことに気がつき、
「自分で考える機会が少ないのでは」と感じるように。そこで、「あなたはどう思う?」と、子どもたちが意識的に考えるように問い返す関わりを増やしました。最初は萎縮していた子どもたちも、次第に主体的に考えて、行動するようになりました。
ー1年目に直面した困難と乗り越え方について教えてください

初めての教員生活は簡単ではありませんでした。「安心・安全なクラス」をつくりたいと思いつつも、クラス30人の子ども一人ひとりに目を向けることの難しさや、特性のある子どもへの理解が追いつかず悩む場面も。
その都度、特性や特別支援が必要な子どもについて学び直したり、周囲の先生方に積極的に相談したりすることで、一つずつ乗り越えられるようになりました。特に仕事量の多さについては、学年の先生に率直に「終わらない」と伝え、助けを求めることを大切にしています。「聞けば必ず教えてくれる」という安心感が、1年目を支えてくれました。
ーフェローシップを経験してみて変化したこと、教師になって成長したことを教えてください
この転職は、私にとって「well-beingな選択」でした。企業で大人に囲まれて仕事を頑張っていた時に比べて、子どもたちの成長に感動することが多く、私の心が豊かになりました。子ども同士の小さなトラブルも、それを乗り越えて笑って仲良く遊んでいる。そんな日常の小さな感動に巡り会えることがよかったです。学校は子どもたちが1日の中で一番長く過ごす場所だと思うので、今度は自分が、「学校が楽しい」「幸せだな」と思える場所を作れる存在になって、子どもたちに返していきたいと考えています。
ーフェローシップを通して得たものと、教師を続ける選択をした理由を教えてください
フェローシップ・プログラムに参加して良かったことの一つは、同期や先輩、後輩とのつながりというコミュニティの存在があったことです。赴任前後を通して、不安を共有できることが大きな支えになっています。
また、修了後も、教師を続ける人、企業で働く人、留学する人など、さまざまな道を歩む仲間との関係が続いているので、視野を広げることができます。今後は、しばらくはより多くの子どもたちと向き合い、教師としての経験を積みたいです。
Q&A
Q. 教員免許はどのように取得しましたか?
私は「小学校教員資格認定試験」を受験し、フェロー1年目の夏に合格して教員免許を取得。試験勉強はその年の春から本格的に始め、教員採用試験用テキストを使って教職教養や小学校全科、論文対策を中心に計画的に進めました。平日の業務後や休日に勉強し、仕事と両立していました。特に印象的だったのは、同期のフェローと朝5時半頃からZoomで出勤前まで行なったオンライン勉強会で、短い時間でも継続することでモチベーションを保てたことです。
Q. 民間企業へ戻ることは考えていますか?
来年以降のキャリアを考えて、給与体系や働き方の面で、民間企業に戻る選択肢が頭に浮かんだこともありました。ただ、企業で働いていた頃よりも今の方が毎日が楽しいので、当分の間は現場に残りたいと思っています。
Q. 現在の働き方について教えてください
「18時までに帰る」と決めて、昨年からできるだけ早く終わるように意識し始めました。今年は定時の17時台に退勤できる日もあります。3年目になり、年間行事や業務の流れが見通せること、学年内での役割分担や連携がうまくできるようになったことが大きいです。周囲の先生方の協力もあり、限られた時間の中で効率よく仕事を進める工夫をしています。
Q. 「well-being」という言葉は、どのように知りましたか?
「well-being」は、TFJに参加してから知りました。教育現場でよく使われる中で理解が深まり、私が参加した頃から、well-beingが注目され始めたように思います。子どもも大人も健やかでいられる学校づくりは、今後ますます大切になると感じています。
ー最後に、応募を検討している方へのメッセージをお願いします
私自身、きっかけは半分勢いでしたが、飛び込んで本当に良かったです。「自分にできるかな」と迷っている方は、まずは一度チャレンジしてみてほしいです。始めてみないと分からないことは多いので、少しでも気持ちが動いているなら、ぜひ挑戦してください。
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