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修了生インタビューalumini interview

共につくる ー SPECIAL TALK SESSION vol.02 フェロー×校長先生 ー

子どもたち一人ひとりが自律して学び、先生たちもいきいきと働ける学校を実現したい――。そんな思いを胸に、教育系民間企業から現場へと飛び込んだフェロー第11期生の秋野光哉さん。赴任先の小学校では、ICTを活用した個別最適な学びや教職員の業務改善に取り組んできました。

本企画では、赴任校の細川貴代校長先生とともに、秋野さんの実践によって子どもたちや学校にどのような前向きな変化が生まれたのかを振り返ります。学びに主体性を持つ子どもたちの姿や、教員がより豊かに働ける環境づくりに向けた挑戦を通して、“共につくる”学校のこれからを探ります。

子ども一人ひとりが自律して学べること。先生も豊かに働ける環境をつくること。

ーどのようなビジョンで赴任されましたか?

僕が目指しているのは、子ども一人ひとりが自律して学べるようになることと、先生も豊かに働ける環境をつくることです。実は大学時代、教員養成大学に進学したのですが、教員の志望が高かったわけではなくて。でも同期や先輩が心身を痛めていく姿を見たり、民間企業と学校現場の働き方の差を見たりする中で、教育現場を支えたいと思うようになりました。その後、ファーストキャリアは教育系の民間企業に就職しました。そこでマクロな教育政策に関わるうち、政策と学校現場のギャップを痛感し、現場まで伝達されるうちに、政策のビジョンが消え形だけになってしまうことに課題を強く感じたんです。また自分自身も理論だけが膨れ上がってしまっていると感じました。そこで、実際に学校現場に行って、実践に移すことを通して、本質を追求しようと思い、Teach For Japanのフェローシップ・プログラムに参加する決意をしました。

ー実際の学校現場はいかがですか?

加賀市は教育政策を噛み砕いて分かりやすく学校現場に届ける体制があり、教育政策が子どもの学びに直結しやすいと実感しています。ただ、学校では本当に色んな想定外のことが起きるので、理論を理解しているだけでは動かせない難しさも痛感しています。

―秋野先生の第一印象は?

新任にも関わらず落ち着いて子どもたちに向き合う姿が印象的でした。
秋野先生が覚えているかわからないんですけれど、私はすごくよく覚えているのが、初任の4月の学級目標づくりを見学した時です。
年度はじめで、新しい先生ということもあって、子どもたちは浮足立っている様子でしたが、秋野先生は頭ごなしに叱るのではなく「今の自分たちの態度は目標と合っているかな?」と冷静に問いかけていましたよね。
あれを初任で、しかも子どもたちと出会ったばかりの4月にやれるのはすごいと思いました。そのあと、「どこかで教員をされていたんですか?」と秋野先生に聞いてしまったほどで、教員経験があるのかと本気で思ったくらいでした。

覚えてます。覚えてます。(笑)

授業の中でとにかくアウトプットして、見取って、すぐにフィードバックするサイクルを何回も回していく。

ー実際にどのようなことに取り組まれましたか?

僕は前職で学校のICT関連の仕事をしていたので、授業では“子ども一人一人を主語にした学び×ICT”を積極的に取り入れてきました。小規模校という環境もあり、ICTを活用して一人ひとりが自分のペースでアウトプットできるようにして、少しの成長でも必ずフィードバックするというサイクルを回し続けることができました。
例えば、年度初めは10分間で一文しか書けなかった子が、秋ごろには教科書の内容やネットから集めた情報を自分で整理・分析して、あっという間に500字ほどの文章を自分の言葉で書き上げるようになっていました。自分で情報を取捨選択し、整理して、自分の言葉で発信する力が大きく育ったと思います。

―どのような工夫で、そこまでの変化が生まれたのですか?

やはりICTを使うことで、子どもたち全員がアウトプットしやすくなり、僕もひとつひとつ見取りやすくなるんです。
他にも、他県や海外の先生とオンラインで交流する授業も実施しましたが、やっぱり一番大きいのは日々の授業の中でとにかくアウトプットして、見取って、すぐにフィードバックするサイクルを何回も回していったことですね。

文部科学省が掲げる”個別最適な学び”や”協働的な学び”を、具体的にどう実践するかが難しい部分でした。でも秋野先生が「このツールなら子どもたちが自分で情報を選べますよ」「こうすると他の子の考えも見ながら学べますよ」など、具体的に授業実践の姿を示してくれることで、私たち教員にもイメージが湧きやすかったと感じています。秋野先生にはGIGAスクール推進の役割を担ってもらっていたので、これらの取り組みを職員会議や研修で紹介してもらったり、終礼で時間をかけずに共有してもらったりしていました。
何より校内に“すぐ相談できる人”がいる安心感はとても大きいです。結果的に先生も子どももICTスキルがぐんと伸びました。

校務においても、紙や口頭ベースの情報共有の在り方を、クラウドを活用した情報共有に変えていくチャレンジをさせていただきました。業務一つ一つの目的に立ち返り、より良い手段を選ぶことで、業務の質アップと、時間の短縮につながり、先生が豊かに働くきっかけづくりができたと感じています。

先生たちがちょっとでも「楽になった」「豊かになった」と思えることがしたい。

ー今後学校や子どもたちがより良くなるためにやっていきたいことは?

僕がこれからも大切にしていきたいのは、先生たちが少しでも豊かに働けるような仕組みを整えることです。この2年間で校務についていろいろチャレンジさせてもらって、政策と学校現場をつなぐ役割を肌で感じることできたのは本当に大きい。近い未来は、基礎自治体レベルで、先生たちがちょっとでも「楽になった」「豊かになった」と思えることがしたい。いずれは教員養成や採用の仕組みそのものに関わって、現場が抱える課題を根本から改善していきたいです。

ー秋野先生やTeach For Japanに期待していることは?

ぜひその想いをカタチにしてほしいです。子どもと向き合う手応えや変化を感じ取れた経験は、きっとどんな進路でも生きるはず。
また、私は子どもたちも保護者も本当にいろんな方がいると思っています。だからこそ、教員もいろんな人がいた方がいいと思っています。Teach For Japanのプログラムを通じて様々な経験を持った人が学校に入り、子どもたちと出会って感動するような場面を共にすることで、教員を続けてほしいと思いますし、一緒に教育現場をより良くしていきたいと思います。

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