
共につくる ー SPECIAL TALK SESSION vol.01 フェロー×子ども×保護者 ー
- 修了生インタビュー
Teach For Japanのフェローシップ・プログラムに参加し、2年間にわたって公立小学校に赴任したフェロー第11期生の下境大貴さん。この春、プログラム修了を迎えるにあたり、下境さんの教え子である木村 遙花さんと、そのお母様の美彩さんとともに鼎談の場を持ちました。
「下境先生って、どんな先生?」「この1年間で印象に残っていることは?」「成長したと感じる自分の変化は?」――そんな問いを通じて、教室で交わされた対話や挑戦の軌跡を振り返るこの鼎談。誰もが力を発揮できる教室をつくろうとする下境さんの取り組みと、互いに認め合い支え合うなかで育まれた子どもたちの可能性が、三者の言葉から自然に伝わってきます。ぜひお読みください。
先生だからって完璧ではないし偉くもない
ー下境先生はどんな先生ですか?
真面目でいつも一生懸命な先生です。授業は、私たちが分かりやすく楽しめるようによく準備をしてくれています。
下境先生が担任になってすぐに、家に帰ってきた娘が「下境先生が面白い!」とすごく楽しそうに学校の話をしてくれていたので、いい先生なんだなと思っていました。1学期に先生からお電話をもらったことがあり、なにか悪いことをしたのかなと思っていたところ、授業中に娘がした良いことについて教えてくださり、驚きました。
下境先生は授業の合間でも、よく話をしてくれるんです。
たわいもない話や、遅刻しかけたとか忘れ物したとか、自分の失敗エピソードも子どもたちには話すようにしてます。どうしても立場上子どもたちに注意することもあるんですが、先生だからって完璧ではないし偉くもない。失敗することもあるけどお互いに気を付けよう、というような関係性になれたらいいなと思っています。

ーこの1年で印象的だったことはなんですか?
スポーツフェスティバル(運動会)です。練習中のあるとき、初めて先生が「協力する」ということを教えてくれました。そのときから、クラスの雰囲気が変わり始めました。
今年担任をしたクラスは、実は年度当初、すごく真面目で優秀だけれど子ども同士のコミュニケーションが少ない印象を受けました。例えば授業の中でグループワークをしてもほとんどの子が話さない。一人ひとりはいい子たちなんですが、相手にあんまり関心がないのかなと思いました。教室は小さい社会みたいなものなので、やっぱり他人に関心がないっていうのは良くないんじゃないかと思ったんです。スポーツフェスティバルがこのクラスを変えるポイントになるなと思ったので、このクラスの最大限のチームワークを見せようと改めて子どもたちに話をしました。
ーその話を聞いて、どう感じましたか?
最初は難しいかなと思ったけど、やってみたら楽しかったし、みんなでやることは難しいことじゃないと思いました。
スポーツフェスティバルでは優勝することができ、それを契機に、確かにこのクラスはガラッと変わりました。今では子ども同士の協働が多く見られるようになりました。

私が印象的だったのは、ある日娘が帰ってきて「今日ね、下境先生が怒ったんだ」と言い出したことです。そのときの下境先生の伝え方に、娘は感動したようなんです。
誰かが悪いことをしたときに、下境先生はその子に怒るのではなくて、みんながそのことについて考えられるように話してくれます。
もちろん直接話すときもありますが….誰でも良いところもあれば悪いところもある。良くないことをしてしまったとき、一人で考えるのではなくて「こういうとき、どうしたらいいと思う?」と、みんなで考えていく。みんなでより良くなっていく。そんな教室を目指しています。
今のクラスでは、みんなが支えてくれるし、失敗してもみんなが助けてくれる
ーこの1年間で自分が成長したと思うことはありますか?
3年生までは、クラスの代表とかをやるのはミスをしたら怖いから進んでやるタイプではなかったけど、4年生になって色んなことに挑戦したり、代表になったりしました。今のクラスでは、みんなが支えてくれるし、失敗してもみんなが助けてくれる。それに、他の人たちも色んな場面で代表をやってるから、私もやってみたいと思うようになりました。
確かに今年は、リーダー的な役割を多くやるようになって成長したなと思っていました。異学年交流会とクリスマス会の企画リーダーや、授業参観で発表した演劇の脚本係リーダーもしていましたね。

子どもたち全員が活躍できる場を作ることはすごく意識をしています。先ほどの話でもありますが、このクラスは4月時点ではリーダーになるような子がいなかったんです。しかし、私はあえて誰かをリーダーにしようとは思わなくて、一人ひとりが自分のできることでリーダーシップを発揮したら、面白いクラスになりそうだなと。これは自分にとって一つのチャレンジだと思いました。誰しも、自分にはできないかもしれないと思うこともあるじゃないですか。でも、助けてくれる人がいるなと思えれば、勇気を出せることもある。そういう教室の雰囲気や環境を1年かけて作ってきて、あらゆる行事で本当に全員がなにかしらの役割を担ってくれました。
ーちょうど今日は、授業参観で子どもたちが作った演劇の発表があったようですね。
子どもたちの中にはピアノが得意な子もいれば、セリフは苦手だけど絵が得意という子もいますし、ストーリーを作ることが得意な子もいます。役割分担は、それぞれ自分が出来ることを出して、みんなが力を発揮できるように脚本係の子たちがうまくストーリーに入れてくれ、それぞれの役でみんながリーダーシップを発揮してくれました。いわゆるリーダー格の子に周りがついていくだけだったら、全員が持ち味を発揮して一つの作品を作り上げるというようなことはできなかっただろうなと。すごく理想的なクラスになったなと思っています。

ー2年間のプログラムは修了となりますが、今後のキャリアはどのように考えていますか?
今後は、海外の大学院に進学して理論的な観点から教育を捉えたいと思っています。簡単に言えば「人が本当に力を発揮できる環境ってどんな環境だろうか」みたいなことを突き詰めたいですね。今後も学び続ける教師として教育現場に貢献したいです。
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