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修了生インタビュー aluminiinterview

コーチとして、心が強くて優しいリーダーを沢山育てる。全ての人の心に火をつける

~アラムナイインパクト vol.7_小野孝太郎(51)_ エグゼクティブ・コーチ、パーソナル・コーチ、kikkake Inc.(米国法人)代表~

フェロー経験者であるアラムナイの今を紹介する本企画「アラムナイ・インパクト」。第7回目の今回は、フェロー第4期生の小野孝太郎さんです。

小野さんは現在、アメリカでエグゼクティブ・コーチ、パーソナル・コーチとして活動するほか、挑戦する人達の心の幸せをサポートするコミュニティやメディアの運営をされています。また、2021年1月には現地法人kikkake Inc.を設立するなど、自身のミッションである「心が強くて優しいリーダーを沢山育てる」「全ての人の心に火をつける」の達成に向け、その活動の幅は広がっています。

本記事は、コーチやコーチングへの興味の有無に関わらず、多くの方が勇気をもらえるような内容となっていますので、ぜひお楽しみいただければと思います。

出身大学慶應義塾大学理工学研究科計算機科学修了(工学修士)
BBT大学大学院経営管理修了(MBA)
職歴日本オラクル
米国オラクル
Teach For Japanフェロー 小学校教員
コーチ(個人事業主:屋号EDTECH LABORATORY)
シリコンバレー教育研究会・代表
kikkake Inc.(米国法人)・代表

コーチ業のほか、挑戦する人の心を応援するコミュニティやメディアも運営

それでは早速、現在の活動内容について教えて下さい。

大きく分けて3つあるのですが、それらすべての活動は以下、私の人生における2つのミッションに基づいています。

・心が強くて優しいリーダーを沢山育てる

・全ての人の心に火をつける

では、3つの活動について1つずつお話しできればと思います。

まず1つ目は、コーチ業です。対象者別にエグゼクティブ・コーチ、パーソナル・コーチとして活動しています。

エグゼクティブ・コーチとしては、会社の社長や経営層などのリーダー向けに行っています。私は、組織のリーダーの心の在り方が、リーダー自身の幸せを決定づけるだけでなく、その組織のメンバーの幸せにも大きく影響を与えると考えています。リーダーが幸せであることは、周りが幸せであることにも繋がっていると思っているのです。

だから私は、リーダーへのコーチングを通して、彼ら・彼女らを取り巻く全ての人が幸せに働ける社会を作りたいと思っています。

また、パーソナル・コーチでは、その名の通り個人の方向けに、それぞれの目標達成に特化したコーチングを行っています。会社員や主婦、個人事業主や学校の先生のほかにも、小学生から大学生までの学生さんにもご利用いただいています。皆さんのコーチング前後の変化や感想に、とてもやりがいを感じています。

続いて2つ目は、発起人として始めた参加者の挑戦を応援するコミュニティ「シリコンバレー教育研究会」の運営です。これは特に、ミッションである「心が強くて優しいリーダーを沢山育てる」ことを目的に活動しています。

毎回、自身のミッションに対して挑戦し続けている、個性豊かなゲストスピーカーを1名お招きして開催しています。ゲストスピーカーの方には、最初の15分間で自己紹介をして頂き、次の15分間で「これが人生最後のスピーチで、高校生に向けてするとすれば何を話すのか」をテーマに、お話しいただいています。これが毎回、とても興味深く、スピーチ後のディスカッションでは、参加者みんなで味わい深める有意義な時間となっています。

このシリコンバレー教育研究会は2019年9月に始めて、これまでに58回開催しました。ゲストスピーカーは、私の人脈などを生かして依頼しています。自分で道を切り開いている、挑戦をしている起業家の方が多いですね。また、様々な業種の方にお願いするようにしていて、例えば農業、IT、教育、大学、コンサルなどの方にご登壇いただいています。

参加者としては累計で約2900人の申し込みがありました。1回あたり多いときは100人、少なくとも20人の方にご参加いただいています。

現在、peatixグループはフォロワー数約900人、facebook グループはメンバー数約1200人となりました。また、回数を重ねるごとに、日本やアメリカ以外を拠点にしている日本人の方にもご参加いただいているほか、参加者の年齢層も広がっており、とても多様性に富んだコミュニティ になっています。

最後3つ目は、発起人として始めたメディア「きっかけバンク」の運営です。現在は、シリコンバレー教育研究会の15分スピーチなどを掲載しています。これはミッションである「全ての人の心に火をつける」ことを目的に行っています。

きっかけバンクは、世界中の子ども達が、毎日一人の人生を知る世界を実現したいと思って始めました。例えば、このコンテンツを、学校で教材として利用してもらいたいと思っています。子ども達が毎日いろんな人の人生に触れることで、引き出しを増やしたり、価値観を広げたりすることができると思っているからです。そして、結果的に、その子ども達の人生は変わると信じています。

ただ、現在は特にコーチ業とシリコンバレー教育研究会に注力しており、きっかけバンクについては走り始めたばかりなので、これからメディアとして充実させていきたいと思っています。

とても熱い想いを持ってコーチ業をされているのが伝わります。コーチになるまでには、どのような経緯があったのでしょうか?

フェロー経験後は 、絶対にブレない人生を送りたい!本当にやりたいことを決めたい!と強く誓って、自分自身にパーソナル・コーチを2人つけました。そこで腹落ちしたのが、コーチ業でした。

フェローを終えて1年弱経った2019年2月、パーソナル・コーチになる!とプロ宣言して始めました。最初のお客さんは、ほとんどが知り合いでしたが、徐々に経営者の方からも依頼されるようになりました。 

コーチをやっていくと決めた時、やっぱり、コーチ業がやりたいことだったのかと思いましたね。私は昔から、人の心に火がつく瞬間を見るのが大好きだったんです。また、講演するのも大好きで、要は自分が目の前の人の人生が変わるキッカケを提供できることが、本当に嬉しかったんです。

なので、シリコンバレー教育研究会は、自分以外の人にも、誰かの心に火をつける経験をしてもらえる場として提供しています。自分がしたいと思うこと、されて嬉しいと思うことを、他の人にもするという気持ちで行っています。

そんな私は、TFJのフェローになる以前は、20年間コンピュータのエンジニアとして働いていました。畑違いの分野からのコーチへの転身でしたが、今からでも、0からでもコーチ業をしようと覚悟は決まっていました。

始めた当初は、コーチ業をしながら株式会社コーチ・エィの1年半のコーチング講座に通い、学びと実践を繰り返す中でコーチング技術を習得していきました。ただ、もちろん最初は上手くいきませんでした。

コーチングを始めた当初、体験セッションを募集して30人の方に受けて頂いたのですが、長期契約いただけたのは、たったの3人でした。そこから、コーチの生み出す価値とは何かを考え続けて今に至ります。コーチとしての在り方やスキルを高める参考になりそうな本は片っ端から読みました。TFJ関係者の方には無料でコーチングするなどして経験を積みました。

2年ほどコーチ業を続けてきて、つくづく思うことは、人は本当に好きなことだったら、めちゃくちゃ成長するんだということです。まだ道半ばではありますが企業の社長さんに御契約いただいたり、長期契約終了後も継続してくださるクライアントが増えてきました。 

そんな中で、尊敬する師匠とも言えるコーチに出会われたんですよね。

私が尊敬してやまない人物の一人に、株式会社グローバルコーチング代表取締役の本多喜久雄さんという方がいらっしゃいます。日本のベンチャー企業の経営者などを沢山クライアントに持たれている方です。 

本多さんとは、知人の紹介でたまたまお会いしたのですが、私が自分の人生のミッションやコーチングへの想いをお話ししたところ、グローバルコーチング社の社内ミーティングに呼んでいただいたんです。パートナーコーチが10人くらい参加している会だったのですが、それが本当に素晴らしい会だったんですよね。

そこは初めて経験する雰囲気の場で、ファシリテーションの仕方や喋り方そのものが本当に素晴らしく、心理的安全性が確保されていて、参加者みんなが、のびのびと創造的な話ができる空間になっていました。最後、ミーティングのチェックアウトの時には、温泉に浸かっているような温かな心地だったと感想を話したのを覚えています。

それ以来本多喜久雄さんが私のコーチとしてのロールモデルになりました。どうしたら本多さんのような心が強くて優しいリーダーになることができるのか毎日試行錯誤しながら行動しています。これからも自分のコーチングを通して幸せな人を増やすことで、世界平和を達成したいです。

職員が幸せを感じられる職場を創る。空っぽの状態で相手の話を聴く

フェローを経験して分かったことは何ですか?

日本の教育現場では、想像していた以上に先生方が疲弊していたことですね。先生たちが幸せでなければ、子ども達に幸せを届けることはできないと強く感じました。人生のミッションとしても掲げている「心が強くて優しいリーダーを沢山育てる」ことの重要性について、改めて感じましたね。

と言うのも、私は46歳まで米・シリコンバレーにあるオラクル社で、エンジニアとして働いていたのですが、その職場環境が本当に恵まれていたんです。会社の悪口を言ったことは、一度もありません。優しく尊敬するリーダーの元で、のびのびと働かせてもらいました。だからこそ、日本の教育現場とのギャップを強く感じたんです。

同社では、というかシリコンバレーの特にIT企業では、マネージャーに人格がなければ部下は辞めてしまいます。なぜなら、シリコンバレーには最先端企業が集積しており、優秀な人ほど他に移れてしまうからです。だから、もしも会社の悪口、上司の悪口を言いながら働いている人がいたら、その人自身が環境を変えればいいと思われます。人格者でなければマネージャとして成果を上げられないので、自然に淘汰される環境だったんです。 

日本では、学校も企業もパワハラやブラックなどの言葉で表現されるように、心が疲弊してしまう職場環境が多いと感じています。また、より良い環境を求めて他に移る選択をする人も少ないように思います。それゆえ、職員が幸せじゃない組織があまりにも多いと思うんです。

組織のトップにとって大切なことは、組織の存続を考えるだけでは足りず、組織のメンバーの幸せを何より一番に考えて行動することだと思っています。だからこそ、心が強くて優しいリーダーを沢山育てたいんです。そのためにも、エグゼクティブ・コーチとしての影響力を高めていきたいと思っています。

そうすれば、トップもトップの周りも幸せになるお手伝いができますよね。学校現場でいえば、校長先生が幸せになれば、先生が幸せになる。先生が幸せになれば、子ども達が幸せになる。ゆくゆくは、校長先生からコーチングを受けたいですと言われるエグゼクティブ・コーチになりたいですね。

そう考えていくと、私は49歳からのコーチデビューで、いわゆる遅咲きだったかもしれませんが、その過程でシリコンバレーの素晴らしい組織で働けたことは、無駄ではありませんでした。私がオラクル社で経験した幸せに働ける職場環境を広めていきたいと思っています。

フェロー時代で、印象に残っていること出来事は何ですか?

実はフェローの時、赴任1年目が本当に苦しかったんですよね。一生懸命やっているつもりだったのですが、なかなか子ども達と心が通わせられず、心身共にボロボロの状態でした。

そんな時、フェロー経験者であり、コーチでもある関口寿子さんに「子ども達の話を、心を白紙にして聞いてみてください」とアドバイスいただきました。言わんとしていることは理解でき、そうしようとやってみたのですが、当時はうまくできませんでした。今になって、その理由がよく分かります。

話し手は、聞き手の心の状態がよくわかりますよね。あ、この人は真剣に話を聞いてくれていないな、適当に相槌を打っているな、否定的な考えで聞いているな、など透けて見えちゃうものです。言葉にしていなくても、頭の中で考えていることも相手は感じ取るんですよね。だから、いかに自分の中を空っぽにして、心を白紙にして相手の話を聞けるかということが、子ども達と信頼関係を結び、心を開いてもらうためには大切だったんです。

そこからコーチングを学び、空っぽの状態で相手の話を聞けるようになってから気付いたのは、相手のすべてを受容したその場の感覚が堪らなく大好きだということでした。これからも極めていきたいと思っていることの一つです。

そして、この感覚を味わう人が増えれば増えるほど、世界はもっと幸せな場所になるという確信があるので、広めていきたいと思っています。

そのような気づきの中で、フェロー候補生やTFJ職員にはコーチングを体験してほしくて、ボランティアでコーチをしています。そこで何かを感じ取っていただけた方は、きっと現場の先生や子ども達との接し方が変わると思うんです。そして、幸せな循環を生み出してくれると信じています。

かく言う私自身が、フェロー当時に今のレベルで話を聞くことができていたら、子ども達のことをもっと分かってあげられただろうな、出来たことがほかにもあっただろうなと思っているからなんですよね。相手を分かろうとすることの大切さに気付かせてくれた彼ら・彼女らのためにも、後進のフェローの皆さんにコーチングで得られる安心・安全の場づくりを伝えられればと思っています。

そのような活動を通して、コーチングという仕事は、どんな価値を生み出す仕事なのかと問い続けてきた結果「心の発射台を創る仕事」だと捉えるようになりました。相手の話を聞く中で、相手があるがままの自分を受け入れて、素直な考えに気付いた時、心の発射台が出来てジャンプしてみようかなと思えると考えたんです。私はこれからも、そこをサポートしていきたいですね。

コーチとしての影響力を高める。世界平和を達成する

今後の展望について教えてください。

一番やっていきたいことは、コーチとしての影響力を高めることです。ロールモデルとしている本多喜久雄さんのようなコーチになりたいですね。

本多さんと直接会ったのは、今までにたったの3回だけなのですが、それでも彼の影響があまりにも大きかったんですよね。実は最近、嬉しいことがあって、本多さんに連絡をしたんです。

その内容とは、クライアントさんに「このまま小野さんのコーチングを受けていたら、神になれるかもしれない。全てのことを受け入れられるような気がする。こうやって、周りの人も幸せになっていくんですね」と言われたことです。今思い出しても涙が出るくらい嬉しくて、ここまでコーチとして成長できたことの感謝の気持ちをお伝えしました。

私がやっていることを簡単にお話しすると、相手の話を聴くだけなんですよね。相手を一切否定せずに、ありのままを受け入れて1時間ないしはそれ以上の時間、相手の話をただただ聴くんです。もちろん、聞き手として様々なテクニックはあるのですが、コーチングをすればするほど思うのは、テクニックよりも自分の在り方が本当に大切だということです。

自分の在り方が整ってきたから、クライアントが、あるがままの自分でいいんだと全てを受容されているような感覚になり、それこそ温泉に浸かっているような気持ちになってくれているんだと思います。人って1時間ものあいだ、自分全てを肯定してもらいながら、自分の話を集中して聞いてもらえる時間ってないじゃないですか。心満たされて、幸せな気持ちになりますよね。自分もして欲しいと思って、最近1人コーチを雇い直したくらいです(笑)。

そうやって、エグゼクティブ・コーチとして幸せなリーダーを増やしていけば、その組織の人も幸せにできて、その幸せがどんどん伝播して世界平和にもつながると思っています。そのためにも、これから本多さんのリーダー塾に弟子入りして、コーチとしてのさらなる高みを、悟りを目指していきます。成長することを辞めません。

最後に、フェローに応募しようとしている方に対して、一言お願いします。

応募しようと思ったのであればで、ぜひ応募してほしいし、ぜひ経験してほしいと思っています。私は、フェロー候補生は金の卵だと思っています。

やっぱり、教育は人類の根幹ですし、教育でしか世界を変えられないと思っているんですよね。それを、1人でも多くの人に経験してほしいですね。

私自身、フェロー時代は本当に大変で心が折れたことが何度もありました。しかし、今となっては、心から挑戦して良かったと思っています。その当時の経験や想いは今の自分の大部分を占めていますし、確実に財産になっています。

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