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修了生インタビュー aluminiinterview

自分らしく新しいことに挑戦し続けることで、学校教育を外から支える

~アラムナイインパクト vol.5_西真一郎 (33)_ワークショップ・デザイナー~

 

フェロー経験者であるアラムナイの今を紹介する本企画「アラムナイ・インパクト」。第5回目の今回は、フェロー第一期生で、子ども達に人気の知育玩具レゴ・ブロックを使ったテーマパーク「レゴランド・ジャパン(以下、レゴランド)」で働く、西真一郎さんです。 

西さんは現在、レゴランドでワークショップの企画・運営を担う傍ら、フェロー経験がかわれて、地方自治体との公教育プロジェクトも任されています。 

フェロー経験後の進路について悩みをお持ちの方は参考にしていただき、自分次第でフェロー経験がその後のキャリアにとって有意義なものとなることを、知っていただければと思います。 

出身大学 京都大学教育学部 
職歴 Teach For Japanフェロー(中学校英語科教諭) 
ミラノ万博日本館 
株式会社LITALICO 
LEGOLAND Japan 

フェロー第一期生。教育に進んだ経緯とは 

早速ですが、現在の仕事内容を教えてください。 

愛知県名古屋市にある、デンマークで生まれた世界的知育玩具レゴ・ブロックのテーマパーク「レゴランド」で、ワークショップ・デザイナーとして働いています。 

子ども達向けにレゴ・ブロックを使ったワークショップを企画・運営するほか、レゴ社のプログラミング教材を使ったクラスなども担当しています。デザイナーという肩書ですが、レゴ・ブロックを使った遊び方を考案するだけでなく、教材モデルを制作する専門スタッフと共に、コンテンツ開発も行っています。 

プログラミング教育については、前職で、プログラミング教育など様々な教育福祉サービスを提供しているLITALICO(りたりこ)時代の経験が生かされています。実は、LITALICOはTeach For Japan(以下、TFJ)の関係者も何人か働いている会社なんですよ。 

このほか、愛知県の自治体と提携し、市内の小学校で行われる探求型教育の一つのコンテンツとしてレゴ・ブロックを使っていただいたり、地方自治体の対外向けPRの現場でレゴ・ブロックを提供させていただいたりしています。そのために、定期的に教育現場を訪問したり会議に参加したりしています。 

レゴランドで働こうと思ったキッカケは、何ですか? 

レゴランドの前に働いていた、LITALICO時代に誘ってもらったからですが、その背景には、LITALICOでは成し遂げられなかった想いがあったからです。 

LITALICOには、教育とビジネスを結び付け、持続可能な事業を展開できている点に魅力を感じて入社しました。また、自分が尊敬するTFJ時代の仲間が働いていたことも大きかったですね。 

当時は教室運営を行いながらコンテンツ開発を行っており、その後は教室長やエリアマネージャーとしての活躍を期待されていました。しかし入社当初に想定していた新規の事業にか関わる可能性が高くないことを知って、 今この会社にいるのは違うなと思ったんです。  

そんな時、声をかけてもらったレゴランドは、ちょうどオープンするタイミングで、新しいことに挑戦できそうだなと思って転職しました。 

では、なぜTFJでフェローをやろうと思われたのですか?  

大学卒業後の1年間、自分の進路について迷っている時期があったのですが、その時に出会ったのが、TFJでした。ちょうど教育に興味を持ち始めていた頃で、先輩に誘われて関西地区の立ち上げに参加しました。 

2011年当時は、東京では寄付金を募りながら活動を広めている段階で、関西でも同様に活動していこうという話になりました。講演会を企画・実施したり、企業をまわったり、TFJの広報活動に従事しました。 

その中で、講演会をしているだけではダメだよねという話になり、大阪市の中学校 を紹介していただき、活動することになったんです。その学校では、様々な事情を抱えた子ども達が放課後に集まり、勉強をする寺子屋のような場所があったのですが、そこでTFJは学習支援事業の一つとして関わらせていただきました。

その活動の中で、私は子ども達に勉強を教えられる学生に声をかけてリクルートし、研修もして現場に送り込むといったことを担当していました。そんな中で、編入学で教育学部に進学し、特に教育行政について学びました。その後、教員免許を取って教員採用試験に合格したのですが、TFJにも合格していたので、TFJで2年間フェローをすることにしたんです。 

元々、教育関係のキャリアを志望していたのですか? 

いいえ、実は新聞記者になりたかったんですよね。 

ただ、教育というキャリアが自分に合っているんじゃないかとは思っていました。なぜなら、人前で話すことが得意だったからです。ただ、大学時代に、小学生にサッカーを教えていたのですが、なんだか違和感があって。人に教えることに少し抵抗があったからかもしれません。 

そんな気持ちの中、留学して帰国してみるとリーマンショックでした。その当時は、新聞記者になりたいと思っていたので、大学で教育について学びながらも路上生活者にインタビューしたり、フリースクールに話を聞きに行ったりしていました。ただ、その話をした時の友達の反応が良くなかったんですよね。教育以外にも選挙の話なんかもしたのですが、反応が薄くって。 

その時に、ジャーナリストとしてメディア業界に入っても、教育や政治など社会課題について関心のない人に情報を届けるのは難しいと思ったんです。それだったら、そんな社会を変えないといけない、そのためには教育が必要だと考えました。また、教育業界だったら、まずは教員として現場を見たいと思い、TFJでフェローになりました。 

フェローで得た子ども達との関係づくりが、今も生かされている  

仕事をしていて、フェロー経験が生かされていると感じる時はありますか? 

ワークショップでの子ども達との話し方、接し方、間の取り方などは、2年間のフェロー時代に培った感覚が生かされていると感じています。また、子ども達が興味のないことに、どう興味を持ってもらうのかなど、教材の魅せ方についても生きていると思いますね。 

加えて、教員をやっていたということで、教育委員会など先生との関係性作りにも役立っていると思っています。また、女性とのコミュニケーションの仕方についても、中学生の女生徒との関わり方を通じて得た傾聴力などが生きていると感じます。一方的に話をするのではなく、何でそう思ったの?などと質問することを意識していて、相手の話を引き出すように心がけていますね。 

では、どういう時に、やりがいを感じますか?  

今の仕事は、めちゃくちゃ面白いですね。 

自分がノートに、こんなことやりたいなと思い描いたアイデアが、ワークショップという形で現実になる。年間数万人、毎日違う子が来るのですが、自分が考えたワークショップに取り組んでいる姿を見ると、やりがいを感じます。また、狙い通りのポイントで笑ってくれると嬉しいですね。 

レゴランドは、大人にとっては物足りない部分もあると思います。売上も、同じテーマパークであるディズニー・リゾートや、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに比べても低いですが、誰もが知るおもちゃを軸に子供たちの成長や笑顔を支えられていることには、やりがいを感じています。 

また、レゴ・ブロックは認知度が高いため、メディアにもよく取り上げていただけるのですが、そんな広報業務に関わることも多く嬉しく思っています。これからも、レゴ・ブロックによる教育ワークショップを広めるために頑張りたいですね。 

今後の展望。外から学校教育を支えていく 

まずは、レゴランドでの展望を聞かせてください。 

コロナをきっかけに、オンラインのイベントを0から立ち上げたのですが、これをマネタイズしたいですね。ライトやマイクを用意して試行錯誤しています。 

また、地方自治体との活動も強化していきたいと思っています。以前は、市の教育委員会と協力して教員向け研修を行っていたのですが、これからは、小学校での探求型学習をサポートしていく予定です。 

続いてはレゴランドに限らず、長い目で見た今後の展望を教えてください。 

学校教育のサポートをし続けたいと思っています。 

2年間フェローをやって、本当にダメダメだなと思っていて。やり切れない気持ちや負けたなという気持ちを少なからず持っていると思うんです。 

フェローを経験して思うことは、1人で出来ることは限られているということです。教育には福祉の問題も関係することが多くありました。だから私は、外から教員のサポートをしたいと思っています。 

というのも、私は教員には向いていないと思っているんですよね。自分の意見がしっかりある方で、新しいことに挑戦するのが好きな性格なので、人と違うことをすることに面白さを感じます。しかし、こういった姿勢は教員だとなかなか受け入れられにくいと感じてきました。 

だからこそ、人とは違うアイデアや意見が喜ばれ、評価される民間にいた方が、自分自身のバリューを発揮しやすく、ひいては教育の力になれると感じています。そうやって、私は私なりに教育に関わり続けたいと思います。 

では、フェローになって良かったことを教えてください。 

良い仲間に出会えたことですね。教育を良くしたい、学校現場を変えたいなど、教育に対して熱い志を持ったと人達とずっと繋がっていけることは嬉しいことだと思っています。今でもたまに会いますが、やる気をもらえたり、自分の軸を思い出させてくれたりします。 

特に、私たちフェロー一期生は今ほどTFJからのサポート体制が整っておらず、たまに面談、研修がある程度だったので、仲間とのコミュニケーションが大きな価値に感じられるのかもしれません。当時は本当にガムシャラで、周りの先生なんかを見ながら手探りでやっていましたね。 

最後に、フェローへの応募を迷っている方に一言お願いします。 

とりあえず、やってみるといいと思います。やったことがないことは、考えてもわかりません。挑戦してみることでしかわからないことも多いと思っています。

フェローで得られる経験は、当たり前ですが学校によって異なります。嬉しいこともあれば、苦しいこともあります。私は子ども達との付き合いの中で、自分にとっての普通が普通じゃないと感じさせられることを多く経験しました。 

例えば、子ども達からの好意のコミュニケーションが攻撃的であることもあります。そんな自分の気持ちを言語化できないでいる子ども達への接し方は、やりながら対処していく必要があります。教育には正解がないので、自分で考えて行動していく力が求められるのです。 

ただ、教員を経験できたお陰で、教育というキャリアを伸ばしやすくなりました。私の場合は、学習環境を作ること、公教育に関わること、教育系のワークショップをすることなど、レゴランド内での教育関連の仕事は、教員経験が評価されて持ち掛けられることが多々あります。 

これは、そもそも教育関連の会社に勤めている場合だと、同じような経歴の人が多くいるため目立つことはないのですが、私のように教育関連でもテーマパークなど、範囲を広げると教育を専門にやってきた人が少なくなるので、教育周りの仕事がやってきやすくなります。人を指導する仕事なんか依頼されますね。今後、教育関係の仕事をやっていきたい人にとっては、良いことなのではないでしょうか。 

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