活動レポート report

フェローシップ・プログラムの研修と仕事の両立はできるの?

フェローシップ・プログラムの研修に参加しつつ、仕事をすることはできるのか? 教員免許がない上に、短期間で研修を受けながら仕事も今まで通りすることができるか心配…。そんな不安を感じている方のために、実際に仕事と研修を両立して2020年4月から教員になった8期生の4名にインタビューを実施! 両立するのに苦労したことや工夫したこと、一日の生活時間などをお伺いしました。

※なお、こちらの記事は第8期フェローへのインタビューであり、研修内容・形式・日時などは変更の可能性がありますのでご了承ください。

【吉崎フェロー】研究職を続けながらTFJの研修&小学校資格認定試験も受験。

名前  :吉崎聡一
年齢  :27歳(研修参加時)
出身大学:東京工業大学
フェロー:8期生(2020年~2022年赴任)
校種  :小学校
赴任先 :長崎県
教員免許:小学校資格認定試験で取得
前職  :(株)東レ複合材料研究所 研究開発
前職勤務時間:9:00~17:30(土日休み)
選考会参加時期:春募集

仕事と研修の両立で苦労したこと

スケジュール管理がとても大変でした。仕事で突発的な対応を求められる時があると、研修に参加できなくなってしまうので、ちょっとドキドキしていました。だからこそ、オンライン研修が2回実施されるシステムはすごい良かった。平日の研修って、どうしても今日中に片付けないといけない仕事があると、パスするしかなかった。でも、休日にも研修日が設けられているので、100%研修に参加することができましたね。

あとは、どうやって時間を確保するかが大変でした。オンライン研修を2時間受ければ完結する話ではない。だから、いかに自分の時間を作るかっていうことに苦労しました。

僕の場合は、完全にオンとオフを切り替えて、仕事終わったら週に3日を目標にカフェで集中して勉強していました。

一日の流れ(平日)

 8:00 起床
 9:00 出社
※家から職場まで徒歩5分
18:00 退社し、カフェへ直行
※勉強しない日は帰宅してリラックス
21:00 カフェの閉店まで勉強し、帰宅
24:00 夕食をとって、家のことをして就寝

※休日は、集合研修とその移動(愛媛にいたので、研修にいくのも一苦労)やボランティア(子ども向けの科学ワークショップ)に費やすことが多かったです。休日のまとまった時間を勉強に当てていたというよりも、スキマ時間をうまく使っていた感じです。ただ、集合研修やボランティアがとてもモチベーション維持につながっていました。

仕事を早く切り上げるときの苦労

社会人3年目のときにフェローシップ・プログラムに参加して、働き方をコロッと変えました。社会人1、2年目までは、夜遅くまで残業していたんですが…。

最初は周りの目とかが不安でした。でも、結果ありきの職種だったので、結果を出していれば何も言われないって分かりました。結構取捨選択をしましたが、結果をしっかり出して、自分の時間を作るように努力しました。

仕事でのアウトプットの質

社内でもっと活躍していいポジションにつこうと思ったら、もっと報告書を書いたりしないとダメだったと思います。ただ、自分はその辺りを割り切っていたので、教員になってから必要なことへ時間を使えました。

仕事に対するモチベーションでは「飛ぶ鳥跡を濁さず」じゃないですけど、「あいつ結局中途半端で行っちゃったよな」ってならないように意識してました。

TFJの研修に対するモチベーション

知識をアウトプットするという意味で、小学校資格認定試験を研修と同時並行で受けたのは良かったです。資格認定試験で結果的に免許取れたから良かったのではなくて、客観的に研修内容をアウトプットする場として活用することができました。学ぶモチベーションの維持にも使えて、結果的に基礎基本をしっかり学ぶことができました。

あと、slackでのフェロー候補生同士のコミュニケーションがすごく良いなって思ってます。slackでは常にやり取りがあるのでいつも情報が入ってきます。実際に、ちょっとしたスキマ時間にslackを見て、新しい考え・情報に触れたり、投げかけていた質問の回答を確認したりできました。スキマ時間をうまく使うのも1つのポイントだったと思います。

エントリーを検討されている方へのメッセージ

不安だと思うんですよね。私も4月当初はすごく不安でした。でも、やってしまえば時間は捻出できると思います。限られた時間しかないからこそ、メリハリを付けることができたと思います。

そして、教員になってからも限られた時間だからこそ、いかに効率を高めようとするかという考え方や勉強の仕方は活きています。仕事と研修を両立しながらやってきたことは、決して無駄じゃなかったと実感しています。

【大久保フェロー】塾講師、スクールサポーターをしながらTFJの研修&教員採用試験も受験。

名前  :大久保秀晃
年齢  :27歳(研修参加時)
出身大学:慶應義塾大学
フェロー:8期生(2020年~2022年赴任)
校種  :小学校
赴任先 :東京都
教員免許:小学校免許(認定フェロー)
前職  :塾講師、小学校スクールサポートスタッフ
前職勤務時間:約38時間/週
選考会参加時期:春募集

仕事と研修の両立で苦労したこと

あんまり大変って感じたことはなかったです。というのも、免許取得する勉強と教員採用試験の勉強とTFJの研修って重なるところが多くあったんですよ。なので、TFJの研修に向けて勉強することは、免許取得や採用試験の勉強にもつながっていました。だからあまり大変だとは感じなかったですね。

TFJの研修で模擬授業をする機会もありましたが、模擬授業は本で読んだことや調べたことをアウトプットできる場っていう感じでやってたので、それも苦ではなかったと思います。

大変さをあまり感じなかった理由を挙げるとしたら、全部習慣化していたことがポイントかもしれません。学校や塾の空き時間を勉強に使うことが定着していたと思います。あと、「先生になること」が目的ではなくて「先生になってからどうするか?」が大切だと考えていたので、すべての勉強がそこにつながっていたんだと思います。

時間の確保で工夫したこと

僕は家だと絶対に勉強ができないので、必ず外に出るようにしていました。学校と塾の間に空き時間があったら、喫茶店に入って勉強してました。土日も家にいたらダラけちゃうので、先生を目指してる知り合いと一緒に喫茶店で10時~18時、19時まで勉強してましたね。息抜きのために途中で遊んだりもしましたけど(笑)

一日の流れ(平日)

6:50 起床
7:50 出勤
8:25 学校到着→仕事
15:30 学校勤務終了→塾の近くの駅へ
16:15 勉強
18:00 塾→仕事
22:30 帰宅、夕食、家のこと
24:00 就寝

一日の流れ(休日)

8:00 起床
9:00 外出→電車で鶴川駅へ
   ※移動中は読書
10:30 食事
11:30 喫茶店到着→勉強
18:30 夕食
20:00 帰宅
24:00 就寝

あと、やらなければいけないことは期限から逆算して1週間ごと、1日ごとにまで落とし込んでスケジュールを立てていました。例えば、TFJの課題や採用試験の勉強とかがやらなければいけないことになりますね。

一方で、教育系の本を読んだり、それをノートにまとめたりするようなやりたいことは、やらなければいけないことが終わってから取り組むようにしていました。

とはいえ、すべてがスケジュール通りに進むわけではなくて、どうしても集中できないときや友人から遊びの誘いがあるときは、1週間のうちでカバーできるようにスケジュールを変更して息抜きもしつつモチベーションを保っていました。

エントリーを検討されている方へのメッセージ

僕はTFJに入って、同期のフェローの方や職員の方と出会えて良かったと思っています。というのも、TFJの方々はいろんな経験をして、教育に対する強い想いを持っていらっしゃると感じています。広い視野でいろんな考え方を持たれているので、現場に出てからもそのつながりや情熱に刺激を受けています。

【山本フェロー】学校支援員+法人営業+サッカーのコーチ×TFJの研修

名前  :山本亮
年齢  :27歳(研修参加時)
出身大学:日本大学
フェロー:8期生(2020年~2022年赴任)
校種  :小学校
赴任先 :福岡県
教員免許:中学校、高校(保健体育科)
前職  :学校支援員、求人広告の法人営業、サッカーのパーソナルコーチ
前職勤務時間:8:30~18:30(平日)
       +週末はサッカーのコーチ
研修参加時期:春募集

仕事と研修の両立で苦労したこと

前提として、フェローになると決まったときに正社員として働いていた会社を退社しました。そして、学校現場に関わるために、中学校の支援員を週2日していました。それに加えて、知り合いの会社で週2,3日働き、週末はサッカーのパーソナルコーチをするという生活を送っていました。

両立というと時間を作ることに大変さをイメージするかもしれませんが、そこには大変さを感じませんでした。というのも、僕の場合は仕事とTFJの研修がつながっていたからだと思います。TFJの研修は、仕事をする上でも活きる内容だったので両立しなければいけないという考え方がなかったですし、モチベーションも9か月間保てていたと思います。

一方で、僕が赴任前に一番大変だと感じていたのは、実際に研修で受けていたことがイメージしにくかったことです。教職課程を受けていたとはいえ、免許を取得してから時間が空いていたので、子どもたちの様子や授業の進め方などにリアリティを持つのが大変でした。

平日の一日の流れ

6:30 起床
7:00 出勤(通勤時間1時間半)
8:30 出社
18:30 退社
20:00 帰宅
21:00 勉強(研修の復習、1時間半)
23:00 夕食、家のこと、就寝

職場までの移動時間が往復で3時間程ありました。そのため、移動中は本を読んだり、TFJの研修課題の確認をしたりする時間にしていました。

休日の一日の流れ

6:00 起床 
7:00 サッカーの個人レッスンと移動
8:30 帰宅、勉強
11:00 家のこと
12:00 サッカーの個人レッスンと移動
16:00 映画鑑賞
19:00 研修を受ける(休日に受ける)
23:00 就寝

僕はまとまった時間で勉強するのが苦手だったので、時間を区切ってスポットで勉強するようにしていました。

事前に準備すべきこと・研修が現場で活きていること

赴任前研修で指導案を作ることもありましたが、指導書通りの指導案をあまり作ってきませんでした。指導要領を読むだけだと、ひとつの授業ごとの目標の設定はわかりづらいです。だからこそ、指導書を参考にして基本の授業案作りをしておけば良かったと思います。現場に入ると基本が本当に大切だと感じます。

研修を受けたことでいま一番活きていると感じるのは、特別支援教育やインクルーシブ教育、人権、LGBTQに関する考え方です。TFJの研修の中で、とても大切にされていた内容だと思いますし、自分でもすごく勉強しました。目に見えるスキルではありませんが、子どもたちや同僚の先生、保護者の方々と向き合うときに、表出している行為ではなく背景を考えることができています。

エントリーを検討されている方にメッセージ

教育とは直接関係ない仕事に就いていても、今していることは教員になってからも活きると思います。例えば、社会人のマナーやコミュニケーションの取り方。これは先生方や保護者の方と関係を構築するときに役立ちますし、子どもたちは教員のマナーやコミュニケーションの取り方を見て学んでいます。今している仕事をぜひ大切にしていただきたいです。

【桑原フェロー】退職時期を早めて戦略的に準備時間を確保

名前  :桑原風人
年齢  :26歳(研修参加時)
出身大学:中央大学
フェロー:8期生(2020年~2022年赴任)
校種  :中学校(数学科担当)
赴任先 :大分県
教員免許:中学校、高校(数学科、理科)
前職  :株式会社デックス
前職勤務時間:8:00~19:00,20:00(平日)
研修参加時期:秋募集

仕事と研修の両立で苦労したこと

苦労した話とはそれるかもしれませんが、退職時期を赴任直前の2月や3月ではなく、12月に早めることで1月~3月は教員になるための準備に集中するように戦略的に時間を確保していました。

なので、仕事と研修を両立している1カ月間は、TFJの研修準備に毎日1時間ほど確保して、できる範囲で勉強していました。(桑原フェローは秋募集に応募して12月から研修に参加しているため、研修期間は合計4か月、仕事と研修の両立期間は1カ月)

平日の一日の流れ(両立期間)

6:30 起床、朝食、準備
8:00 仕事開始
19:00~20:00 退社
20:30 帰宅
22:00 勉強
23:00 夕食、家のこと、就寝

21:00~22:00まで残業が当たり前の働き方だったので、TFJの研修が始まってからは早く切り上げて20時頃には退社するようにしていました。帰宅してからは、研修準備のためにコツコツと勉強をしていました。

平日の一日の流れ(退職後)

7:00 起床
9:00 勉強(インプット&アウトプット)
12:00 ランチ
13:00 自由時間(散歩、読書など)
18:00 勉強(インプット&アウトプット)
21:00 家のこと
23:00 就寝

僕の感覚的な話ですが、モチベーションを保つという意味で、3カ月は少し長かったなと感じます。もしやり直せるなら、勉強だけに集中する期間は2カ月にすると思います。

4か月という短い研修期間の中で、大変だったこと

授業力を身に付けることですね。

授業力を身に付けるために、同期フェローと模擬授業を積極的に行っていました。TFJには模擬授業を実施する時間を共有できるシステムがあったので、どんどんアサインして模擬授業をするようにしました。

7月から研修を受けているフェロー候補生もいる中で、研修期間が短い分キャッチアップするために積極的に取り組みました。また、自分にいまできることを全力で取り組むことで、「自分はやることをやってきた」という自信を持つためにも積極的に取り組みました。

モチベーションの保ち方

仕事の両立と退職してからの学びのモチベーションは、「短い研修期間でフェローになるのだから、やるしかないぞ!」という一心でした。実際に私の研修期間は4カ月なのに対して、春から研修に参加しているフェロー候補生は9カ月間学んでいます。

同じフェローという肩書を頂いている以上、倍以上やらないといけないと思っていたので、自分の中で最低限の知識やスキルに関してはきちんとキャッチアップしようと思っていました。

エントリーを検討されている方にメッセージ

フェローシップ・プログラムに参加して良かったなと思っている点は、自分の中の世界が広がったことなんです。TFJが提供している研修が実務的なことだけではなく、いろんな視点で、いろんなアプローチで設計されていました。その研修を受けることで、自分の関心がすごく広がっていきました。

もしフェローシップ・プログラムに関心があるならば、まずは参加してみてほしいです。そこで成功するか失敗するかはわからないですが、自分はすでに素晴らしい経験をさせてもらっていると感じています。

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