フェローインタビュー fellowinterview

新卒小学校教員1年目を終えて、見えてきた景色と希望〜「すべての人が自分の可能性に気づける社会」を目指して〜

新卒でフェロー(小学校教員)というキャリアを選び、一人でも多くの子どもたちに「自分の可能性に気づいてもらうこと」を目指して、日々取り組んでいる上村先生にインタビューをしてきました。新卒教員1年目を振り返り、今後の展望を伺いました。新卒で教員になることを考えている人にはぜひ読んでいただきたい記事です。また、赴任先の校長先生もインタビューをご快諾くださいました。

上村小春

※表は横にスライドできます。

赴任期間2018~2020(第6期フェロー)
赴任先福岡県
校種小学校赴任(特別支援担当(小5・6))
教員免許中高(社会)、特別支援の教員免許
出身大学関西学院大学(教育学部 教育科学)
趣味美味しいものを食べること
座右の銘おもしろきこともなき世をおもしろく
一言メモ明るい笑顔のムードメーカー。
持ち前の巻き込み力を発揮して2年目はさらに飛躍!

”荒れた”子どもたちは悪くない。教育の力で人を変える。

上村先生は教育学部出身ですね。そもそも何で教員になりたいと思ったのですか?

私が教員になりたいと思った理由は、2つあります。1つは、自分が通っていた中学校が荒れていて、当時からそれをなんとかしたかったんです。喧嘩や窓ガラスが割れることも珍しくありませんでした。ただ、私は、荒れている、というか、はっちゃけっている友達たちとも仲良くなりたかったんです。生徒会長をしていたのですが、そんな仲間とともに体育会などの行事を引っ張りました。そうした関わりの中で、荒れているのは、その子自身じゃなくて家庭や教育が原因ということもあるのではないか、と思うようになりました。

そしてもう1つの理由は、当時、理想の先生がいなかったんですね(笑)もっともっと学校を良くしたいと思っていたのですが、自分自身に力は不足していましたし、先生方もいっぱいいっぱいに見えました。だから、当時私が描いていた理想の先生に自分がなりたい、そう思ったんです。

中学校時代から持つ、その志が素晴らしいです。TFJのフェローとして教員になろうと思った理由は何ですか?

TFJの説明会で「教育から人を変えていくこと」に強く共感したことが大きなきっかけです。私自身の目標としては、「教育から人を変えていく力」を身につけて、最終的には、当時私が課題を感じていたような地元の学校で子どもたちに貢献することです。

もう1つは、自分の地域から出てみたいという好奇心もありました。「荒れてる学校をよくしたい」という私自身のテーマはありましたが、地域によって違うのではないかとも思っていました。実際に、福岡にきてみて、生まれた環境によって、子どもたちが与えられる生活環境は全く違うのだなと感じています。例えば、こちらの環境だと公園がなかったり、学校が遠いので保護者の送り迎えが必要だったり。私は都会で育ったので、都会とはまた違った良さと、教育上の課題などにも気づくようになりました。人としての本質は同じであっても、表面的な環境に左右されることも少なくないと感じています。

「すべての人が自分の可能性に気づける社会」にしたい。

上村先生が実現したいビジョンを教えてください。

すべての子どもたちに「自分の可能性に気づいて欲しい」ということです。先ほどのお話に戻りますが、自分の中学校の友達が、可能性があるはずなのに何でも「めんどくさいとか」「私には無理」と言って諦めている姿をみて本当にもったいないと感じていました。

今、私は特別支援学級を担当していますが、「自分の可能性に気づいてもらいたい」と思って日々取り組んでいます。

実際そのビジョンに向かって取り組んで1年、手応えはありますか?

可能性を実感させるって本当に難しいです。言葉で伝えるだけではダメで、具体的に気づいてもらうことが大事だと学びました。同時に、特別支援教育コーディネーターの役割を担当し、選択肢を広げることで、子どもの可能性が広がる、笑顔が増えるということも実感することができました。

とにかく今は、子どもたちに小さなことにでも興味を持ってもらいたいです。特別支援の子どもたちが与えられている環境は、どうしても年を重ねるごとにどんどん選択肢が狭まっているように見え、「◯◯だから、これしかない」と消去法の選択が迫られているようにも感じます。子ども一人ひとりの興味を引き出し、子どもがやりたいと言ったことに「できるよ!」と言って応援し続けていきたいと思っています。

現場経験を通じた、目的意識が素晴らしいですね。 次の1年はどんなことにチャレンジしたいですか?

実際には、私一人でできることは限られているので、もっともっと周囲の人を巻き込んでいきたいです。私がいま赴任している地域は、小さな町ですので、ご飯を食べてたら、隣に座っている人が議会の偉い人だった、ということも珍しくありません。また、この地域には、応援してくれる民間企業や議会の方々がいらっしゃいます。

地域も巻き込みながら、子どもたちの可能性を引き出す取り組みができないか模索しているところです。

上村先生が赴任している校長先生にもお話を伺わせていただきました。

上村さんの印象を教えてください。

上村先生は、とにかくコミュニケーション能力が高いです。ムードメーカーで気が利きます。元気で、食べるのが大好き(笑)保護者や教員、そして子どもだちともすぐに打ち解けました。

そして何より、とても熱心に日々の授業に励んでいます。特別支援学級を担当してもらっているのですが、学生時代学んでいた特別支援教育の専門性を現場で生かしています。学年が2学年に渡っていて非常に難しいのですが、黒板を半分にわけて、2学年同時進行の授業展開を1年間やり切りました。学校訪問で授業を見た教育委員会の方が「こんな授業はみたことない!」とおっしゃるほどでした。学ぶ意欲と改善意欲が高く、教員としての資質が高いですね。

さらに、特別支援教育コーディーネーターとしての動きが素晴らしかった。「共通理解ができるように記録をつける」「ケース会議を企画する」など、主体的に仕事をしてくれています。

実は、赴任前の研修で授業をみせてもらったときは、かなり心配していたのですが、驚くほど成長していました。

上村さんに期待することはありますか。

今年の経験を生かして、さらにステップアップしてほしいと思っています。今年、築き上げた強みを生かしてほしいです。いまある上村さんの良さを大切にしながら、次年度は通常学級担任としてバージョンアップした姿を期待していますし、また応援もしています。

今後のフェロー(教員志望者)にメッセージをお願いします。

教職は尊い仕事です。それが、1年であっても、2年であっても、人の人生に大きな影響を与えうる仕事です。常に、自分はまだまだ不十分な存在だと自覚し、自分と、そして子どもたちと向き合い続けてほしいと思います。胆力を持って頑張ってほしい、それが教育者として仲間になってくれる人に伝えたいメッセージです。

(編集後記)
上村先生の特別支援学級の授業を見学して印象的だったことは、子どもが落ち着いて意欲的に授業を受けている姿です。少ない人数の中でも、温かく前向きな空気が流れていました。また、校長先生のバックアップもあり、新たなチャレンジにも期待です!

Teach For Japanは、学校の教室から世界を変えていきたいと考えています。多様な教育課題があるからこそ、学校へ情熱ある多様な人材を「教師」として送り出しています。教室で生まれたインパクトを、学校・地域・社会へと広げ、教育改革の一翼を担います。

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