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修了生インタビュー aluminiinterview

【イベントレポート】教員養成系大学で小中高の免許をとった私がファーストキャリアでTFJフェローを選んだ理由と学校現場での挑戦

9期フェローの長崎さんに、フェローシップ・プログラムに参加した理由や赴任前の研修、学校現場での取り組みなどについてお聞きするイベントを開催しました。
当日の内容をまとめた本記事と合わせて、ぜひアーカイブ動画もご覧ください!

【ゲストプロフィール】
長崎裕也さん(Teach For Japan 第9期フェロー/小学校赴任)
中学生の時、職業体験で教員の仕事を体験したことをきっかけに、小学校教員を目指して東京学芸大学教育学部に入学。教員養成課程で各教科の指導法を学ぶ傍ら、公立小学校で子どもたちの実態を目の当たりにし、教員の役割や教育の目的について疑問を持ち始める。卒業後は、小学校、中学校理科、高校理科の免許を保有するものの、教員採用試験は受験せず、Teach For Japan 9期フェローとして新卒で教員となる。2年間のフェロー期間を修了した現在も、福岡県の小学校に勤務し、3年生の担任をしている。

▼YouTubeにて動画でご視聴いただけます!

フェローシップ・プログラムに参加した理由

Q:教師を目指したきっかけを教えてください。

原体験で言うと、中学校の時に職業体験として小学校の先生を体験しに行ったんですね。その時に関わった子どもたちのことが高校卒業時の進路選択のときに思い起こされて、それで教員っていう選択肢が出てきた、というところからだと思います。

Q:教員養成大学での学びで印象的なことはありますか?

教員になった時に授業に役立つことや教育法規、制度、歴史など、そういうのも面白かったんですけど、課外活動の時にやっていたことの方が印象に残っています。ボランティアで公立の小学校に行って、学習のサポートをしてたことがあるんですけど、いわゆる学級崩壊に近いクラスのサポートに入ってたんですね。授業が始まっても教室に戻らない子どもたちに教室に戻るように促すような役目だったんですけど、やってるうちに教室に戻すことに本当に意味があるんだろうかと思ってしまって。そんなところから教育の目的とは何だろうとか、自分はどういうことを理想としてるんだろう、みたいなことを考えるようになりました。

Q:フェローシップ・プログラムを通して教師になられたのはなぜでしょうか?

教員もやりたいし教員ではない領域で教育に関わりたいなっていう両方の思いがあったんですが、新卒では教員ではない領域から教育に関わりたいなと思ったんですね。なので就活をしたんですけど、その中でTeach For Japanのフェローシップ・プログラムの存在を知りました。教員は後からなるつもりだったんですけど、プログラムは2年間という期間が決まっていて、どうせ両方やりたいと思ってる自分には都合がいいなと思いました。あと、免許を持ってなくて社会から飛び込んでくる人たちが集まるようなプログラムなので、そういう人たちと一緒に関わり合いながら学校にいられれば、いろんな視点を持って、、自分を常に広げながら学校にいられるんじゃないかなと思ったので、それだったら先に教員してみるのもありだなと思ってフェローシップ・プログラムを選びました。

赴任前研修での学びやコミュニティ

Q:赴任前の研修はいかがでしたか?

自分にはすごくフィットしました。教員養成大学にいたので基本的な授業作りとか生徒指導とかはもちろん大学で学んでいましたが、フェローシップ・プログラムの研修で得られたこととしては、例えば世界的に教育が今どんな方向を向いていて、どういうことが大切にされてる風潮があるかとか、教育を脳科学から捉えたりするのもすごく面白かったなと思っています。心理学的に捉えることは大学でも学んだんですが、脳科学は初めてで、今でも役に立ってますね。
(※参加当時の内容です。)

Q:研修ではビジョンを深掘りする内容も多くありますが、赴任時にはどのようなビジョンをお持ちでしたか?

すべての子どもたちと共に心を動かすっていうのを大切にしていました。学校の中で何かに熱中したりとか感動したりとか、そういう瞬間を教室で作っていくっていうことが子どもたちの幸せにもなるし将来にもつながるなと思いました。
フェローシップ・プログラムにエントリーした時のビジョンは、「すべての子どもたちが生き生きと生きられるように」ということでした。例えば困難を抱えてるとか環境的にしんどい子どもたちにもいい教育を届けたいと考えてたんですけど、研修の中でビジョンを突き詰めて考えたりとか、いろんな人と話したりしているうちに、手を差し伸べて助けてあげて、その先で子供たちにどうなってほしいのかがあいまいであると気づかされました。
じゃあ「生き生き」ってどんな状態かなって思ったら、何かにこう没頭してる時とか熱中してる時、本気になってる時ってすごくいい時間だったし、それが「生き生き」だなと思って、自分が届けるものは子どもたちと共に心を動かす瞬間だなと考えました。

赴任中の取り組み

Q:実際に学校現場に赴任されていかがでしたか?

正直なところを話すと楽しいのは楽しいんですけど、しんどいのも間違いないなと思ってます。
イメージとしては、仕事が次から次へと降り注いでくるみたいな感覚があって、子どもたちがいる時は楽しいんですけど、あっちで何か起これば次こっちで何か起こって、次は何か求められて、頭の中では次の授業のことを考えてみたいな、そういうのが正直なところ大変ではあるなとはすごく思います。

Q:そういった状況をどういう風に対処していったんですか?

仕事は本当に降り注いでくるので、1日が終わって振り返っても、自分が今日何をしていたのか分からないということがありました。それに対しては、自分が1日何してたのかを分刻みでメモしてみたらちょっと良くなってきたなっていうのがあります。
あとメンタル面では、リフレッシュすることも大事だなと思いました。フェローの仲間と一緒に遊びに行ったり、自分が単純に好きなことに没頭したりする時間がある方が、時間面では忙しくなるんですけど、気持ち面ではむしろ余裕が持てて、そうやってバランスを取りながらやってます。

Q:ビジョン実現のために取り組まれたことはありますか?

赴任前からやりたかったこととして、クラスでPBL(プロジェクトベースドラーニング)に 近いことをしたいなと思っていて、子どもたちが問いや課題を見つけてそこに向かってそれぞれで取り組んでいく、それが子どもたちが熱中できる授業になるかなと思ってやりたかったんです。
赴任して1年目は1年生の担任をしたのですが、1年生の生活科の授業ってそもそもの構想がものすごくPBLっぽいなっていうのを思ったんです。季節について学ぶところがあるんですけど、例えば秋に見つけたものとか秋らしいものから、秋のお祭りを開こうというところに向けて、どんぐりごまを作ったりとか、どんぐり迷路を作ったりとか、子どもたちになるべく選択できる余地を与えながら授業をしてましたね。
真新しいものをポンと入れるのは自分にはすごくハードルが高くて、それよりかは今あるものに一手間加えてちょっとでも近いものを作れたらなっていう感じでした。

Q:子どもたちの反応はいかがでしたか?

子どもによってはものすごくはまって、ものすごく生き生きして、自分も思いつかないようなものを作り出したりとか、すごく満足気に進めてる子もいれば、逆に終わった後のアンケートで、何していいか分からなくて難しかった、結局全然進まなかったという子もいたりして、リアルだなと思いました。

Q:2年目で実践されたことも教えてください。

2年目もまた1年生を担当させてもらって、学習の内容としては同じことを回していけたんですが、特に修正を加えたのは漢字の学習です。
自分は、子どもたちが何かに熱中できるようなモチベーションって、教師の関わりによって引き出されるのだと思っていました。しかし、1年生と関わる中で、子どもたちの中には、早く授業をやりたい、早く教科書を開きたいという、ものすごいモチベーションがあることに気づいたんです。それが、1年生が終わる頃には、子どもたちが漢字に対してめんどくさいとか難しいって思うようになってる姿を見たんですね。
それを見た時に、モチベーションを引き出すことよりもモチベーションの火を消さないことが大事で、自分がそれを消してたんじゃないかとすごい反省したんです。なので2年目は、自由進度学習みたいな要素を取り入れることで、子どもたちのやる気全開な状態に対して、自分がストッパーをかけないようにすることを意識しました。

修了後のキャリア

Q:3年目、教師を継続された理由を教えてください。

元から自分は、2年間のフェローシップ・プログラムを終えて、もう1年ぐらいは教師をするかもしれないという気持ちではいました。実際決断のタイミングに何を考えてたかというと、1つは2年間1年生を担当していたので他の学年も担当してみたいっていうのと、特にPBLを取り入れていくことにすごく興味があり、総合的な学習の時間の指導をしたいと思ったので継続させてもらいました。
もう1つは、学校に少しでも貢献できたらいいなとはすごく思っていて、2年間自分は学校の中ではICTに強いという立ち位置にいたので、色々協力して少しずつ改善できることに手をつけていて、3年目には自分がいなくなっても自走できるようにしたいなと考えて継続することにしました。

Q:今後のキャリアについてはどのようにお考えですか?

元々考えていた通り、教員じゃない立場から教育に携わりたいなっていうのがあります。
学校現場の中にいて、教師も子どもたちも余白がないなと感じました。なので、もう 少し余裕があるような環境で子どもたちに関わりたいなと考えています。
具体的にどんなことができるかは今まさに検討中です。

プログラムに参加して感じていること

Q:フェローシップ・プログラムに参加してよかったことは何でしょうか?

コミュニティが良かったなと感じています。他の参加者の人たちから影響を受けているところがすごく大きいです。いろいろな経験をしてきた仲間のフェローに、話を聞かせてもらったりとか、自分の考えを壁打ちしてもらったりとか、相談させてもらったりとかで、自分の視野がかなり広がったように感じます。他のフェローの方だけじゃなく職員の方にも色々お世話になっています。そういう繋がりが一番良かったなと思います。

参加者の皆さんの感想

現職の先生でいらっしゃる長崎さんの現場に対する率直な思いを聞くことが出来て大変学びの多い時間となりました。

長崎先生は、子どもさん達とビジョンを拡げていける、子どもに優しい先生だと思います。

TFJでの経験を生の声で聞くことができました。長崎さんのバックグラウンドからの感想を知れてよかったです。

参加者の皆さん、そしてゲストの長崎さん、ありがとうございました!

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