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やり続ければできるようになる。子ども達の自己肯定感を高める教師でいる

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~アラムナイインパクト vol.9_仁科勝成(37)_公立小学校教員~

フェロー経験者であるアラムナイの今を紹介する本企画「アラムナイ・インパクト」。第9回目は、フェロー第4期生の仁科勝成さんです。仁科さんは現在、福岡県福岡市の小学校で教員をされています。ご自身の社会経験、世界一周旅行の経験から、キャリア教育や異文化理解に力を入れていらっしゃいます。

また「やり続ければできるようになる」という信念を持ち、これまでも様々なことに挑戦されてきた仁科さん。特に今回は、フェロー時代から教師となった今までの学校現場における実践内容についてお聞きしました。

本記事は、フェローに挑戦するか迷われている方、教育業界の中でも学校現場で働きたい方、これまでの社会経験を子ども達に伝えていきたい方にとっては、参考になる内容となっています。ぜひ、お楽しみください。

出身大学近畿大学 文芸学部 文化学科
職歴株式会社リクルート(2008年4月〜2014年9月)
小学校講師(TFJフェロー)(2015年3月〜2017年3月)
小学校講師(2017年4月〜2020年3月) 
公立小学校教諭(2021年4月〜)

世界一周旅行を経てフェローに。国際理解を深める機会を提供したい

早速ですが、現在のお仕事内容を教えてください。

福岡市の小学校で、1年生の担任をしています。学校現場で働くのは、フェロー時代を合わせて6年目に入りました。2020年の採用試験に合格し、2021年から念願の正規教諭として働いています。

私は社会人を約6年経験したのち、世界一周旅行に出ているのですが、その時の写真を廊下に掲示しています。世界地図を模造紙に貼り、私が世界一周旅行で経験した3大事件や、オススメの国などを書き込んでいるんです。まだ1年生なので、まずは世界に興味を持ってもらうきっかけ作りができればいいなと思っています。

また、司書の先生と協力し、世界に興味を持ってくれた子ども達にオススメの本を置いていました。子どもたちがせっかく抱いた興味関心を,次に繋げられるように日々考えています。廊下の掲示は、1年生以外の子ども達も見てくれるほか、先生方も声をかけてくれるんです。今後は、他の学年にも広げていけたらいいなと考えています。

どのようなフェロー時代を過ごされたのですか?

私は、フェローの2年間で2つの学校を経験しました。フェロー1年目は学校になじめず、精神的にもしんどかったですね。当時を振り返ってみると、私はフェローとして何かやりたいという気持ちだけが強く、教育者としての基礎が固まっていなかったので苦しかったんだと思います。

2年目からは、同じ町内にあった違う学校に移りました。そこで出会った校長先生や周りの先生方が、私の挑戦したかった内容を後押ししてくれたので、少し自信を取り戻しながら、やりたかった教育を実践することが出来ました。とても感謝しています。

フェロー時代で印象に残っている出来事は何ですか?

「私たちが考える世界一周プラン」という内容で、総合的な学習の時間をメインに約15時間ほどを使って行った国際理解の授業です。自分の世界一周旅行の経験から、国際理解を深める機会を提供したいと思い実施しました。

そのために、まずは自分が見てきた国の情報を伝えたり、買ってきた民族衣装を見せたりしました。加えて、授業中に私の友人知人で海外に住んでいる日本人とテレビ電話で繋いで話もしましたね。1コマの授業の中で香港、フィリピン、シンガポール、アメリカの4カ国で、「130円で買えるもの」や「料理」など同じ10個の質問をして比較しました。その中の1つで,「日時」を聞く場面があったのですが,アメリカが前日の夜だということを聞いた子どもたちのリアクションはとても印象的でした。

その後、食事や祭りなどをキーワードに8つくらいの班に分かれて調べ学習をしてもらいました。それらを基に旅行プランを作成し、各班がクラス全員の前で発表する時間を設けました。このほか、世界15ヵ国くらいの外国人や日本の友人達にfacebookのメッセンジャーを使ってお願いしました。子どもたちには,自由に質問用紙に記入してBOXに投函できるようにし,回答とセットで「インターナショナルツリー」と名付けて掲示していました。

この授業をやろうと思ったキッカケは、赴任先の小学校の児童と、全国の小学校の児童の海外渡航歴の割合を比較した際に、赴任先の小学校の割合が著しく低かったからです。また、子ども達に「外国に行ってみたいですか?」と聞いたところ、行きたくない理由として、言葉が分からないから、どんな所か分からないから、危なそうだからといった意見が寄せられたんですよね。まずは世界について知ってもらう、身近に感じてもらう機会が必要だと思いました。

この授業を通して、子ども達に世界を少しでも身近に感じてもらえていたら嬉しいです。

フェロー後は小学校教師に。幼少期から劣等感克服のために挑戦し続けてきた

フェローを終えて、同じ小学校で講師になられたんですよね。

講師になってすぐに注力したのは、担当していた6年生向けのキャリア教育でした。冒頭でもお話しした通り、フェローになる前に約6年間の社会人経験があるのですが、幼少期から劣等感をずっと抱えながら挑戦し乗り越えてきた経験とその中で出会った多くの人の多様な生き方を子ども達に伝え,一つでも多くの選択肢を知る機会にしたかったからです。

新卒ではリクルートに入り、ホットペッパーの営業をしていたのですが、実は一番行きたくない(自分に一番向いてないであろう)会社にあえて入社したんですよね(笑)なかでも、営業は絶対にしたくない仕事でした。それでもあえて嫌な会社、嫌な職種を選んだのは、自分を変えたいと思っていたかったからなんです。この時の考えや経験は、教師になった理由にも深く関わっています。

私は幼少期から人見知りで、勉強もスポーツも苦手だったために自信が持てず、劣等感を抱いている子どもでした。しかし、中学入学と同時に陸上部に入りました。最初は,誰よりも遅く先輩方とも上手くコミュニケーションが取れず,嫌になる日もありました。そんな時は,自分の強みは「粘り強く頑張れること」だと言い聞かせ、練習だけは休まず参加し,半年後の持久走のタイムは学年トップとなり「やり続ければできる」という大きな自信につながりました。そして,その後も自己成長を求めてチャレンジしました。

そんな中でふと、自分の好きな領域で挑戦し続けていては変わらないことに気付いたんですよね。だったら自分の嫌なこと、苦手なことに挑戦しようと考え、新卒ではコミュニケーション能力が必要とされる営業職で、自分とは真逆のキラキラ輝いているタイプの人たちが多いイメージのあるリクルートに入りました。

入社して半年は本当に辛くて、心が折れそうになことが何度もあったのですが、周りの先輩や仲間に支えられて、最後には営業という仕事を好きになりました。これらの経験から、人は「どんな事でもやり続ければできるようになる」ということを実感し、自分のように自信がない子ども達が自信が持てたり、好きになれたりする機会を提供したいと思ったんです。その方法の1つとして考えていたのが、キャリア教育でした。

キャリア教育として行ったことは、いろんな大人たちの「生き方」を伝える授業でした。家庭環境に関わらず、全ての子どもたちにいろいろな人生の選択肢があることを見せてあげたい。そうすることが、これからの様々な意欲の源になると考えました。そこでいろいろな職業を知ること同時に、予測が難しい将来において職業にとらわれるのではなく、一人ひとりの価値観を探る活動や、どんな生き方があるのかということに焦点を置いて伝えたいと思いました。

そこで、私の知人友人約120人の社会人に対し、現在の職業や仕事の喜びなどを質問し、のA3サイズで1枚の「生き方シート(以下写真)」を作成しました。その中で、各々がこれまでの人生で印象的だった出来事と共に幸福度の折れ線グラフを作り、人生には良いこともあれば悪いこともあると伝えました。加えて、それらの経験から先輩たちが何を学び、何を大切にしているかについても伝えました。

この生き方シートは、6年生の総合の時間で教材として活用し、1時間に4人ほど取り上げて感想を共有し合うなどしました。子ども達からは、卒業文集で「100人の生き方の授業をきっかけに福祉関係の仕事につきたいと思いました」といった感想をもらうなど、一定の効果を感じられたので嬉しかったですね。また、全校生徒向けに共有スペースにも掲示し、誰でも自由に質問できるようにしました。その結果,子ども達だけでなく先生方にも興味を持って頂き、最終的には全校児童の90%以上が一度は質問を投函してくれました。

なぜ、教員になろうと思ったのですか?

大学時代,特に興味はなかったのですが、軽い気持ちで教職課程をとっていました。そのため,就職活動の時に教員も一つの選択肢として頭によぎったのですが、絶対なりたいという強い気持ちにまでは至らず、そんな気持ちで子どもたちの前に立てなと思ったんですよね。だったら、まずは社会人になろうと思い、自分の苦手が克服できるリクルートを選びました。

でも、リクルートでの約6年間で教育に対する関心が湧き上がってきたんですよね。新入社員の教育を担当したり、アドバイスした後輩が成長したりする姿を見て、人の成長に関わるのは面白いなあと。それに、自分が苦手な営業という仕事に向き合う中でコミュニケーション能力を伸ばすことが出来て、過去の自分のように自信が持てない子ども達に「なんでもやれば出来る」「苦手なモノでも好きになれる」ということを伝えていきたいと思ったんです。

また、教員になる前にずっとやりたいと思っていた世界一周旅行で様々な国を訪れ、日本の環境は恵まれていないわけではなく、やれば出来るようになる環境だということを改めて実感しました。それを一人でも多くの子ども達に伝えることで、日本の将来を明るくしたいと思っています。

この思いを実現できるフィールドとして、日本全国の様々な学校を調べたのですが、幅広い子ども達にチャンスを与えられる公教育の現場で働きたいと思うようになりました。そんな時、たまたま転職サイトでTFJを見つけて、これだと思って応募しましたね。

子ども達はもちろん大人にも、生き方には幅広い選択肢があると伝える

今後の展望を教えてください。

キャリア教育の際に作成した約120人の生き方シートを、小学校だけでなく中学校とも連携して活用したいと考えています。中学生の方が、より受け取れるメッセージが多いと思っているからです。また、それぞれが感じ取ったメッセージを、どう具体的な行動に落とし込むかが大切なので、その辺りについても中学校の先生方と話し合いたいと考えています。

また、今回作成済みの生き方シートにご登場いただいているのは、基本的には私の知人友人なので、今後は地域の人や保護者の方にもお願いできればと考えています。実際に学校にも呼べるといいですね。そうすることで学校と地域の接点が増え、学校・地域・家庭が一体となり子ども達に様々な生き方のモデルを示すことで、地域の子どもたちの未来の可能性を広げていけると考えています。

また、この生き方シートを通して「みんな違ってみんな一緒」なんだということに気づきを生むことで、一人ひとりの人権を大事にするような学びにも繋げられると考えています。同時に、小学生へのメッセージの部分には協力して下さった方々のエピソードが赤裸々に書かれています。日常に悩みを抱えている子や不登校の子ども達にも響くメッセージがあると感じているので,そういった子ども達にも届けていきたいですね。

加えて、嬉しいことに、生き方シートは子どもだけでなく大人からも引き合いがあるんですよね。生き方シートにご登場くださったネイリストさんがいるのですが、彼女のお店で生き方シートを掲示したいと言ってくださったんです。また、彼女のお店のスタッフさんでホームページを作れる人がおり、ネットで公開するのも良いのではないかという意見も頂きました。このように、学校現場以外にも広げていけたら嬉しいですね。

フェローになろうとしている方へアドバイスをお願いします。

少しでも教育に興味を持っているのであれば、ぜひフェローに応募して欲しいと思います。なぜなら、フェローへの応募をきっかけに自分の考えを見つめ直し、「子どもたちに何を伝えよう」「どんな教室を作ろう」と具体的に考えるようになるからです。私自身もそうでした。だからこそ,まずは教育へのアクションの第一歩として考えるのもいいかなと個人的には思います。そして、その中で具現化した熱い想いを、子どもたちに伝えてもらえると嬉しいなと思います。

しかし、フェローの2年間は決して順風満帆に過ごせたかというと私自身は決してそうではありません。日々失敗の連続で、思い悩む事が多くありました。それでもフェローになってよかったと思うのは、教員免許なしで小学校の現場に入り、外からでは決して見ることのできなかった「教師」という仕事をやり始められたこと。そして、日々目の前にいる子どもたちと目まぐるしい日々を過ごす中で,出来なかったことが出来るようになる。そんな子ども達の成長していく姿を身近で感じ取れるところだと思います。

フェローになるか迷われている方の中には、その後のキャリアを考えて不安になっている方もいると思います。私自身もそうでした。その場合、転職して教師になるとすると、後戻りできないような気持ちになると思いますが、フェロー後のキャリアは想像以上に多様な選択があります。安心してチャレンジして欲しいと思います。

また、教育に熱い想いを持っている同期や先輩と出会えるほか、最新の教育事情に触れる機会も多く、教育分野でステップアップするには本当にいい環境だと思います。教員という仕事は,本当に難しい仕事だと思います。だからこそ,心が本当に折れそうになることがあります。加えてフェローシッププログラムに参加し教育現場に立つことは、免許を持っている方にとっても大きなプラスになると考えています。その理由を最後に3つ挙げさせていただきます。

①自分のビジョンが明確になる

自分はどうして教員になりたいのか。どんな教室にしたいのか。何を伝えたいのか。何を大事にしたいのか。そんなことを必死に考え続けたからこそ、辛い時でもそこに立ち返り志を絶やさずに教員を続けられたと思っています。

②多様な経歴・考えを持つ同期や先輩の存在

同じような境遇を経て現場に立つ同期や経験してきた先輩がいることは,非常に心強いです。もちろん現場では一人で乗り越えていかなければいけない事が山ほどありますが、同じ悩みをいつでも相談できる相手がいることは、コロナ禍においてはとても貴重な強みだと考えています。そこで出来た仲間は、フェロー後も教育について熱く語り合えるかけがえのない存在になっています。

③最新の教育事情をキャッチできる

学校現場の生活は、毎日が何かに追われるように過ぎていきます。そんな中で,フェローのつながりがあることで,国内外問わず様々な情報に触れる機会が生まれます。学校現場の先生方の知識と経験とともに,そういった外からの情報を同時に吸収しながら現場に立つことで、より幅広い選択肢の中から子どもたちにあった教育ができると思います。

フェローシッププログラムには、私自身30歳を超えて参加しましたが、かけがえのない学びと仲間を得た2年間でした。一人でも多くの方に、フェローになって出会う子どもたちと一緒にかけがえのない毎日とともに、未来を創ってほしいと思います。

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