代表 中原より新年のご挨拶「システムチェンジ元年」
新年明けましておめでとうございます。
認定特定非営利活動法人Teach For Japan代表の中原健聡です。
日頃より、TFJの挑戦に温かくご支援くださっている皆さまに、心より御礼申し上げます。
2025年は、日本各地で教員の欠員が一層深刻化するなか、皆さまのご支援を受け、73の市区町村で101名のフェロー(教師)が学校現場で活動した一年でした。その結果、欠員による教育機会の喪失を防ぎ、8,000名を超える子どもたちに、途切れることのない学びの時間を届けることができました。
一方で、私たちの活動は、単なる「人材不足の補完」ではありません。
画一的な教職への入職ルートを変革し、現在の入職の仕組みでは解決できない教員数の課題に向き合うと同時に、多様な経験や専門性をもつ人材が教員として参画することで、学校教育の質・多様性・包摂性を高める教職員集団を形成し、すべての子どもの学習権を保障できる教育システムを構築することが目的です。
そのため、TFJの取り組みは人材不足への一時的な対応ではなく、学校現場・自治体・企業・地域と連携しながら、教育システムそのものをアップデートする「システムチェンジ」に挑戦するものです。
昨年は、TFJが連携協定を締結している大阪府守口市で実証されました。
入職の多軸化を起点に、教科担任制やチーム学年担任制などの教育政策を全市で推進した結果、全小学校教員の月平均時間外在校時間は24時間台となりました。これは一つの学校の事例ではなく、人口約14万人の都市における全教職員の勤務実態です。2025年12月に日本教職員組合が公表した調査結果の約80時間と比べても、大幅な改善と言えます。
その結果、新任教員の精神疾患による離職はゼロとなり、教員が心身の余裕をもって子どもたちと向き合い、教育の質を高めるための理論と実践を往還できる環境が生まれています。
日本全国では、いまだ「業務を減らすこと」に焦点を当てた働き方改革の議論にとどまりがちです。その中で守口市の取り組みは、「教育の質を高めるための働き方改革」を実現した、確かなシステムチェンジのロールモデルとなっています。
また、TFJのもう一つの重要なインパクトとして、コレクティブ・リーダーシップの広がりがあります。フェローシップ・プログラムは、教員の養成・採用・研修を一体的に改革すると同時に、社会課題に向き合い、周囲と協働しながら変化を生み出すリーダーシップの育成にも取り組んでいます。
2年間のプログラム修了後は教員として教室に立ち続けるだけでなく、教育行政、学校経営、民間企業、社会起業など、さまざまな立場から「教育をより良くする当事者」として活動を続けています。そして、それぞれの現場で得た知見やリソースを持ち寄り、公教育をより良くするためのネットワークが着実に広がっています。
具体的な事例としては、教育長補佐として教育行政から改革を推進している修了生の存在があります。
近年では、民間での経験、フェロー(教員)としての実践、そしてTFJコミュニティにアクセスできる人脈という三つの要素を評価いただき、首長や教育委員会から修了生を要職に登用したいというご相談を多くいただくようになりました。
また、民間のコンサルティングファームからも、公共領域(パブリックセクター)を担う人材として採用したいという声が寄せられています。
これは、フェローシップ・プログラムが単に「教員になるためのプログラム」ではなく、教員経験を通じたリーダーシップの育成として価値が認められている証左です。
2026年、Teach For Japanは次のステージへ進みます。
一人ひとりのフェローの成長と現場での実践の質をさらに高めながら、その学びと成果を自治体・学校・制度へと還元し、再現可能な仕組みとして社会に根づかせ、本質的なシステムチェンジを広げていきます。
子どもたちの可能性が、生まれ育った環境や地域によって左右されない社会の実現に向けて、Teach For Japanの歩みにご期待いただき、引き続き伴走していただけましたら幸いです。
2026年が、皆さまにとって希望と前進に満ちた一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
中原 健聡
認定特定非営利活動法人Teach For Japan
代表理事・CEO