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【イベントレポート】6月6日(火)「人材の可能性を引き出す、今後求められる人づくりとは」

2017.6.12 講演会

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6月6日(火)東京にて、エッグフォワード株式会社の徳谷智史様をゲストにお呼びし、Teach For Japan特別イベント「人材の可能性を引き出す 今後求められる人づくりとは」を開催しました。

パネルディスカッションでの徳谷様と、代表理事松田のクロストークをレポートいたします。ぜひご覧ください。

 

【ゲスト・企業について】
▼エッグフォワード株式会社
世の中にない価値を創り出し、人や組織の可能性を広げる人財開発・経営コンサルティングのプロフェッショナルファーム。「世界唯一の人財開発企業」を掲げ、業界大手企業を対象に、事業戦略と人事・組織戦略を連動させながら、現場を巻き込んだ改革を実現しています。
https://www.eggforward.co.jp/

 

▼徳谷智史様
エッグフォワード株式会社 代表取締役
企業変革/人財組織開発のプロフェッショナル。
京都大学経済学部卒。大手戦略コンサル入社後、アジアオフィス立上げ・代表を経て、「世界唯一の人財開発企業」を目指し、エッグフォワードを設立。現在、総合商社、メガバンク、戦略コンサル、リクルートグループなど、業界トップ企業数百社に人財・組織開発やマネジメント強化のコンサルティング・研修等を幅広く手がける。近年は、先進各社の働き方改革、AI等を活用したHR-Tech分野の取り組みや、高校・大学等の教育機関支援にも携わる。著書に『いま、決める力 ワクワクする未来をつかむ「決断筋」の鍛え方』。東洋経済Online連載中等 メディア掲載多数。

 

【当日のAgenda】

19時30分:Teach For JAPAN松田理事よりご挨拶、TFJ&TFAの紹介

20時05分:エッグフォワード徳谷代表よりご講演

20時45分:パネルディスカッション

21時15分:質疑応答

 

パネルディスカッション レポート

 

松田:不確実性が高まる世の中において、子どもに夢を持てと言う大人は多いですが、ビジョンや、やりたいことを見つけるということが難しくなっていると感じています。徳谷さんはこの点についてはどのようにお考えでしょうか。

 

徳谷:ビジョンがある・ないはゼロイチで分かれる訳ではなく、濃度の違いであると考えています。「こうありたい」、というのと、「こうあるべき」ということは分けて考えるべきで、子どもは皆やりたいことしかやらないですよね。大人になるとあるべき論に走りがちですが、どれだけ大人に対しても「やりたい」というモチベーションに持っていけるかが重要だと考えています。その上で、外からの刺激というのは重要な要素で、どのように刺激を与えて機会を増やしていくのか、ということが大事なのかなと。またロールモデル論も危険だと思っています。「松田さんのようになりたい」と言うのは簡単ですが、松田さんのどのような点、どんな考え方に共感しているのか、なぜ松田さんのようになりたいと考えるのかが説明できるか。企業の組織構造においても同様で、この会社に入りたい、ではなくて、この会社のどのような点に共感しているのか、この会社でどう働きたいのか、というのが不足しているのではないかなと漠然と感じます。また、上司から数字についてひたすら追求されるような環境では、「こうありたい」を考える余裕がなくなってしまうので、会社側では、社員の「こうありたい」を見つけられるようなマネジメントも大切です。

 

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松田:会社に入ると「ありたい姿」と「あるべき姿」に乖離が生まれますよね。そこに問題があるという事を考えるとその前段階の採用というところでミスマッチが起きないような仕組みづくり、就職活動の在り方ということを変えていく必要があるのかなと感じています。アメリカにいる時に面白いと感じた点は、キャリアフェアなどに行くと就活生が「自分はこうやりたいけど、おたくの会社では何ができるのか?」という事をはっきり伝えますよね。一方、日本では会社のビジョンややりたいことに自分を合わせていくというか、良い会社に入るという目的ありきで自分のありたい姿を曲げてしまっているのではないでしょうか。

 

徳谷:日本の就活は特殊で、入社するまで仕事がわからないなんて海外では有り得ないんですよね。これが全て悪という訳ではなくて、会社のブランドや会社という組織に所属することに価値を感じるという日本独自の価値観が背景にあると思っています。しかし、それだけではモチベーションを維持するのが難しいですし、大企業も潰れることがある時代です。現状の日本では就職というよりは就社に近いかたちになっていますが、これは変わっていくと思います。今後、同じ会社にずっと働き続けるという価値観は時代と共に薄れてくるのではないかな、ということは感じています。逆にお聞きしたいのはTFJ、特にTFAのモデルでは何が原動力となっていると感じますか。

 

松田:明確に「自己成長」ですね。教育現場に出ることで修羅場を乗り越え、知らないことに触れることで自分の能力を最大限に伸ばす。そういった知的好奇心が原動力になっていると感じています。社会課題という全く答えのない難問の連続に対して、最大限に思考を凝らし続け、誰かと協働して課題解決に取り組む必要があります。この誰かと協働する、というのがミソで、どんなに優秀な人でも一人では絶対に問題は解決出来ないんですね。一人で解決できる課題は社会課題にはなり得ませんし。そこで自分一人で解決できない課題に対して、自分が持っていない能力やスキルを持った人たちを巻き込みながら仕事を進めていく、というこの人とのつながりという点もまたモチベーションに感じるようです。

 

徳谷:これは企業についても全く同様で、自分が知らない、接したことがない世界に触れながら、自分が世の中に立っているという感覚が重要なんだと思います。「ありたい」と「あるべき」が融合するとうまくいくのだと思います。この点は教員・社会人に共通するというのが興味深いですね。

 

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松田:大きな会社だと企業文化やビジョンなどがある程度定まっていて、その価値観に近い人間が集団を成している訳なので、居心地は良いんだと思いますね。Uncomfortableゾーンと呼ばれる少しざわざわする、居心地の悪い環境に身を置くことが人間にとって最もストレッチな環境だと言われていますよね。教育現場はまさにそうで、多様な子ども、親、同僚などとの人間関係構築には、ダイバーシティマネジメントの能力が不可欠です。この多様性をマネージする能力というのは、これからの世の中で極めて重要な能力の一つと言えるのではないでしょうか。

 

徳谷:それは仰る通りですね。ただ会場の皆さんの言葉を代弁すると、「それは分かるけど、どうしたらええねん」というところですが、松田さんのように自分が感じた社会課題に対して、実際に行動を起こし、NPOを立ち上げてまでこの問題に立ち向かおうとする人は現実には稀だと思います。この原動力は一体どこにあるのでしょうか。

 

松田:これはひとえに強烈な原体験ですよね。私は中学の時は体も弱く、勉強も出来ず、いじめられっ子でした。自殺を考えた時期もあったほどです。こういうと「人に相談すれば良いじゃないか」という意見もあると思うのですが、いじめられている子どもは人に相談するほど心も強くないものなんですよね。わたしが幸せだったのは、そんな中でも自分と向き合ってくれる恩師の存在があったことです。体育の松野先生が自分に徹底的に向き合ってくれて、いじめに立ち向かう勇気を与えてくれたおかげで救われた訳ですが、それをきっかけに自分自身も体育教師を志すようになり、身体も鍛え、勉強もするようになりました。そうした人一倍強い想いを抱えて、教育現場に入ってみるとやはり色々と見えてきてしまう部分がありましたね。学級崩壊を起こしているのに子どもに責任を転嫁したり、親の問題と言って本質的な問題から目を背けたりしてしまう教師を目の当たりにしたときは憤りさえ感じました。ただ、初めから子どもが嫌いで教師になる人がいるはずはなく、これは構造的な問題なのだと気付き、教師を辞めてハーバードに飛び出しました。話は戻りますが、そうした自分の感情を揺さぶるような出来事や喜怒哀楽に訴える経験、というものが自分自身の強烈な原体験になるのだと感じています。

 

徳谷:貴重なお話ありがとうございます。会社の経営層を育てていく上で、どうやって社員に課題意識を持たせるか、というのは難しいですよね。この経験っていうのは優劣があるのではなくて、どうやって自分の中で意味づけをするかという点が重要だと思います。どのような経験をしたか、が重要ではなくてその経験に対して自分はどう感じたか、その経験が持つ意味は何だったのか、ということにとことん向き合うきっかけが必要なのではないでしょうか。適切なタイミングや適切な助言に基づいて意味づけを行えた人は、やはり経験の内容は様々ですが、企業人としても成果を発揮する優秀な人材に育つという風に考えております。

 

松田:気付いた時に変革し続ける姿勢やメンタルが重要だと思いますね。歳をとってくると今まで自分が培ってきたやり方やパターンを変えるのが難しいですよね。教育においてはこれが最も重要で、我々が子どもたちに教えるべきは知識ではなくて、学び方なんですよ。我々TFJの採用では、この点をかなり重視しておりまして、採用選考で模擬授業をするのですが、授業の直後に面接官からフィードバックを行い、その後に自分自身の映像を見てもらう、ということをしております。その直後に同じ内容で再度模擬授業をしてもらい、何を変えて、何を変えなかったのか、言い換えるとフィードバックをどう受け止めて自分の中で消化したのか、という点を重視した採用を行っています。これはあくまでうちの採用方針ですが、会社においては組織に入ってしまった後というのが難しいですよね。企業において、どのような点を意識しておりますでしょうか。

 

徳谷:敢えて言わせて頂くと、松田さんのお話にあるようなフィードバックを適切に受け止め、改善につなげる人材を採用する、というはごく当たり前の話で、その当たり前の採用が行われていなかった現状が問題だと思います。ただし、入社時に優秀な人を採用すればそれで良いかというと、そうではなくて、その後をモニタリングできる仕組みも必要だと思います。採用した後のフォローも勿論大事で、適切なフィードバックや定量化によって、個々人のパフォーマンスを組織において見える化するというプロセスが必要不可欠です。少し話は逸れますが、コンサルティング業界は最近厳しくて、一昔前であれば情報の非対称性からくる優位性のようなものでお金が稼げていたんですが、今では只の知識であればグーグルで検索すれば大体調べることが出来るため、情報を持っているだけでは何もできないことと同義です。この点は先生も同様でスタディサプリのようなサービスも出て来ているため、ただ知識を教える、授業を行うだけで能力のない先生は淘汰される世の中になっていくのではないでしょうか。こうした中で、子どもたちに真摯に向き合い、一人一人の成長に寄与している本当に良い先生がきちんと正当な評価を受ける世の中にしていかなくてはいけないな、と感じております。

 

松田:TFJでは採用から育成まで2年を一つのパッケージで考えております。今のお話をお聞きして、何かエッグフォワードともコラボできる可能性を感じました。

 

徳谷:学校や教育現場で課題だと感じている点としては、お金になる部分に外からの干渉が集中してしまう点ですね。学校現場には課題は幾らでもあると思うのですが、どうしても企業や外からの取り組みではお金にならなければ継続性の担保も難しく、進学塾や就職支援などがわかりやすく競争が激化しています。今ある課題については、社会との連動も含めて、変えていかないといけないですね。

 

松田:ジレンマとして感じているのはダイバーシティという点ですね。個性を伸ばす、ということに重きを置くと評価が難しいというか物差しの置き方をどうするかというか。この辺りは当団体としても今後、考えていかなければならない点だと感じています。まだ話足りない点は山ほどですが、これで時間が来てしまいましたので、最後に質疑応答に移りたいと思います。

 

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質疑応答

質問①:教育現場の中にいる人を変える、という点が本質だと思うんですが、中の人を企業など外の世界に出す、ということに対する取り組みは行っておりますでしょうか。

→松田:反対に企業からそのようなオファーは頂いています。特に寄付を頂いている企業さんなどは団体のビジョンに共感していただいているのは勿論なのですが、見返りではないですけどTFJの卒業生を欲しいと思って頂いているのは少なからずあると思います。ただこれといった実績を作れていない点は今後の課題の一つですね。

 

質問②:人間性という極めて抽象的なものをどのように定量化するのが難しいと思うのですが、その点についてどうお考えか。

→徳谷:ある程度、要素は細分化されていて推し量ることは可能です。これは事業を行う中で段々見えてきたものです。ただ最終的にどういう物差しでジャッジするかという点はやはり難しくて、逆にこの点についてはAIなどには任せられず、人の判断とデータを組み合わせて行うというのがどうしても必要となるのではないでしょうか。

 

質問③:Uncomfortableゾーンについて、正しいタイミングで正しいリスクを取れるということが優秀な人材の一要素なのかなと考えているのですが、お二人の考えをお聞かせください。

→徳谷:リスクは飛び越えるものと考えています。とりあえず強制的に環境をつくってしまうことかなと。わたしは起業する際も、会社を興す目途が立つより先に以前の会社を辞めましたし、新規事業も計画の前にまず実行ありきで考えています。ただ会社や組織としては、全員がアクセル全開ではバランスが悪いとは思っていて、自分のような人間の傍には必ず対極的な慎重な考えを持った人材を置くことが重要ではないかと考えております。エッグフォワードのNo.2が正にその典型で、口を開けばリスク、リスクと少し口うるさいところもあるのですが(笑)、会社全体でみればそれでバランスが取れている部分はあると思います。

 

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質問④:自分はものづくりに携わっているのですが、自分の経験をこれから子どもたちに伝えるような活動をしていきたいと考えています。具体的にはエンジニアを巻き込んで、子どもたちにモノづくりの素晴らしさを伝えるサービスを検討しており、いま立ち上げの準備を進めているのですが、NPOやベンチャーというそれぞれの形はどのように選択されたのかお聞きしたいです。

 

→松田:課題の在り方によると思います。受益者からお金を頂けるのであれば、ビジネスでも出来ると思見ますが、子どもの貧困などは寄付という形に頼らざるを得ない。ただ取れるところでお金を取ってNPOのように活動する、というハイブリッドのような形態もありだと思います。NPOで始めると限られた資源で最大の効果を発揮しなければいけないので、どれだけ同じ想いを持った人を巻き込んでいけるかという点が重要なんですが、例えば目の前にいる人が教育に全く興味がなくても、自分が何度も何度も熱く語っていると、それを知り合いに話してくれるんですね。特に立ち上げ時は自分自身も自分のブランディングは意識して行っておりまして、「教育界の松岡修造」というのを連呼していた時期もありました。中身はどうあれ、そうして自分が何をしているのかを情熱を持って伝え続ける努力、というのは必ず必要になってくると思います。

 

→徳谷:ベンチャーでも全く同じですね。ベンチャーだと想いがなくても良いかというとそんなことは全くなくて、想いがなければ我々は何のためにこの事業をやっているんだっけ?というフェーズが必ず訪れます。私でいうと、最初の時期は経営が難しくて、B2Cで攻めようとするとわかりやすさが重要になってしまい、なかなか我々のサービスの良さが伝わりませんでした。B2Bでは、モノづくり系は別かもしれませんが、我々のようなサービス業の場合、企業は会社の看板を見て取引をします。企業の人事に説明しても、「徳谷さんの言っていることはわかるし良いと思うけど、上を説得するのが難しい」と断られてしまう難しさがありました。結局会社の看板が弱いこともあり、多少理解を得られたとしても我々のサービスを採用するインセンティブがないんですね。ただ情熱をもって多くの人に伝えていくと100人に1人くらいは変わり種がいて我々の情熱に強く共感してくれます。「それならやってみようじゃないか」という風にですね。質問の答えに戻りますと、事業形態とかその辺にこだわる必要は全くなくて、良いとこどりのハイブリッドで良いのではないかと思います。ただ、会社の形態にして、上場だけが目的になってしまう、というのは個人的には少し違うと思います。最終的には自分が何をやりたいのか、どういうビジョンを描くのかという点が重要だと思います。

 

質問⑤~⑦:3つ纏めて質問させて頂きます。

1.機会を得ようとしない人、成長意欲のない人にどのようにアプローチすべきか、

2.原体験と向き合わせる際にはどのようにアプローチするのが良いか。

3.貧困層には良い話をしても自分事としてとらえてくれることはないと思うのですがどのようにお考えか。

 

→松田:3について即効薬はありません。何度も何度もあきらめずに粘り強く向き合って接するしかないと思っております。1,2にも通ずるかもしれませんが、こちらからぐいぐい攻め込んでも受け入れてくれないので、傾聴力が重要だと考えています。まずは子どもの話をしっかり聞き、彼らの存在を承認してあげる。人間は承認されたい生き物ですから。時間をかけて我々と会話することが安心・安全だという感覚を共有できれば、子供は自然と自分のことを話してくれるようになります。そうした一つ一つの会話を大切にすること、こどもの信号をキャッチすることが重要だと思います。失敗した時には寄り添って上げ、成功した時にはそれを徹底的に肯定してあげること、を妥協しない。一番してはいけないのは、そうした子どもからの歩み寄りの際に忙しさや何かを言い訳にして耳を傾けないことです。それをすると一発で子どもたちは心を閉ざしてしまいます。

 

→徳谷:本質的には人間関係、信頼関係ですよね。その人が何故そう行動するのか、なぜそのように感じるのか、という相手の背景に心を寄せることが重要かと。私がこうしたのだから、こう反応するべき!というような、こちら側のあるべき論を押し付けてはいけないと思います。こちらのあるべき論に収め込まないことが重要で、1にも関連しますがステップを細かく切ってあげて、過度にハードルを上げすぎずに小さなきっかけ、小さな成功体験を認めてあげることが大事だと思います。小さな成功体験を積み上げていくなかで変わっていくのではないでしょうか。

 

質問⑧:今のご回答は先生としての立場でのお話かと思いますが、同級生など同じ立場に対してそのアプローチは難しいのではないかと感じますが、その点についてはどうお考えでしょうか。

 

→松田:やり方は色々あると思いますが、自分の成功体験を伝えて一緒に伴走してあげたり、身近な親友だからこそしっかり向き合って相手の良いところやポジティブなフィードバックを与えてあげたりすることも相手にとっては変わるきっかけになるのではないでしょうか。

 

徳谷:自分一人でその友達を救う必要はなくて、周囲の協力を得るなど視野を広げて考える必要があると思います。周囲を巻き込むことで他者に対してできることはたくさんあると思いますよ。

 

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参加者の方の熱量に運営サイドも非常に刺激を受けました!ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!!

 

 

レポート作成協力:高橋 良輔(リクルーティングリーダー)