【教育の最前線から①】中学校英語教員 長村フェロー  前編

2015/10/20 TFJフェロー

塾講師や海外青年協力隊、NGOでの活動を経てTFJのフェローとして英語教師に。

 

Teach For Japanのフェローがどのような実践を行っているのか。そして、教師として学校現場に立った今、どのように感じているのか。福岡県の中学校に英語教師として派遣されている長村先生にお話を伺いました。

 

【前編】【後編】【自治体より】の3回に分けて長村先生のお仕事・想いに迫ります。

 

[長村先生プロフィール]

 

● 国立大学教育学部卒業、海外大学院修士課程修了

● 大手学習塾で支部長などを経験

● JICA青年海外協力隊 隊員(キルギス)

● 特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
 南スーダンプロジェクト事業部

● 国境なき医師団バルセロナ事業部

● 教員免許は持っていなかったものの、臨時免許で中学校英語の教師として活躍

 

 


 
【前編】
●さまざまな経験を経た長村先生が、なぜ今教師になったのか?
●今、長村先生が取り組んでいる授業

 

【後編】
●授業以外で、長村先生が特に注力していること
●長村先生に聞く“教師・フェローのやりがい”

 

【自治体より】
フェローを迎えてくださる教育現場の声

  



【前編】

さまざまな経験を経た長村先生が、なぜ今教師になったのか?

—— 長村先生がフェローになった理由を教えてください。

 

長村先生1 私はもともと塾講師をしていたのですが、そこで子ども達を教える中で、自分のような世間を知らず、まして海外経験をしていない人が、本当に勉強を教えていて良いのか、という疑問をずっと持っていたんです。

子どもへの動機付けがなかなかできなくて。そこで20代の頃に海外に出て、NGO運営のサポートや海外協力隊として活動することにしました。

行った先で子どもたちと出会ううちに、経済的には貧しいはずなのに、

そこでの子どもたちの目が、日本で教えていた子どもたちの目に比べてずっと輝いていることに気がついたんです。

今の日本の子どもたちには目を輝かせる何かが足りないのではないかと。そういった意識もあったところに、海外から帰ってきたタイミングで、Teach For Japanの活動を知り、その内容に「これだ!」と共感し、応募を決めました。

 

長村先生グラフ1

 

加えて、実は教員免許を持っていなかったので、免許がなくても教師として教壇に立てるというのは、惹かれた点の一つですね。

 

 

—— 実際にフェローになることに不安や迷いはありましたか?

 

まだ団体を立ち上げて、時間が経っていないことから、運営面での不安は正直ありました。ですが、自分がTeach For Japan、そして松田さんと最初に出会った時に感じた直感や、使命感を捨てきれず、フェローになることを決意しました。

 

—— 塾講師と、公立中学校で教師として教える、違いとは?

 

長村先生2

 塾では、比較的もとから勉強に対するモチベーション

 が高い子どもが入ってきますし、さらにその中で

 クラス分けなどがされています。

 公立中学校では塾とは事情が違って、学力面での

 ばらつきがありますから、そのレベル別に数種類の

 プリントを作ったり、より丁寧にフォローしたりする

 必要があるというのは、大きな違いと言えるかもしれ

 ません。 

 特に、私の赴任している地域では、経済的な理由から塾に通えない生徒も多くいるので、塾講師をしていたら出会えない子ども達だったなと思います。

 

—— そういった子ども達を教える中で、塾講師時代には感じなかった大変さや難しさを感じる場面はどのような時ですか?

 

私が赴任している学校は、かつて非常に荒れていたと聞いているのですが、現場の先生方の努力もあって今は落ち着いた状態にあります。ただ、全体的にどこか無気力な生徒が多いんですね。グローバル化が当たり前と考えられているような世の中ですが、海外に目を向けるどころか、「どうせ地元で就職するのだから」とほとんど外に目を向けない子も多くいます。

そういった環境の中で、私が英語の教師として、英語を学ぶことの意味や楽しさを伝えるのは、なかなかチャレンジングなことですね。

また、家でほとんど学習時間を確保できない生徒や学習意欲の低い生徒に対して、どうそれを定着させていくか、というのは非常に難しいところです。塾に来るような生徒は、比較的モチベーションも高いですから。

 

 

今、長村先生が取り組んでいる実践

—— では、お話し頂いたようなチャレンジに対する、長村先生なりの工夫などはありますか?

 

長村先生3

1日3回は大爆笑をおこさせます!私の授業は楽しいですよ。授業意欲向上などに繋がっているのかは分かりませんが(笑) とにかく英語を好きになってほしいので、授業に関係ないことでの笑いも多いですが、授業の内容もおもしろおかしくやったりす ることで、子どもたちに少しでも楽しんでもらう ようにしています。そこでの笑いが生徒たちと私 との信頼関係につながり、だからこそ授業が成り立つようになるんです。これは、塾講師時代は全くやっていなかったことなので、フェローになってからの実践のひとつと言えるかもしれません。

 

—— 長村先生はどんな授業をされているのでしょうか?

 

極力宿題は出さないようにはしています。学校全体の方針で生徒たちは「自学ノート」と呼ばれるものを毎日書いてこなければならないんです。このノートは、1日の全ての授業の復習を、自分でまとめてノートに書くものなのですが、それに加えて、宿題も出すと、生徒にとっては負担が大きいので、授業内では演習中心の形にして、定着まで持っていくように努めています。

生徒にたくさん問題を解かせて、たくさん答えさせて、というような授業スタイルなので、私が前で説明する時間は1回の授業中で、おそらく10分もないと思います。基本的には、自分の授業は2割で、残り8割は生徒の演習、という授業スタイルを心がけています。

 

長村先生グラフ2

 —— その演習というのはどのような形で行なうのですか?

 

 演習の時は、基本的にグループにして解かせます。

 例えば「三単現のs」を習うような授業の際には、youが

 主語の例文と、heが主語の例文を配ったプリントを配布し、

 グループ内で何が違うのかを議論してもらいます。

 グループワークの最後に代表者に前に出てきてもらって、

 気づきを黒板に書いてもらいます。

 ほぼすべてのグループが自力で文法に気づきますし、

 この方法の方が、自然と定着するんです。

教科書を先に開いて説明する、というよりは、先に生徒たちに解かせてから、教科書を開いてみて、「あ、これやったね」みたいな感じです。

 

つまり、50分の授業の流れの例としては、

5分          毎回の単語テスト

15分        グループワークでのプリント演習

20分        グループワークの発表(出た質問や間違いの多かった問題も挙げてもらう)

10分        教科書を使いつつの先生の解説

という感じですね。

 

—— 演習中心の授業ですと、学力面で差が出てくるように感じるのですが、その点で工夫されていることはありますか?

 

成績優秀者に、「リトルティーチャーカード」というものを付与していて、それを持っていると、他の生徒に教えられるという特権があるんです。カードもかっこよく作っているので、みんな欲しがってくれるんですよ(笑)

長村先生4

そのリトルティーチャーが各グループにいるので、ついていけない子に対しても、グループ内で助け合うような仕組みが出来上がっています。

 

受けてみたくなるような授業のお話、

ありがとうございました。

 


次回後編では授業外の取り組みを伺います!