コラム column

SDGsを学び、学校現場に取り入れよう

8月3日のフェロー8期候補生に対する集合研修では、一般社団法人Think the Earthから理事の上田壮一さんを講師にお招きし、SDGsについて取り扱いました。この記事では研修の様子だけでなく、SDGsについての基本的な情報とSDGsと学校現場の関わりについてご紹介します!

SDGsとは?

SDGsはSustainable Development Goalsの略で、「持続可能な開発目標」を意味します。SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標であり、2000年に策定・2015年まで開発分野における国際社会共通の目標として掲げられていた「ミレニアム開発目標(MDGs: Millenium Development Goals)」の後継として、世界中で目標達成のための取り組みがなされています。

(参照元:2030アジェンダ|国際連合広報センター

上の図にもあるように、SDGsは17のゴールと169のターゲットから構成されています。「地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っており、発展途上国だけでなく先進国も主体的に取り組む必要がある、全世界的なユニバーサル(普遍的)なものであると掲げられています。

SDGsにおける17のゴール

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

(引用元:持続可能な開発目標|国連開発計画(UNDP)

これらのゴールはそれぞれが大切であり、同時に達成するためにも包括的なアプローチが求められています。そのためゴールの順番は解決の優先順位を反映しているものではなく、関連したグルーピングができるように並べられています。

実際に研修では、各個人がどの目標が特に大事だと思うか考えたり、グループで各ゴールの関連性を考えて図にしてみたりすることで自分やグループの考えをみんなで共有し、SDGsへの理解を深めました。

なぜSDGsは大事なのか?

前述の通り、SDGsは包括的なアプローチが必要な国際的に定められた目標です。17のゴールは一つ一つが独立しているというよりも、それぞれが関連し合う相互接続的な目標となっております。SDGsは理想や遠い未来の目標ではなく、現実的な、喫緊の課題に挑むために今を生きる私たちが必要な目標です。SDGsのキーワードとして、「Transforming our world(我々の世界を変革する)」という言葉があります。このキーワードには、今の世界のあり方を変えなければならないという強いメッセージが含まれています。

ビジネスにおいても、お金儲けのために活動している企業ではなく「環境(environment)・社会(social)・企業統治(governance)」の3つを配慮している企業を重視・選択して投資をするESG投資が浸透・拡大してきています。

また教育においても、「試験のために学ぶ」「お金のために働く」という考え方から、「未来をつくるために学ぶ」「未来をつくるために働く」という考え方を教えるために、SDGsの目標や取り組みを関連付けることができるでしょう。

このようにSDGsは環境だけでなく、社会、経済と様々な要素を持ち、様々な分野において取り入れることが求められています。

学校現場でSDGsを活用するには?

来年度から指導要領の改訂に伴い、各教科において教科書の様々な箇所でSDGsについて触れられています。しかし現状として、学校現場ではSDGsについて子どもたちに教えたくても、詳しく教えることができるリソースがない、どのように取り入ればよいのかわからないという課題や悩みを抱えていることも多々あります。

そんな課題を解決するために、学校現場はThink the EarthのようなNPOや企業の様々なSDGsに関するコンテンツやプログラムを活用することができます。また企業側としても、学校現場で活用してもらうことでSDGsを導入することができているというアピールができるため双方にとってメリットがあります。

企業のプログラムが学校現場で利活用されている例として、講師の上田さんはユニクロ・ジーユーが行っている「届けよう、服のチカラプロジェクト」を紹介してくださいました。

参考
ユニクロ 教育機関との取り組み – “届けよう、服のチカラ”プロジェクト – 

フェロー(教員)候補生がなぜSDGsを学ぶのか?

今回のSDGsに関する研修の目的は、以下の2点でした。

1.SDGsの基礎を理解する
2.SDGsをきっかけに、社会とつながる教室(学校)を実現しようとする態度を養う

Teach For Japanは、教員が最新の知見を持って学校現場に入り、利活用できることが大事だと考えております。SDGsについて学ぶことでフェローは授業内外の活動で子どもたちに最新の時事情報としてSDGsを教えるだけでなく、子どもたちがこれから歩むであろう未来を生きる力を養うためにSDGsを生かすことができます。

そのためSDGsについて講義形式で学んだあとは、学校現場でどのようにSDGsを活用し、どのような方法で教えることができるのかグループに分かれて検討・共有しました。

Think the Earthとは

今回のSDGsに関する研修を依頼した一般社団法人Think the Earthは「エコロジーとエコノミーの共存」をテーマに、持続可能な社会の実現に向けて活動されている団体です。持続可能な社会の実現に向けて長期的な視点で主体的に行動できるヒトを育てるために様々な企業や行政、NPO、教育機関、クリエイターなど多様なセクターを繋ぎながらコンテンツ、メディア、イベント、ワークショップ開発等を行っておられます。

SDGsを活用した授業の活動を作る

SDGsに関する研修の後半ではグループに分かれ、授業でどのようにSDGsを取り入れることができるか考えてみました。

17のゴールの中からいくつかのゴールに着目して各教科の授業に生かそうとするグループもあれば、SDGsのコンセプトを生徒が理解できるような活動を考えているグループもありました。学んだことをすぐに実践に取り入れるためのグループワークができることも、Teach For Japanの研修の魅力の1つです。

またフェロー候補生の中からは、小学校低学年の子どもなどにSDGsを教えることでこれからの社会には課題がたくさんあると思わせることになっていいのかという質問も挙がりました。この質問に対して講師の上田さんは、SDGsを教えるというよりは部分的に教えたり、取り入れたりすることで、子どもたちがSDGsの意味を理解できるようにすることが大切だと回答されていました。

まとめ

なんとなくSDGsの名前は知っているけれど、その意味や具体的な内容は知らないという方も多いのではないでしょうか? この記事を読んで少しでもSDGsについての理解が深まったり、もっと知りたいと感じたりしていただけると嬉しいです。また学校現場でSDGsが今後どのように活用され、教えられていくのか注目です。

(編集後記)
今回の研修が行われる前後には、8期フェロー候補生たちがSDGsに関する資料や疑問をそれぞれ共有し合うなど、学びを深めていました。フェロー候補生たちが研修を通じて成長していく姿にも注目です!

【フェロー経験者登壇】プログラム説明会はこちらから

参考
シンク・ジ・アースとは?|Think the Earth
2030アジェンダ|国際連合広報センター
SDGsとは?|JAPAN SDGs Action Platform|外務省
持続可能な開発目標|国連開発計画(UNDP)
ESG投資とは?|大和証券
ユニクロ 教育機関との取り組み – “届けよう、服のチカラ”プロジェクト – 

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