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SDGs4「質の高い教育をみんなに」外国人児童生徒の教育を受ける権利とは

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グローバル化、そして在留外国人の増加に伴い、増加の一途をたどる日本の外国人児童生徒。近年、日本の学校には外国人に限らず、移民・移住の背景のある家庭の子どもも数多く在籍しています。21世紀において、外国人児童生徒の教育の保障は、日本に限らず世界各地で重要な教育テーマであり、日本も批准する「児童の権利に関する国際条約」や、SDGs4「質の高い教育をみんなに」においても強調されています。そんな重要な教育テーマですが、日本における学齢期の外国人児童生徒の教育の保障はどうなっているのでしょうか。今回は、外国人児童生徒とはどのような子どもを意味するのか、そしてこれまでの日本における外国人児童生徒を取り巻く取り組みをご紹介いたします!

外国人児童生徒とは?

そもそも、外国人児童生徒とは、どのような子どもをさすのでしょうか。日本では、教育関連の文書において、外国人児童生徒、外国人児童生徒等、日本語指導を必要とする児童生徒など様々な表記が使われてきました。そして国外においては移民・移住背景のある子どもなどの表現も使われています。ここでは、文部科学省とOECDの定義を参照しましょう。

まず、文部科学省は2016年の報告書において、外国人児童生徒を次のように定義します。

外国人児童生徒を巡る多様な状況を踏まえ、本報告書では、外国籍の児童生徒に加え、日本国籍で あるが、両親のいずれかが外国籍である等の外国につながる児童生徒をあわせて「外国人児童生徒等」 と定義する。

(引用元:学校における外国人児童生徒等に対する教育支援の充実方策について (報告)|文部科学省, p.4

外国籍の子どもに限らず、外国につながりを持つ両親を持つ子どもも外国人児童生徒に含むとされています。次に、OECDは、2018年の報告書において、次の4カテゴリー全ての子どもを「移民背景のある生徒(students with Immigrant background)」と定義しています。

OECDが「移民」と言う表現を使う一方で、国士舘大学の小池亜子准教授によると、日本では施策上「移民」と言う用語は避けられていると言います。本記事では、外国人児童生徒または外国人児童生徒等に統一します。

外国人児童生徒を取り巻く取り組み

日本ではこれまで、外国人労働者の受け入れや国際結婚・留学生の増加などさまざまな要因より、在留外国人が増え、同時に外国人児童生徒も増え続けました。そして、1990年代から、日本政府による外国人児童生徒への調査や支援の検討が始まりました。主な施策・支援の動き表にまとめてみました。

1991文部省:「日本語指導が必要な児 童生徒の受入状況等に関する調査 」を初めて実施
1992文部省:日本語教材『にほんごをまなぼう』とその教師用指導書を作成
1993文部省:「我が国の文教施策」(平成5年度版)初めて「外国人児童生徒に対する日本語教育等」について言及
1995文部省:『ようこそ日本の学校へー 日本語指導が必要な外国人児童生徒の指導資料』作成配布
1996総務省:「外国人子女及び帰国子女の教育に関する行政監察」実施
2003総務省:「外国人児童生徒等の教育に関する 行政評価・監視結果に基づく通知」において、外国人子女への就学の保証義務について言及
2005総務省「外国人児童生徒のための就学ガイドブック」公表
2008文部科学省:「外国人児童生徒教育の充実方策について」公表
2009「定住外国人の子どもの就学支援事業」実施
2011文部科学省:「外国人児童生徒の受け入れの手引き」公表
2014学校教育法施行規則の改正:小中学生対象の「特別の教育課程」導入
2019文化庁による法制定「日本語教育の推進に関する法律(日本語教育推進法)」  
2020文部科学省委託事業とし、日本語教育学会が『外国人児童生徒等教育を担う教 員の養成・研修のための「モデルプログラム」ガイドブック』を作成・公開 
2020「特別の教育課程」2023年度より高校生にも導入する方針を固めた

2014年の法改正による「特別の教育課程」とは、「日本語を用いて学校生活を営むとともに、 学習に取り組むことができるようにすることを目的」とし導入されました。日本語指導が必要な小中学校の児童生徒は、基本的に授業からの取り出し指導により日本語を学ぶことができ、年間280単位時間まで正規の教育課程の単位として認められます。文部科学省は2020年に、同制度を2023年より高校生にも導入できるよう進める方針を固めました。

外国人児童生徒の教育を受ける権利

これまでの外国人児童生徒を取り巻く動きを振り返ると、1990年代前半の「日本語指導」への重点に始まり、2000年代からは教育・就学の保証についても言及されるように変わったことがわかります。2003年の「外国人児童生徒等の教育に関する 行政評価・監視結果に基づく通知」には、次のように、外国人児童生徒への教育を受ける権利を保証する意向が宣言されています。

外国人子女については、我が国の義務教育への就学義務は課せられていないが、 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和54年条約第6号)を受けて、 入学を希望する者については、公立の義務教育諸学校への受入れが保障されている。

(引用元:外国人児童生徒等の教育に関する 行政評価・監視結果に基づく通知|総務省行政評価局

ここで言及される「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」では、教育を受けることへの権利以外にも擁護されるべき権利が規定されました。この他にも、子どもの教育への権利を守る「児童の権利に関する国際条約」があります。

日本は両条約の批准国・締約国であり、子どもたちそして外国人児童生徒の教育・就学の権利を保証することが求められいます。他方、日本の法制上では、外国人児童生徒の教育に関する規定を示す法は無いと言います。日本では、日本国憲法・教育基本法のもと、日本国籍の子どもに普通教育を受けさせること、就学させることは義務とされています。しかし、これらは日本国民にのみ該当し、外国人児童生徒には就学し、普通教育を受けることは義務化されていません。そのため、就学状況等にばらつきが生まれているのが現状です。

外国人児童生徒の今後

外国人児童生徒に関する取り組みをご紹介しましたが、日本は全人口の約2%が外国籍であり、国際的に比較すると在留外国人数は未だ少ない国です。しかしながら、在留外国人の増加は続いており、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で減少したものの、引き続きの増加が見込まれています。 

(参考:国籍・地域別在留外国人数の推移|法務省, 人口推計-2021年(令和3年) 8月報-|総務省統計局

(参照:文部科学省「学校基本調査」|e-Stat 政府統計の総合窓口

2019年には公立学校に在籍する外国人児童生徒は10万人を超え、2020年は11万人に近い統計となりました。また、このグラフより、ここ5年における増加が著しいことが読み取れます。今後も、増え続けることが想定され、外国人児童生徒を取り巻く課題・施策の議論が活発化しています。

外国人児童生徒を取り巻く教育課題や支援・施策の実態と今後について細かくまとめた記事も是非一緒にご一読ください▼
SDGs4「質の高い教育をみんなに」外国人児童生徒を取り巻く課題&支援の実態と今後

まとめ

今回は、関心が高まる外国人児童生徒に注目し、外国人児童生徒とは誰をさすのか、そして、彼らの教育を受ける権利の保障に向けたこれまでの動きをまとめてみました。増加し続ける外国人児童生徒に対し、日本政府はここ30年、様々な取り組みをしていることがわかりました。持続可能でよりよい世界を目指す国際目標SDGsの考え方である「誰一人取り残さない」社会の実現、SDGs4の「質の高い教育をみんなに」の達成に向け、外国人児童生徒を取り巻く施策・支援の拡充は急務とされています。増加し続けると想定される外国人児童生徒の教育の保証が如何にして確立されていくのか、引き続き注目していきましょう。

参考:
SDGsとは?|外務省
The Resilience of Students with an Immigrant Background: Factors that shape well-being|OECD(2018)
外国人の子どもに対する教育の現状と課題―子どもの権利保障の観点から―|岡崎渉 兵庫教育大学研究紀要(2021)
外国人の子どもの公立義務教育諸学校への受入について|文部科学省
外国人の子どもの教育を受ける権利と修学の保障 ―公立高校の「入口」から「出口」までー|日本学術会議(2020)
外国人児童生徒の教育等に関する 国際比較研究 報告書|国立教育政策研究(2015)
外国人児童生徒等教育の現状と課題|文部科学省(2021)
外国人生徒に日本語指導、高校で正式単位に 文科省|日本経済新聞
在日外国人の子どもの教育―不就学について―|国立国会図書館調査及び立法考査局(2021)
児童の権利に関する国際条約|三重こどもわかもの育成財団
文部科学省の外国人児童生徒受け入れ施策の変化|佐久間孝正 専修人間科学論集(2014)

国際条約・規約
Convention on the Rights of the Child|United Nations Human Rights
Convention on the Rights of the Child|United Nations Treaty Collection
児童の権利条約(児童の権利に関する条約)|外務省
International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights|United Nations Treaty Collection
経済的、社会的、文化的権利|国際連合広報センター
経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約|外務省

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