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【コロナ禍の教育】世界の学校ではどう取り組んでいる?ー台湾編

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した2月、3月から夏を超え、冬を迎えるにあたり、再び世界各地で第2波、第3波と感染者数は増加傾向にあります。それに伴い、アメリカの特定の地域などで、再び休校措置をとる学校も出てきています。未だ、収束の見通しがつかない現状を踏まえ、今回私たちは【コロナ禍の教育】というテーマで、世界各地の教育現場でどのような対策が取られているのか、特集していきます。

コロナ禍の教育

これまでTFJでは、コロナ禍で議論が加速されたGIGAスクール構想教育格差などのテーマに注目してきました。私たちの生活のあらゆる領域に影響を及ぼしている新型コロナウイルスですが、今回は「教育現場」に着目し、子ども達・若者の学習を継続するために世界でとられた取り組みをご紹介してきます。

シリーズ第一弾は台湾に注目しますが、まず最初に、新型コロナウイルスの教育への影響を簡単に見てみましょう。

新型コロナウイルスの教育への影響

まず第一に、世界各地の教育機関は新型コロナウイルスの感染拡大により休校を強いられました。

(参照元:Education: from disruption to recovery|UNESCO、日本語筆者加筆)

この地図は2020年4月24日の教育現場の状況を示し、166カ国が休校、1,480,292,206人= 教育機関に在籍する学生の84.5%が新型コロナウイルスにより影響を受けたことを表しています。 

そして、休校を起点とし、子ども達の教育には様々な影響が生じています。

感染拡大や社会経済的状況、コロナ以前の教育課題など、様々な条件が絡み合うため、新型コロナウイルス感染拡大の教育への影響は世界各国で多岐に渡ります。そして複数の機関が長期的な打撃を推測し報告しています。

報告されている推測の例はこちら▼
・2025年までに250万人の女の子が児童婚を強いられる(セーブ・ザ・チルドレン)
・700万人の子どもが退学のリスクに置かれ、コロナウイルスの経済的打撃に伴い非就学児童人口が2%増える(世界銀行)
・2,400万人の学生が2020年の間に学校に戻れないリスクに置かれている(ユネスコ)

ユネスコが発表した、世界各地で学校に戻ることができないと推測されている子どもの分布は次の図とおりです。

(筆者作成 参照元:UNESCO COVID-19 education response: how many students are at risk of not returning to school? Advocacy paper|UNESCO、筆者日本語翻訳)

Teach For Allの一組織であるTeach For CambodiaのCEOも、休校の影響で学校に戻らない子供・中退率の増加が深刻な課題だと強調しました。TFCambodiaが教員人材を派遣した協定校では、フェローの働きかけもあり、90-95%の中学3年生と高校3年生が無事学校に戻ってきたと言います。

Teach For CambodiaのCEOを迎えたイベントレポートはこちら↓
【イベントレポート】サポーターの皆様限定!アジア地域のCEOによるパネルディスカッション

家の生計を立てるために、退学し働かなくてはならない子どもや児童婚に追いやられる子どもなど、休校や経済的打撃の先にある影響は深刻化しています。

これらの懸念されている影響を踏まえ、世界では子ども達が安全に学習できるよう様々な対策が行われています。今回コロナ禍で子どもの教育を保証するために、世界ではどの様な対策が取られているのか?シリーズで注目し、ご紹介ていきます。

東アジア・パシフィック地域の多様性と教育の概要

日本及び、本記事が注目する台湾が位置する東アジア・パシフィック地域は多様性に富む地域として知られています。先進国・新興国・発展途上国と発展段階も異なる国々が多く、宗教的にも非常に多様です。

東アジア・パシフィックは世界の¼以上の子どもが生活する地域でもあり、約5億8,000万人の子ども達がいます。

日本や韓国、シンガポールなど経済が発展し、比較的高水準の教育が行われている国々もある一方、新興国・発展途上国で人種や性別、地理的な条件から教育を受けられない子どもがいる国もあります。

コロナ禍での教育現場ー台湾

今回【コロナ禍の教育】第一弾とし、アジア圏の台湾を選びました。

台湾は、新型コロナウイルスの早期収束に成功した地域であり、IT大臣とし活躍された唐鳳(オードリー・タン)デジタル担当相への注目など、度々メディアに取り上げられてきたと思います。

そんなコロナ対策で関心を集めた台湾ですが、今回は教育現場でどの様な対策が施されたのか見ていきたいと思います。

台湾の学校概要

コロナ禍での対策の前に、台湾の教育の特徴や簡単な学校概要をご紹介します。

台湾政府は2014年に9年間の義務教育を12年間に延長し、12年間の国民教育が行われています。教育に重きを置いた政策立案がされており、特に、高等教育進学率を上げることに注力しています。近年の統計によると、15歳以上の人口のうち46%が学位を取得しており、過去10年間で学位取得者を10%上げることに成功しています。

教育に関する大まかな統計がこちら▼

(筆者作成 参考:1) Education, Science and Technology, Culture and Mass Communication|National Statistics, Republic of China (Taiwan), 2)諸外国・地域の学校情報ー台湾|外務省

政府の教育機関への支援

迅速な対応で高評価を受けている台湾政府ですが、教育現場へも的確な対応がとられました。

最初の対策とし、2020年2月2日の時点で、2週間の冬休みの延期を決定しました。その背景に、感染症予防対策に必要な備品が学校現場に行き届く期間を確保する意図がありました。

また冬休み後の学校再開に向け、教員連合が積極的に政府や自治体に支援を要求しました。冬休み延期の決断がされたかたわら、台湾の教員達は政府に次の様な要求を出しました。

・学校へのアルコール・除菌液・非接触型体温計の供給
・最前線で児童の検温を行う人員への保護マスク供給
・教員が止むを得ず休み・自宅待機する際に、代理教員を配備するための資金供給 

この様な、教員連合の活発な働きかけもあり、2週間後の再開前の2月23日には6,450万枚の不織布マスク、25,000個の非接触式体温計、84,000リットルのアルコール消毒液が、全土の初等・中等教育機関へ供給されました(3)

そして、学校再開前の2月21日に感染者が発生した時の学校の対応を決定しました。


そして台湾政府は、2週間延期された冬休みに伴い、保護者への支援も導入しました。12歳未満の児童がいる保護者は、職場で特別休暇を申請・取得することができるシステムを立案しました。休暇をとることで、延期された冬休み間も子どもの面倒ることができるよう、とられた対策でした。更には、企業側に休暇をとった保護者が不利になることが決して無いよう、ボーナスの減給などを禁じました。

政府が導入した教育継続への支援は失業した学生達にも行き届きました。
労働部は、コロナウイルスの影響でアルバイトなど失業した学生に助成金を手配しました。高校生には最大6,000台湾ドル(約20,000円)、大学生には最大24,000台湾ドル(約90,000円)の補助金が当てられます(4)

また、高等教育機関の開校は世界各地で非常に慎重な姿勢が取られていますが、台湾では、大学の一斉休校も行われませんでした。大学生も安全に学習が続けられるように、政府は各大学に対策本部を設置することを命じました。また、対策本部は原則、副学長により責任を持って率いられるべきとしました。対策本部が教育現場で行った取り組みは、次の学校・教育機関での取り組みの中でご紹介していきます!

参考:
3) Response to Covid-19 in Taiwan|JAMA Network
4) Taiwan Government and institution measures in response to COVID-19.|KPMG

学校・教育機関での取り組み

これまで、政府の取り組みに注目してきましたが、最後に学校レベルでの取り組みを見ていきたいと思います。

初等・中等教育(小・中・高)
報道されている初等・中等教育機関の取り組みには次の様な事例があります。

まず第一に、登校時の除菌の徹底です。検温、手の消毒のみならず、靴底のアルコール除菌も行っていると言います。更に、児童・生徒の検温を漏れ無く行うために保護者にも協力してもらい、保護者と教員一丸となり全員の検温を行っているそうです。

また、登校後の対策も行われています。
手洗い・うがいを促す放送を毎休み時間流している学校もあります。そして、各学級で児童の除菌責任者を決め、教室に入る前にクラスメイトの手の除菌を行っています。

他にも、マスクを外すことを要する給食時間には、衝立を立て、飛沫の広がりを防ぐよう対策が取られています。実際の給食時間の様子はこちら▼


(参照元:Inside Taiwan during COVID-19: How the country kept schools and businesses open throughout pandemic|CBC News

高等教育(大学)
各大学に設置されたコロナウイルス対策本部では、学生の健康管理から休校時の措置まで幅広く対応が進められていました。

普段から行われている対策業務は次のとおりです。
・個人用防護具、除菌用品の在庫管理
・大学の共有エリアの1日最低2回の消毒
・キャンパス内の建物は入り口を1つのみ開放・入り口での検温
・キャンパスへの人の出入りを監視(教員・学生・卒業生以外の出入りを禁止)

そして、発熱や感染の疑いがある人がいる場合や感染者が出た場合、以下の責任も担いました。
・感染者・感染の疑いがある人の追跡調査
・発熱した者がいる場合、毎日教育部(教育省)への状況報告
・休校時のオンライン学習の手配

このような対策の結果、2020年7月18日の時点で、計6大学で7名の感染者に抑えることができました。そして、一時的な休校措置をとった大学は1校に留まり、14日後には再開されました(5)

参考:
5) How to Safely Reopen Colleges and Universities During COVID-19: Experiences From Taiwan|Annals of Internal Medicine (2020) 

あとがき

これらの政府・教育現場での取り組みから、感染抑制の責任が政府に集中したのではなく、各教育現場にも効率的に分散されたように見受けられます。教員、学生の個々の感染対策のみならず、保護者や、教員連合、副学長率いる対策本部など、幅広い立場の人々が感染拡大抑制に働きかけたことがわかりました。

まとめ

新型コロナウイルスは世界中で流行し、国レベルの感染抑制への取り組みの報道は多いものの、世界各地の教育現場での取り組みはあまり知られていないと思います。今回、第一弾として台湾に注目してみましたが、いかがでしたでしょうか。今後も、他地域の国々も特集していきますので、是非引き続きご注目ください。

参考:
Adverse consequences of school closures|UNESCO
Children in the poorest countries have lost nearly four months of schooling since start of pandemic – UNESCO, UNICEF and World Bank report finds
Education, from disruption to recovery|UNESCO 
Education|Taiwan.gov.tw
Education|UNICEF East Asian and Pacific
How Taiwan keeps kids safe at school amid COVID-19 (Marketplace)|CBC News
How to Safely Reopen Colleges and Universities During COVID-19: Experiences From Taiwan|Annals of Internal Medicine
Inside Taiwan during COVID-19: How the country kept schools and businesses open throughout pandemic|CBC News
Observations On Accomplished COVID-19 School Reopen In Taiwan|Journal of Clinical Immunology & Immunotherapy
Prevention and control of covid-19 in taiwan|Taiwan Centers for Disease Control
Reopening safely – Lessons from Taiwan’s COVID-19 response|Journal of global health
School closure and management practices during coronavirus outbreaks including COVID-19: a rapid systematic review|The Lancet
Seven Out of 10 Top School Systems Are in East Asia Pacific But More Needs to be Done, World Bank Says|World Bank
Taiwan Government and institution measures in response to COVID-19.|KPMG
Taiwan schools reopen amid Covid-19 epidemic while schools in Hong Kong remain closed|South China Morning Post
コロナ禍で急増する児童婚、犠牲となる少女らの夢|AFP BB NEWS
新型コロナウイルス 世界で広がる休校|ユニセフ・ジャパン

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