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フェローインタビュー fellowinterview

ジョリーフォニックスで中学生が英語を楽しく学ぶ【フェローの実践】

Teach For Japan 5期フェローの岡本多永(たえ)さんは、英語教員として赴任した中学校での授業において様々な教授方法を取り入れました。この記事では、多永フェローが使用した教授方法の一つ、「ジョリーフォニックス」とその実践をご紹介します!

ジョリーフォニックスとは

ジョリーフォニックス(Jolly Phonics)は,「シンセティック・フォニックス」という英語学習指導法を採用した、イギリス・ジョリーラーニング社の英語教材です。ジョリーフォニックスはイギリスを始め、世界100か国以上で取り入れられています。この指導法では、英語の主要な42個の音と綴りの関係を教えます。42個の音と綴りの関係を覚えやすいように、お話やアクション(動作)、絵、歌など多感覚を用いた指導方法が設定されています。子どもたちは、英単語を見たときに、それぞれの文字(綴り)の音を発し、それらをつなげて(ブレンディング)、単語として発音できるようになります。文字(綴り)がどの音かわからないときには、アクションや絵などから音を想起できます。

また単語を聞いたときに、それがどの音素から成り立っているのか自分の力で分けることもできます(セグメンティング)。これができると、初めて聞いた単語もその音に合う文字(綴り)をあて、単語を書くことができるようになります。

子どもたちは、既習の文字と音のみで英単語を読み書きしていくことで、徐々に速くブレンディングやセグメンティングができるようになっていきます。

ジョリーフォニックスについての詳しい情報は、こちらをご覧ください。
フォニックスとは – シンセティック・フォニックス –|kayokoyamashita.com

ジョリーフォニックスの特徴

ジョリーフォニックスでは発音記号を使うのではなく、音と綴りを関連させて学習するため、英語の発音を単語ごとに丸暗記したり、何度も書いて覚えたりする必要はありません。そして、知覚や触覚、視覚、運動といった多感覚を多く取り入れていることから、子どもたちにとって覚えやすく、定着しやすくなっています。また、学習障害(LD)などがある方にも高い学習効果があることでも知られています。

ジョリーフォニックスの実践:多永フェロー

5期フェローの岡本多永さんは福岡県内の公立の中学校に英語教員として赴任し、ジョリーフォニックスを授業に取り入れました。ここからは、多永フェローの教室での実践、子どもたちへの想いをご紹介します!

試行錯誤しながらジョリーフォニックスを取り入れた

ジョリーフォニックスを取り入れようと思ったきっかけは何でしたか?

きっかけは、先輩フェロー(教員)からジョリーフォニックスについて教えていただいたことです。先輩はアメリカで生まれ育ち、フォニックスによって英語を学んだそうです。日本の学校でもフォニックスを取り入れることで生徒たちが英語をより効果的に学べるのではないかと思った先輩は、ジョリーフォニックスを授業に取り入れようと尽力されていました。私は英語は話せますが、英語教育を専門的に学んだことはありませんでした。でも、先輩からジョリーフォニックスについて聞いたときに、この方法は効果的だと自分の中でしっくり来たんです。それで、自分も英語教員として取り入れようと思いました。

ジョリーフォニックスを授業でどのように取り入れましたか?

授業の中の帯活動として15分程度で行うのが理想的だとわかっていましたが、ジョリーフォニックスは子どもたちにとっても初めて学ぶものなので、最初は授業の時間をまるまる使って基礎となる42の音を教えました。繰り返し教えることで基礎が定着し、説明に必要な時間も少しずつ減っていきます。このようにして授業内でジョリーフォニックスに使う時間を少しずつ減らすなど工夫して、最終的に帯活動にしていきました。

ジョリーフォニックスを教え始めた当初は先輩がアレンジして教えていた方法を真似し、関連書籍を読み込んで授業をしていました。子どもたちからの反応に手ごたえを感じ、私もジョリーフォニックスについて詳しく学んでよりよい授業がしたいと思い、Teach For Japanの事務局に頼んでジョリーフォニックス公式トレーナーの山下桂世子先生による研修を開いてもらいました。そこでオリジナルの方法で足りなかった部分や、解説の仕方など多くのことを学び、生徒にもより効果的に教えられるようになりました。ジョリーフォニックス以外にも様々な勉強会にも積極的に参加しました。もともとあるたくさんの教育ノウハウの中から自分にフィットする方法をとことん取り入れ、自分のものにして授業で活かしていました。

またジョリーフォニックスを取り入れると同時に、自分自身の英語の先生としてのブランディングを意識しました。それは、人生をdramaticに生きている先生ということ。Teach For Japanのフェローとして、教室で自分の人生経験を還元したり、自分が持っている学校外のリソースを最大限活用したいと思ったんです。そのため、自分の過去の話とタイムリーな情報を伝えるようにしていました。例えば、自分の海外での経験を伝えたり、海外で活躍している友人とスカイプでつないで子どもたちに話をしてもらったり、実際に子どもたちが外国の人と英語を使う機会を設けたりと、子どもたちが英語に興味を持ってもらえるようにしました

子どもたちの色んな「力」を伸ばしてあげたい!

英語の授業を通して、うまくいかないと感じたことはありましたか?

子どもたちはジョリーフォニックスを学ぶことを楽しんでくれました。しかし、最初のころは子どもたちの成績があまり変わりませんでした。成績が全てではないと思っていたのですが、子どもたちがテストの成績を受けて一喜一憂しているのを見て、テストが子どもたちに与える影響の大きさを目の当たりにしたんです。そのとき、子どもたちが自分の英語の授業をすごく頑張ってくれているのに、成績を上げてあげることができなかったことに悔しさを感じました。もっと頑張って教えなければなければ、楽しいだけではなくて成績も上げてあげなければと思い、当時は子どもに対して自分の怒りをぶつけてしまっていました…。そんなときにUAEで開催されるGlobal Teacher’s Forumに招待され、自分にそんな資格があるのかと思いつつも、学びの機会にしようと参加しました。フォーラムで他の国々の素晴らしいと言われている先生たちと話す中で、世界中の色んな場所、異なる状況にいても、みんな教員として同じような悩みを持っているのだと知りました。世界中に同じ悩みを持つ仲間がいるのだと思うと、初めて学校で教員として働くうえで感じていた今までの不安が取れたんです。

なので、UAEから帰国して、今の状況を変えようと決意しました。そして、子どもたちに「思っていることを全部書いて!」と英語の授業について、私について、何でも正直に書いもらったことです。すると、キレ散らかしていた私のことを嫌いになるどころか、子どもたちは私に嫌われるようになってしまったのではないかと心配したり、成績が上がらないことを私に対して申し訳なく感じていたとわかったんです。それを見て、私も子どもたちに対して本当に申し訳なくて…。子どもたちの思いを聞いて、子どもたちが好きなことをして英語力も成績もdramatic指数を伸ばしてあげたいと強く思いました

※dramatic指数・・・出会った人の数×経験値。多永フェローが提唱している独自の指数。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
岡本 多永さん|人生をよりドラマチックに。 人の選択肢を広げられるedutainerになる。|another life.

ジョリーフォニックスを取り入れて、よかったことは何ですか?

外国語を学ぶうえで、単語を耳で聞いてその綴りを把握したり、声に出して発音できるようになるのは非常に大切ですが、実際にできる人は多くないですよね。ジョリーフォニックスで学ぶブレンディングやセグメンティングなどは、そのような外国語を学ぶうえで基礎となる、読み取り・聞き取り・書き取りの力や、理解した言葉を発音する力を鍛えることができます。だから、私がジョリーフォニックスを使ってタスクを指示すると、子どもたちはこれらの難しい能力を学んでいるにも関わらず、すぐに指示されたことができていたんです!大人でも難しいことを子どもたちは自然とできていて、褒めるしかなかったんです!「みんなができないことができていてすごい!」「どんどん上手になってる!」と本音で褒めました。子どもたちは授業を楽しんでくれていたので授業も活発になりましたし、心の底から子どもたちを褒めることができて私自身も楽しくなるので、パッションを子どもたちに示すことができました。

また、ジョリーフォニックスには主要な42個の音を使った、学ぶときの型があります。そのため、一度型を覚えたらそのあとは型に沿って学ぶことができます。子どもたちは毎回違う方法を覚えたり、単語をそれぞれ丸暗記したりする必要がありませんし、教員にとっても毎回一から授業を組み立てる必要がありません。授業の流れが同じなので、子どもたちも教員もやるべきことがわかり、安心して授業に取り組めるんです。ジョリーフォニックスを使うことで、安心した環境で授業ができるのも大きな魅力だと思います。

英語に自信がないと思っている先生にも、ジョリーフォニックスはおすすめです。生徒に教えるために自分も何度も音を練習するから、自然と一番最初に上手になるんですよ(笑)!英語が得意でなければジョリーフォニックスは教えられない、という訳ではなく、むしろ先生自身も英語力を上げることができる方法だと思います。

英語の時間だけは、なりたい自分になれる

英語の授業を通して、生徒たちに変化はありましたか?

中学生って、一生懸命頑張ることを恥ずかしく思ったりする時期ですよね。そんな思春期の子どもたちが、英語の授業ではなりたい自分になれると言ってくれたんです。普段は努力することを恥ずかしく感じるけど、英語ではたくさん褒められて、勉強が楽しくなって、自分らしく思いっきり頑張る。もちろん他の教科や授業でもそうなってほしいのですが、年齢的にもなかなか素直になれない子どもたちが、英語では自分の力を出せる、チャレンジできると思える感覚を持ってくれたことは嬉しかったです。

今はフェロー期間を終えて民間企業で働いていますが今でも教え子とつながっていて、子どもたちから様々なことに挑戦して頑張っている報告をよく聞きます。そして、子どもたちが「自信を持てるようになったのは先生のおかげ!」と言ってくれるんです。子どもたちが英語を楽しんで、頑張って、いい成績を出したり、英語の授業を通じて自信を持って、色んな事に挑戦しているの聞くと、すごく嬉しくなります。

結局、授業で頑張ったのは子どもたちなんです。私も授業のために色んな準備をしたり、努力をしたりしたけど、うまくいったのは子どもたちが頑張って私についてきてくれて、たくさん勉強を頑張ってくれたからこそ、成績という形で実を結んだり、自分に自信をもってチャレンジできるようになったんだと強く感じています。

まとめ

今回は多永フェローのジョリーフォニックスを用いた授業実践についてご紹介しました。
教授方法やスキルはもちろん、多永フェロー自身が試行錯誤しながら自分を成長させていったからこそ、子どもたちの意欲もあがり、英語力や自己肯定感の向上という結果につながったのではないでしょうか。多永フェローが情熱を持って子どもたちと向き合い、信頼関係を築きながら、英語を教えていたことが伝わるインタビューでした。

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Teach For Japanは、学校の教室から世界を変えていきたいと考えています。多様な教育課題があるからこそ、学校へ情熱ある多様な人材を「教師」として送り出しています。教室で生まれたインパクトを、学校・地域・社会へと広げ、教育改革の一翼を担います。

参考
フォニックスとは – シンセティック・フォニックス –|kayokoyamashita.comジョリーフォニックス|認定NPO法人 EDGE(エッジ)
ジョリーフォニックス 保護者教師用ガイドブック(日本語)
「はじめてのジョリーフォニックス -ティーチャーズブック-」東京書籍 ジョリーラーニング社/編著 山下桂世子 監訳
QUDWA – The Global Teachers’ Forum

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