フェローインタビュー fellowinterview

ベネッセ時代に感じた教育課題に挑むべく、小学校の先生に〜現場だからこそ見えてきたこと〜

民間企業に勤めながらも、学校現場にリアルな課題意識を持っている方も少なくないのではないでしょうか。本記事で紹介する小林フェローは、ベネッセコーポレーション勤務時代に感じたリアルな課題意識に対してアプローチすべく、小学校教員へ転身。現場で感じていることやこれからについて熱く語ってもらいました。

民間企業から教員に転職した小林先生

小林 湧

※表は横にスライドできます。

赴任期間2017~2019(第5期フェロー)
赴任先埼玉県
校種小学校赴任(5年生/4年生を担当)
出身大学関西学院大学・教育学部・幼児初等教育学科
教員免許小学校教員免許あり
経歴ベネッセコーポレーション
趣味ラグビー、温泉
座右の銘7つの言葉
(常に精一杯、自主性、信頼、明るさ、
清潔感溢れるプレーヤー、感謝の気持ち、気持ちの良い挨拶)
一言メモ力強い言葉と姿勢で周囲を魅了する教育実践家。

教育系民間企業で出会った学校現場の課題

学校に対して外部から働きかけていた小林フェローが、教員に転身されたきっかけを教えてください。

前職は、民間企業で、公立学校の改革を推進する仕事をしていました。現場にもよく足を運んでいたので、子どもたちと会話する機会がたくさんありました。そんな中、高校生と話をしていて、「将来は何をしたいの?」と聞くと、多くの子どもたちが「〜でいいや。」「どうせ自分には〜しかできないから。」と答えることにとても驚いたんです。それって消去法的な選択肢でしかないし、本来はたくさんの選択肢があるはずで、自分次第で掴みにいけるはずじゃないですか。ちょっとおかしいなと思いました。

同時に、彼らが教科学習とペーパーテストによって、自信を失っているようにも見えました。それならば、もっと早い段階から子どもたちにできることがあるのではないかと考え、小学校教員になることを決めました。

また、民間企業の立場から学校と関わる中で、学校と社会のギャップも感じていました。社会側からは「学校の先生は社会を知らない」と言い、学校側は「先生をやったことがない人にはわからない」と言うような、相互に埋めきれない壁があるように感じたんです。そこで、自分が両方を経験することで、そのギャップを埋めたい、そんな思いも持つようになりました。

課題意識が明確ですね。元々、教員をされようと思っていた中で、Teach For Japan(以下、TFJ)のフェローになることを決めた理由は何でしょうか。

“Teach For” の、学校現場で仕事をした人たちが様々なポジションに散らばって、教育について語り合い、課題を解決していこうという姿勢に共感しました。教育は、多様な人々が関わりながら、よりよくしていくべきだと思います。学校と社会のギャップを埋めたい、という私の課題意識にもマッチしており、TFJのフェローになることにしました。

主体性を育む教育〜50cm革命を起こせる子どもたちに〜

教室ではどんなことを実現したいと思われていたのでしょうか。また、どんな取り組みをされましたか。

私は「自分の力で所属コミュニティを変えていける人になってほしい」というビジョンを持って現場に入りました。

実際、私が受け持った子どもたちは、「言われたこと」はよくできる子たちだったのですが、「わかりやすい指示がないと動けない」という状況だったので、子どもたちが自ら企画して実行する機会を作ることに力を入れました。そして、私からは、常に「自分たちのクラスの空気は自分たちでつくれる」というメッセージを発信していました。

また、先ほどお話しした通り、子どもたちには、消去法的な未来ではなく、自分たちで未来を切り開いて欲しいと思っているので、キャリア教育にも力を入れました。例えば、「子ども就活」という活動を通じて、将来の夢を書かせるだけでなく、子どもたちが書いたやりたい仕事をしている人からメッセージをもらえる機会をつくりました。

このような関わりを続けて1年も経つと主体的に行動する子どもたちが増えてきました。この前クラス替えをしたばかりなのに、同窓会を企画する子どもまで現れました(笑)

フェロー期間に得たものとこれから

フェロー期間の2年間で感じたことを教えてください。

フェロー期間の2年間を総括すると、大きく3つのことを感じました。

1つは子どもたちについて。「子どもたちは自ら成長する。子どもたちの邪魔をしないことが大事。」ということを強く感じました。子どもの可能性を信じることと、自ら成長することのできる環境作りが私たち大人の役割ですね。

それから、教員という仕事については、人間関係の構築力こそが重要だということを学びました。周囲の先生、保護者、子ども、みんなでチームになってこそ、教育はよくなっていくのだと感じました。

最後に、教員というキャリアについて。教員の方々が持っているスキルはすごいなと思います。若手であっても、集団をマネジメントしたり、子どもたちをプロデュースしたりする中で、社会に応用できる力がたくさん身に付いているのだろうなと感じます。

教員を続ける理由とこれからのビジョンを教えてください。

将来的には、「育振興基本計画」や「学習指導要領」などに影響を与えられるような人材になっていたいと思っています。現段階で強く「こうしたい」というものがあるというよりは、然るべきタイミングで、本当に必要なものを作ることのできる状態を目指したいです。そのために、教員として現場で「おかしい」と思うことに対して試行錯誤しながら、経験をしっかり積んでいこうと思います。

<編集後記>
学校現場での経験と将来のビジョンを語る小林フェローからは、「自分が本気で社会を変える当事者になる」という熱量を感じます。今後の活躍がとても楽しみです。

Teach For Japanは、学校の教室から世界を変えていきたいと考えています。多様な教育課題があるからこそ、学校へ情熱ある多様な人材を「教師」として送り出しています。教室で生まれたインパクトを、学校・地域・社会へと広げ、教育改革の一翼を担います。

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<参考>
教育振興基本計画|文部科学省
学習指導要領|文部科学省

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