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フェロー修了生インタビュー:幸田新一さん(後編)【児童と向き合い、家族に支えられて乗り越えた2年間】

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前編はこちら 

 

幸田新一さんプロフィール

東京都公立義務教育学校教諭。広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、学校法人専門のコンサルティング企業に勤務し、生徒募集、カリキュラム設計、教員研修、新規開校等の支援を担当する。2015年4月よりTeach For Japanフェロー3期生として奈良県の公立小学校に赴任。2年間のフェローシップ・プログラム期間を終えた後、現職に至る。プログラム期間中に長女が生まれ、現在二児の父でもある。

 

-担任はやっぱり忙しい!2ヶ月の挑戦-

赴任期間中の楽しかったこと、やりがいを感じられたことは何ですか?

赴任期間の最後の2か月間、前任の担任の先生が退職されてしまって急遽5年生の担任をもちました。その2か月間は大変でしたが、それまでできなかったことに挑戦できたという意味でとてもやりがいを感じました。

 

担任を持たれて大変だった事はどのようなことですか?

「担任はやっぱり忙しい!」と感じました(笑)

30人以上の子どもが教室にいるなかで、それぞれ考えていることも全然違う。そこでどのようにそれぞれの個性を活かし、時にはお互いの気持ちがぶつかりあうことにどう折り合いをつけていくのかを考え、教室の中で子どもたちが自分たちで課題を解決できるようになることを目指しました。どのように問いかければ子どもたちが主体的に考えて、行動できるようになっていくのかを毎日考えながらやっていました。

 

教室内での印象に残っているエピソードを教えて頂けますか?

5年生の天気の単元の時に、福岡に赴任しているフェローとスカイプをつないで授業をやりました。西から東に天気が変わるということを、福岡と奈良の天気の違いで実感してもらい、「福岡と奈良の天気は違うよね。同じ日本でもこれだけ天気が違うんだよ。」と、天気の違いを実際に確認する授業を出来たのは良かったと思います。

福岡の天気がスカイプで画面に映った瞬間に、子どもたちから「おぉー!!」と歓声があがりました。「本当に天気が違う!」という子どもの声から、実際に体験することでわかる瞬間、体験から感動してもらうことを私自身も感じることができ、とても感動しました。

 

-出来ることを通じて見つけた自分の役割-

職員室内での他の先生との関わりはどうでしたか?

他の先生方からしたら、「よくわからない東京の団体から来た得体の知れないやつ」ということで最初は「何者だ?」といった感じだったと思います。そんな中で自分も「TFJの肩書きを背負って来ているんだからしっかりやらないと。」と肩肘張っていた部分もあったと思います。そんなわけで最初はやはり壁があったと思います。でも、こちらは学校現場で働くのは初めて。当然わからないこと、できないことが多々あります。それをわからないままにしていると、最終的に困るのは子どもです。だから、困ったらすぐにわかりそうな先生に聞くようにしましたね。それから自分からできることで心がけたのは、他の先生の仕事で引き受けられそうなものは進んで引き受けたことです。

特に、パソコンの操作で困っている先生に自分のパソコンの知識を活かして、厚かましいと思いながらもアドバイスなどをお伝えしたりして、最終的には「パソコンに困ったら幸田に聞け」というように職員室内で質問を受けるようになりました。こうして自分で出来ることを少しずつやって、職員室内で自分の役割をつくり、周りの先生方との関係をつくっていきました。

 

赴任された最初と最後では職員室の印象は違いましたか?

違いましたね。若い先生が多い職場で、赴任当時31歳の自分よりも若い人が多かったんです。最初は淡々と仕事をされている方が多いのかなと思いました。しかし、他の先生方の子どもへの接する場面やや授業の様子に触れ、皆さんそれぞれ子どもに対して情熱を持って必死に仕事に取り組んでおられると感じました。そんな先生方と一緒に教育に取り組むうちに、私自身も大きく成長させてもらえました。最後には周りの先生方とコミュニケーションをはかりながら子供たちの教育にあたっていくことができ、その中で自分も微々たるものですが職員室内でも貢献できたと思います。

 

学校外の方とのやりとりで印象に残っていることはありますか?

地域の方が印象的でした。学校には色々な方が出入りをされますが、自分の授業の話をしたら、「そういうおもしろいことをやってくれる先生は学校にも必要だよね」と言って下さる方もいて、民間企業経験を良いと捉え、賛同してくれる地域の方もいました。

 

同じTFJのフェローの方について印象に残っていることはありますか?

私が赴任した当初、奈良には先輩であるフェロー1期生で期間を終えて奈良で教師を続けている人、赴任2年目になる2期、そして同期である3期のフェローがいました。私と同じように関東から単身で奈良に来ている人が多かったので、たまに会ってご飯を食べながら学校の様子を話すことがありました。そういうのがすごく心の支えになりました。今は福岡を中心に、豊かなフェローコミュニティが築かれていると聞いています。

 

やはり先輩がいるというのは大きかったですか?

直接会う回数が多かったわけではありませんが、同じ地域で同じTFJフェローがいてくれるのは大きかったです。また、福岡など他の地域でも同期に関しては赴任前に同じ研修を受けて現場で頑張っているのは心の支えになりました。

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-やりきれなかった挑戦を。卒業後も教育現場に残る決断-

TFJのフェローを終えられて、現在のお仕事について伺えますでしょうか?

東京都の公立の義務教育学校に勤務しています。義務教育学校とは小学校と中学校という義務教育課程を1つの学校で行なっている学校です。フェロー2年目の時に採用試験を受けて合格し、現在は4年生の担任をやっています。

 

教師を続けたいと思われた理由は何ですか?

TFJのフェローとしての2年間のなかでやれたこともありましたが、やりきれなかったことや、もっとこうしたらよかったと思うことが色々とありました。

そう行ったことにもっと挑戦してみたいと思い、子どもの成長に関われる教師を続けていきたいと思いました。2年間暮らして好きになった奈良で続けたいという思いもあったのですが、家族の仕事の関係で関東に戻って続けることにしました。

 

TFJのフェロー時代と現在で大きく感じる違いなどはありますか?

学校現場で働くことが3年目になり、TFJのフェロー時代に色々な経験をしたこともあって、ちょっとのことでは動じなくなりましたね(笑)。目の前の課題に対して絶対の正解はありませんが、似たようなことがあった経験などから、その時どう考えたかを思い出しながら「こうしたらうまくいく」ということを考え課題に取り組むようにしています。自分の中での経験の積み重ねがあることが活きています。

 

TFJにいたからこそ出来たことなどはありますか?

フェロー同士の連携です。TFJを卒業したら連携できなくなるということはなく、アラムナイになったからこそより視野が広がり、今後もアラムナイだからこそできる新しいつながりや試みがあると思っています。

 

フェロー時代にTFJだからこそ身についたマインドやスキルなどはありますか?

赴任前研修や2年間のフェロー期間の中で、自分自身の教育に対するビジョンを深く考え、振り返りながら実践してきたことが私の教師としての根幹を形作ってくれたと思います。

TFJのフェローだからこそできた経験だと思います。

 

-家族の支えがあって出来た2年間-

フェローになることが決まった際、ご家族の反応はいかがでしたか?

最初は「子育てほったらかして何しているの?」みたいな感じでした(笑)。奥さんと子どもを東京に置いていくという状況でしたからね。「引っ越すの?」みたいなところはあったと思います(笑)。最終的にはこのプログラムを通じて自分が何をしたいのか、何を叶えたいのかを丁寧に妻に説明しました。そこはすごく丁寧に理解を求めていき、最終的には同意してくれました。ありがたかったですね。本当に頭があがりません(笑)。

前職の仕事も充実していたので、それを辞めて、住む場所も生活も変わることに不安はありましたが、やりたいことを考えた時にTFJだと思い、その点について家族にも理解をしてもらえてからは、その後に後悔したことなどはありません。

 

フェローになれた裏側には奥様に対する丁寧な説明があったわけですね。

私の場合はそれで理解を得られましたが、正直、最終的には家族の理解を得られなくてフェローにはならないという選択をされることがあってもおかしくないと思います。

 

奥様が仕事を辞められて奈良についていかれるということも選択肢にはあったのでしょうか?

そういった話もありました。しかし、一度離職して子育て後に再就職は大変じゃないかということもあり、一旦家族は東京に残り、単身で移住しました。ちょうど1年目の途中のタイミングで2人目の子どもが生まれ、2年目は妻の育児休暇中だったので、家族で奈良で暮らしました。今は東京に戻り、妻は元の職場に復帰しています。

 

現在、フェローへのエントリーに迷われている方に一言お願いします。

エントリー前の不安が完全に解消されることはないと思います。自分の不安を受け止めた上で、それでもやってみたいという気持ちが自分の中では大きく、その気持ちに素直に従い私はエントリーしました。不安なしに飛び込んだ人はいないと思いますので、自分の不安も受け止められた上で前向きな気持ちがあれば是非チャレンジしていただきたいです。

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【番外:フェロー応募を考えている人へ】

 

差し支えなければ経済的な状況を教えてください。

企業に勤めていた頃に比べると、収入は下がりましたね。でも東京から移住したことで、家賃がかなり下がったので、むしろ東京で働いていた時より金銭的な余裕はできたと思います。

 

エントリー前は迷いましたか?

団体の活動を知ってからエントリーするまでは結構時間がかかりましたね。教師をやるとしたらこのプログラムでやりたいと思っていました。

 

TFJの選考はどうでしたか?

選考には関係ありませんでしたが、面接で松田さんが英語で話しかけてきてびっくりしました。(笑)

面談・模擬授業・ロールプレイングの課題もあって、実際に教師になることが選考を通してイメージできたことが印象的でした。

 

選考を受けてみてどうでしたか?

選考の時に模擬授業の準備をするという経験ができたのがよかったと思います。確か算数でしたが、子どもに教えるとはどういうことかを考える機会になりました。

 

フェロー内定が出た際はすぐに受諾されたのでしょうか?

即答でした。即答で内定受諾してから、事後報告で妻に言いました(笑)。

 

事後報告で怒られませんでしたか?

選考を受ける段階からある程度妻には伝えていたので大丈夫でした(笑)。

 

奥様が妊娠中に幸田さんが奈良に引っ越しされるという状況だったと思いますが、当時はどのようにご家庭とのやりとりをされていましたか?

奈良に単身赴任中も2週間に1回は帰っていました。時期によっては毎週末に帰って月曜日から奈良という感じでしたね。

 

3期生は初めてフェロー卒業式を開催しましたが如何でしたか?

同期が自主企画して準備してくれたのですが、うれしかったですね。実行力のある人がいっぱいいて、同期にめぐまれたと思いました。赴任前研修後はバラバラになったけどまた卒業式で集まれて、これまでどんな気持ちでやってきて、これからどうするのかがお互い共有し合えたことがよかったと思います。支援者の方にもお会いできて、一言でもお礼をお伝えできたのはうれしかったです。

 

同期の活躍は気になる?

卒業後もそれぞれの場で活躍しているのは刺激になりますね。ライバルでもあり、協力者でもある。一緒につながってやっていこうという仲間だと感じています。

 

最後に一言お願い致します。

私自身が2年間TFJのフェローとしてやってきた中では、TFJが掲げているような、学校を変えて地域を変えていくというところまでは至らなかったかもしれません。フェローの1人ひとりの力は微力だと思います。だからこそ、「教室から社会を変える」というところまでつなげていくにはもっと多くの、志を持った仲間が必要です。社会に対する課題意識を持っている方々には参画していただきたいですし、自分で何とかしたいと思ったら是非、フェローとして教育現場に飛び込んでほしいと思います。やってみないとわからないこともありますし、想像以上の喜びがあると思います。TFJでのフェローが終わった今でも、私自身はTFJのミッションにはコミットしていると思っています。これからもっと仲間が増えてほしいです。また、フェローになる方には根本的には「学び続ける」という姿勢が必要だと思います。今日うまくいったら明日もうまくいくということは教育現場には当てはまりません。新しいことに挑戦し、試行錯誤しながらより良い教育を探していくことのできる方が向いていると思います。

意欲のある方には是非TFJのフェローになって頂きたいと思います。

 

 

(インタビュー・記事作成:リクルーティングリーダー木村慎太郎、栗原貴志、高橋良輔)