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フェロー紹介 > フェロー 一覧 > 今野千識さん
第2期フェロー
今野千識さん
 
 
 
2014年4月~2016年3月
 
前職 新卒
現在 教育関連企業
 
PROFILE
大学在学中に、教員免許を取得するも、「様々な困難を抱える子の成長に携わりたい」という思いで、フェローになることを決断。卒業後、第2期フェローとして奈良県の公立小学校にて教員として活躍。現在は、株式会社LITALICOにて教師として働きつつ、精神保健福祉士の資格取得に向け、勉強中。
 
「教員採用試験を受けて教師になる」という選択肢に抱いたかすかな違和感を、ぴったり埋めてくれたのが
Teach For Japanだった
高校生の頃から教育に携わりたいと思っており、大学在学中に教員免許も取得しました。しかし、教師になること自体が目的ではありませんでした。私は、子どもの精神的な成長に関心があり、特に自己肯定感を高めたいと考えていました。それも、順調に育っている子どもだけでなく、環境面等に困難を抱えている子どもも前向きに成長していけるよう、支援したかったのです。教員採用試験を通じて教師になると、比較的、経済的に恵まれ、家庭環境が安定している子どもが通う学校に赴任する可能性もあったため、教員採用試験を受けて教師になることに迷いが生じました。そんなとき、Teach For Japanに出会いました。

団体のビジョンに共感したとともに、Teach For Japanを通じてフェロー(教師)になると、何かしらの困難を抱えている子が多く通う小学校に赴任する可能性が高いということを知り、応募意欲が高まりました。私はたまたまこうした学校に派遣されるのを待つのではなく、積極的にこうした学校へ赴任したかったのです。そして、団体のビジョンに共感した同じ志を持つ人に出会えることにも期待しながら、応募に踏切りました。ここしかない、と思いましたね。
 
自分の心の中心にある子どもへの願いや想いを
何度も問い続けた2年間
赴任中、最も大変だったことは、全ての子どもたちが自尊心を持ち、且つ、互いの個性を認め合う学級を作ることでした。私が担当した学級の中には、自分自身を否定したり、そうした自己肯定感の低さやもどかしさから、問題を起こしたりしてしまう子もいました。しかし、そうした問題を起こしてしまう子の話をよくよく聞いてみると、子ども自身が一番「問題を起こしてしまったことを悔やみ、直したいけれどどうすれば良いかわからない」という葛藤に悩んでいたことに気がつきました。それからは、子どもたち全員が学級という集団の中で、自分に自信を持ち、仲間を信頼し、信頼してもらうという経験を積ませることが重要であると考えるようになりました。そして、心の底から子どもたちの可能性を信じ、子どもの行動の本質的なところにある想いを汲み取ろうと、本気で向き合い続けることを決意しました。

ad755c7431b09cb2f3913e554e78edc0_sこの過程で一番苦心したのは、まず私自身の核にある想いを自分で正しく認識し、それを子どもたちへ伝えることでした。自分の心の中心にある、子どもへの願いや想いを何度も問い、自分自身でしっかり噛み締めるのです。そして、そこから生まれた、子どもが持つ可能性への信頼を、子どもへ全力で伝えました。
これは最初からできたわけではなく、地道で、終わりのない作業でした。子どもにこうなってほしいという願いは、本当に子どものためになるものなのか。自分や学校、保護者の事情に左右されていないか。子ども自身は何を願っているのか。・・・といった問いを、何度も繰り返し続けました。なぜ、この気が遠くなるような地道な作業を続けたかというと、ここまでしないと、子どもの心の深い部分には、なかなか響かないからです。子どもたちは、本当に感性が鋭いです。表面上取り繕って言ったり、学校や保護者、自分の事情を考えて発したりした「外側」の言葉に対しては、子どもも必ず「外側」で返してきます。反対に、私が心の底から、その子のことを思って発した言葉は、驚くほどストレートに、その子の中心に届きます。すると、少しずつですが、子どもに変化が見られるようになるのです。
 
「学級の子どもたちは担任教師の鏡」
それを深く実感した子どもと自分自身の変化
1人の子どもが変化を見せ始めると、周りの子どもたちにも大きな変化が見られました。子ども同士が、互いに互いを受け入れる姿勢を持つようになったのです。ある子が、上手く感情を表現できずに暴れてしまっても、「でもこの子は、本当はこんな良いところもあるから」と許したり、「この子はここが苦手だから」と助けてあげたり。学級全体で、互いに強み・弱みを受け入れ、助け合おうという空気が出来上がっていきました。この変化には、私自身とても驚きました。自分が頑張れば、頑張った分だけ子どもたちに反映される。反対に、ネガティブなことも全て子どもに反映されてしまいます。そこで、私は嬉しいことも、苦しいことも、一つ一つの経験に、自分なりの価値を創造し、笑顔で子どもたちと接するようになりました。するとその笑顔や充足感が子どもたちにも伝わり、子どもたちも明るくなったように思います。
 
困難を乗り越える過程で原動力となった2つのもの
なかなか思うようにうまく学級運営をできない時、原動力となったものは2つありました。まず、仲間の存在です。同じ学校で働く仲間として、いつも手を差し伸べてくださった職場の先生方はもちろん、同志であるフェローの存在も、大変大きかったです。Teach For Japanでは、公立学校へ教師として赴任する1ヶ月前に、約3週間の合宿型研修を行います。この研修は内容的にも体力的にもかなりストイックな研修なのですが、これを一緒に乗り越えたフェロー仲間は、かけがえのない存在となります。この研修は、授業力やリーダシップといった教師として必要なスキルを学ぶ内容ですが、一貫して「私らしい教師としてのあり方」を問われるものでもありました。3週間徹底的に、自分の強さや弱さ、信念、想いに向き合ったのです。この問いを乗り越えるには、恥ずかしいくらい、自分をさらけ出さなくてはなりませんでした。それこそ、心を丸裸にして、仲間のフェローと毎晩想いを語り合ったり、自分の根底にある悩みを共有しあったりしました。すると研修が終わる頃には、フェロー仲間は空気感までもを共有できる、かけがえのない同志となっていました。フェロー仲間の存在は、離れていても、いつも前向きに努力する原動力となりましたね。

そして、2つ目は子どもたちです。困難を抱える子どもを支援したいと言いつつ、実は、私自身がいつも子どもたちに助けられていたのです。私が、発した言葉や自身が醸し出している空気感を客観的に見つめ直したいと思ったとき、ヒントをくれたのは、いつも子どもたちでした。子どもたちが、無意識的にも一番直球で、私にフィードバックをくれていたのです。例えば、自分でも気づかないうちに子どもに指摘することが多くなったとき、「先生の良いところはいつも良いところを見つけるところなのに、悪いところばかり見ちゃだめだよ」と言葉をもらいました。
写真③今野さん_手紙
 子どもは本当によく周りや教師を
 観察しています。
 ストレートなフィードバックも
 ありがたいですし、反対に、
 落ち込んでいる時は、一番に
 気づいて励ましてくれました。
そうした時にもらった沢山のお手紙は、今でも大切に手元に置いてあります。
 
現場の先生方から学んだ、
「察する力」と「情報収集能力」
フェローとして2年間赴任する中で、自分自身でも大きく成長したという実感があります。具体的に言うと、子どもや保護者の方の悩みを聞いたとき、課題を見つけ出し、適切な支援を提供することができるようになりました。フェローをする前は、助けたいという想いがあっても、そもそも何が問題なのかを把握したり、どう手助けしたりすれば良いのかがわからないことが多かったのです。しかし、2年間、子どもたちや保護者の悩みを聴き、解決する方法を模索し続けた結果、当時者から本音を引き出す力や、言葉や行動の背景にあるものを見抜く力が身に付きました。そして、その人自身の特性や課題にあわせて、適切に手を差し伸べることができるようになったのです。この過程では、学校現場に既にいらっしゃる先生方から学ぶことが大変多くありました。学校現場の先生方は、人の気持ちや本質を見抜く力が大変優れています。一言で言うと、「察する力」ですね。且つ、常に様々な事柄にアンテナを張っていて、子どもや保護者のためにできることを見つけようとしているのです。これはまさに、「情報収集能力」といえると思います。私自身、私の本音や課題を察していただき、手を差し伸べていただいたことがたくさんありました。私は、2年間という期間限定ではありましたが、いわば熟達した先生方のすぐ下で、こうしたスキルを常に磨き続けることができたのです。改めて、大変貴重でありがたい経験だったと思います。
 
フェロー経験を通じて得た思い。
「子どもの家庭環境も含めた根本的な支援をしたい」
フェローとして公立の小学校で教師をする中、いつも痛感していたのは、「子どもにとって家庭がどれほど大きな存在か」ということでした。もちろん、多くの子どもが毎日大半の時間を過ごす学校環境を整えることは大変重要です。しかし、いくら学校環境を整えても、子どもの悩みを根本的に解決することはできなかったのです。なぜかというと、子どもが心の底から求めているのは、安定的な「家庭環境」だったからです。ところが、学校の教師は、家庭の事情にまで足を踏み入れられないのが現状です。教師である私ができることは、学校で万全の環境を整えるよう努め、子どもが登校してくるのを待つことでした。しかし、こうした家庭環境の問題は、子どもにとっての悩みであると同時に、保護者の方の悩みでもあることに気がつきました。保護者もまた、助けを必要としているのです。そこで、私は精神保健福祉士という資格があることを知りました。この資格を取得すれば、家庭の相談にも乗ることが可能となります。家庭も含めて支援することで、子どもが前向きに成長していく基盤を作りたい。こうした想いから、資格取得を決意しました。現在歩いている道は、フェローを通じて教師をしないと見えなかった道です。そのため、フェローの経験は私の人生を大きく前へ進めてくれたと実感しています。
 
迷うあなたに伝えたい。
「絶対に、あなたにしかできないことがある」
2年間という限られた時間で、できることは限られているのではないかと考えたり、自分が子どものためにできることがあるのかと不安になったりするかと思います。しかし、赴任する学校には、必ずあなたとの出会いを待っている子どもがいると思います。教師のあり方に正解はなく、教師の数だけ正解があります。あなたを待っているその子には、あなたにしかできないことがある。これを伝えたいです。